読み込み中です...

2019年4月25日(木)

"オールラウンドスケーター池田大亮" スケボー選手の世界を語る

東京オリンピックから、若い世代に人気のアーバンスポーツ競技がいくつも採用されました。その一つ、スケートボードは1990年代、ファッションや音楽などの流行に敏感な10代の若者を中心に “おしゃれなストリートカルチャー”として親しまれたスポーツです。それからおよそ20年、オリンピックの正式競技となった日本のスケートボードをけん引しているのは、1990年代に、スケートボードに熱中した人たちの子どもの世代です。
世界のトップレベルの選手に真っ向から挑む日本の“若きスケーター”たちは、どんな若者なのでしょうか。“大人の知らないスケートボードの世界”を、オリンピック代表の有力候補の一人、2000年生まれの池田大亮(いけだ・だいすけ)選手へのインタビューでのぞいてみましょう。

ボードに乗ってると楽しくて、つい時間を忘れてしまいます

ボードを小脇に抱え、リュックを背負って、池田選手は一人、待ち合わせのスケートパークに現れました。「こんにちは!」と、爽やかな笑顔で礼儀正しく挨拶してくれた池田選手。アラフォー記者の私の心をいきなり揺さぶる、イケメン好青年です。

Q:まずは、スケーターとしての1日を教えてください。どんなスケジュールですか?

池田大亮選手

池田大亮選手

朝6時に起きてジム行って、7時半くらいに家に帰ってきて、朝ごはん食べます。9~10時くらいに近くのスケートパークに行って12時くらいまで滑って、家で昼ごはん食べて、動画見たりしてちょっとゆっくり。また午後2、3時に違うパークに行って、夜8時か9時くらいまで練習するってスタイルです。家にいるのは食事と寝る時間だけ。ボードに乗ってると楽しくて、つい時間を忘れてしまいます。

Q:すごい練習量ですね!毎日どんな練習をしているんですか?

池田大亮選手

スケボーは、技を磨いて完成度を高めないと勝てない競技なので、大会で勝つために数百にも上る技の中から自分が得意な技をいくつか組み合わせて、新しい「トリック(技)」を作ります。誰もまだ出来ないトリックを成功させることが、勝利につながります。なので、時間があればずっとトリックの練習ばかりです。練習中はいつもワイヤレスイヤホンをつけて、周囲の音がちょっと聞こえるくらいの音量で、音楽を聴きながら練習してます。

Q:いま取り組んでいるトリックはどんな技ですか?

池田大亮選手

今は「バンク」と呼ばれる、急な坂道を上った頂上でやるトリックを練習しています。その一つ、「バックサイド360(スリーシックスティ)フリップ」といって、空中にジャンプしながら体を一回転させて、同時に板も縦に360度回転させる大技に取り組んでいます。大会を勝ち抜くには、こうした技一つひとつの完成度を高めることが重要なんです。

憧れてる選手がしてることは何でも真似します

東京オリンピックのスケートボード競技には「ストリート」と「パーク」の2種目があります。多くの選手がどちらかの種目に専念する中で、池田選手は両方を得意としているオールラウンドスケーターです。どんなコーチの指導を受けているか聞いてみると、答えはなんとスマホのアプリでした。

「2018タンパ アマ」で優勝した池田選手 (提供 SKATE HARD Inc.)

Q:スマホのアプリがどうしてスケートボードのコーチなんですか?

池田大亮選手

世界で活躍するトップ選手のインスタグラムには、いろんなトリックの動画がたくさんアップされてるんです。好きなライダー(選手)の動画はすごく見てます。最新の動画が出てないか常にチェックしたり、YouTubeとかでも検索して、移動中の電車で見たりとか、死ぬほど見てます。好きな選手は結構いっぱいいるんですけど、一番好きな選手はアメリカのプロスケーター「アイショッド・ウェア(Ishod Wair)選手」です。大柄な彼が決めるトリックは、簡単そうに見えてかなり難しくて、一連の動きに全く無駄がないんです

世界中のスケーターが憧れるカリスマライダー「アイショッド・ウェア選手」

Q:好きな選手のトリックの動画を見て練習するんですか?

