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2019年5月7日(火)

"アイドル系クライマー"原田海 驚異の「キープ力」の秘密!

日本のボルダリングは、世界トップってご存知ですか。2014年から5年連続で世界1位(2019年1月発表)、東京オリンピックでも活躍が期待されています。

背景には、次々に有望な若手が誕生する選手層の厚さがあります。若手選手の中で最も注目を集めているのが原田海選手です。2018年に初出場したボルダリング世界選手権でいきなり優勝、華々しい世界デビューを飾りました。笑顔がとっても優しい“アイドル系クライマー”原田海、その強さの秘密に迫ります。

驚異の「キープ力」が生み出すダイナミックな「ムーブ」

ボルダリング世界選手権で初出場優勝(2018年オーストリア)

原田選手の最大の持ち味は、指先だけで全身の体重を支える「キープ力」(保持力)です。ボルダリングでは、体の動かし方や技のことを「ムーブ」と呼びますが、原田選手は、指がかろうじて引っかかるような極小のホールドにぶら下がったり、腕を伸ばしても届かない遠くのホールドに勢いよく飛び移る「ランジ」という技など、強いキープ力が必要とされるダイナミックで華やかな動きを得意としています。

2018年のボルダリング世界選手権決勝では、「ランジ」を横方向に2回連続で決めたり、体をひねりながら跳び上がり片手だけで上のホールドをつかんだりと、迫力のある力強いクライミングで自慢の「キープ力」を世界に見せつけました。

原田海選手

「ランジ」にはもちろんキープ力が必要です。でも、指や腕の力だけで体を支えようとすると疲労がたまり、次第に力が弱くなります。だから、1か所に負荷が集中しないように肘の角度や姿勢を調整して、手と体が一直線になるようなポーズを作ります。足の幅を広げて、バランスをとることで負荷が分散され、重さをあまり感じなくなるんです。

「キープ力」の秘密は、生まれ育った“大阪”に!?

実は、原田選手の強い「キープ力」の源は、筋肉ではなく指を動かす腱(けん)にあります。筋肉はトレーニングで短期間に鍛えることができますが、腱を強くするには、長い間、繰り返し負荷をかける根気強い鍛錬が必要です。原田選手はどうやって腱を鍛えたのでしょうか、その秘密を解く鍵は、生まれ育った大阪にあります。

原田選手は小学5年生のときにボルダリングと出会いました。高校卒業まで毎日のように通ったのが自宅の近くにあったボルダリングジムでした。小さくて設備も古いジムでしたが、地元のクライマーに愛されたアットホームなジムだったと言います。実は、この老朽化した設備こそが、原田選手の腱を鍛え上げ、強い「キープ力」を育んだのです。

原田海選手

ジムのホールドは、よく使い込まれていて表面がツルツルしていました。クライマーが滑り止めに使うチョークがホールドにこびり付いてしまうと返って滑るので、定期的にメンテナンスをする必要があるんですが、手入れも行き届いていませんでした。滑りやすいホールドを使って10年以上も毎日のように練習をしていたので、普通なら鍛えにくい腱が、いつの間にか鍛えられたようです。

世界に挑む原動力は、仲間に教わった“クライミングの楽しさ”

このジムは、原田選手がクライマーとして最も大切にしている「楽しさ」を教えてくれた場所でもあります。原田選手がジムに通っていた当時、ジムには同世代の子どもだけでなく、大人や年配の人たちも多くいました。年の差や性別に関係なく、同じ壁に挑む一対一のクライマーとして競い合い、助け合い、一緒に楽しむことが、クライミングの文化だと原田選手は言います。

原田海選手

僕がジムに通い続けたのは、常連の大人たちと教え合いながら登るという、一般の社会ではあり得ないようなクライマー同士の関係性があり、そうした関係性の中で時間を過ごすことがこの上なく楽しかったからです。大人の人たちも僕を子どもとしてではなく、ひとりのクライマー仲間として扱ってくれました。クライミングでは上下関係は希薄です。そのルートを登れた人が他の人に教え、自分が登れたら、今度はみんなに教える。お互いに知恵を出し合って高め合うという文化があるんです。

そして今、世界の舞台で戦う原田選手。その原動力は、少年時代に岸和田のジムで体感した“クライミングの楽しさ”。色あせることのない、クライマー原田海の原点だと言います。

原田海選手

ボルダリングでは、レベルが上がれば上がるほど、登れないことの方が多くなっていくんですよ。でも何度も挑戦するうちに登れるときがあります。その達成感がとても楽しいんです。試合の結果は、他の選手の調子によっても左右されますので仕方ない部分があります。ですから、僕はあくまで自分がいくつ登れたのか、どれだけ楽しめたのか、それを大切にしているんです。

大阪出身の“アイドル系クライマー”原田海、優しい笑顔の奥に時々かいま見える強い信念がとても印象的な選手です。

                   
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