池田大亮選手

はい、かっこいいなと思うとちょっとやってみたり、好きなライダーの得意なトリックが上がってれば、やってみたりします。でもイメージは出来てるのに、実際にやってみると体が動かなかったり、思うように板が回らなかったりもします。その度に、板の上の足を置く位置を変えてトライして、メイク(成功)できたら体に覚えさせるまで何回でも繰り返します。強くなるために、憧れてる選手がしてることは何でも真似するようにしてるんです。自分は大会前、緊張して食欲がなくなるんですが、海外の選手がこまめにバナナを食べてるところを見たので、意識してそうするようにしています。

Q:池田選手も自身のインスタグラムに動画をアップしていますね

池田大亮選手

その日にパッって思いついたトリックとか、メイク(成功)した技の動画を周りにいる人に撮ってもらって、自分で編集して音楽を入れて、帰り道の途中とか、家でのんびりしてる時にアップしています。大会の後とか、いい成績を残した時なんかは結構再生回数が伸びたりするんです。一気にフォロワーが増えて、過去にアップした動画も見てもらえたりと、やっぱ見てくれる人がいるってうれしいです。励みになるので、どんどん見て欲しいなって思います。

新品の靴は、電子レンジで30秒チンしてから履いてます

“スケボーの世界”でファッションは、ボードを選ぶのと同じくらい重要なポイント。池田選手のこの日のファッションは、ストリートジャケットと呼ばれる上着に、ゆったりとしたデニムのパンツ、頭にはニットキャップをコーデしていました。

Q:池田選手のスケーターファッションのこだわりは?

池田大亮選手

特にこだわりとかはないんですけど、自分は毎日、デニムのパンツをはいてます。好きなブランド一択で買いますね。動きやすいし、ポケットが深くてスマホを入れても落とさない。転んでも破けにくくて丈夫なんです。破けたとしても、自分で縫って裾上げまでして愛用します。海外のスケーターのファッションは、タンクトップ一枚で大会に出たり、タイツみたいなピチピチしたのをはいてる選手もいます。それで大技を決めたりするんですごいなと思うけど、服はちょっとな~って話したりしています(笑)

Q:シューズもおしゃれですね。スケーター用のスニーカーなんですか?

池田大亮選手

普通のスニーカーに見えると思いますが、実はスケーター用に作られたものです。スウェード製でソールも厚く補強されています。それでもボードで擦っちゃうんで、1週間で穴が空いちゃいます。自分は右が利き足で、右の靴だけがすぐダメになるので、左が利き足の子に左側の靴をあげたりしています。シューズはボードの操作に直結するんで、新品をおろしたばかりだと硬くて慣れるまでに時間がかかります。海外選手に聞いた裏技で、新品を履く前に電子レンジで30秒だけチンして、柔らかくしてから履いています。

Q:スケボーの選手は、お互いのトリック(技)をすごく讃え合いますね。スケーターのスタイルなのですか?

池田大亮選手

相手にすごいトリックを見せられたら、それよりすごい技をやって超えたい、という気持ちは湧いてきます。そうしてお互いにどんどんレベルアップしていって、みんなで上へという感覚はあります。讃え合うのは、すごいトリックを目指している仲間同士、という感覚からですかね。ライバル感は不思議とあまりないっていうか、他人との競争より自分自身との戦いというか、自分のできる最高のトリックを見てもらいたいっていう気持ちの方が強いです。

Q:まだ10代ですが、将来はどんな夢をかなえたいですか。

ボードの裏を見ると、どれだけ練習しているかが一目で分かる。約1か月で新品と交換するそう。

池田大亮選手

まずは20歳までにアメリカ・ロサンゼルスに移住したいと思っています。今よりレベルアップするには、スケートボードの本場で、海外のスケーターたちから刺激を受けられる環境に身を置かないと。家族も賛成してくれていて、父と母は懸命にサポートしてくれています。ゆくゆくはあっちに家を建てて、家族みんなを呼べたらなって、そう考えています。

流行の音楽やファッションと深く結びついた“スケートボードの世界”は、一見すると異次元の世界のように思えます。しかし、練習の様子を見せていただいたり、じっくりと話を伺って私が感じたのは、10代の純粋な青年がスケートボードに真摯に向き合う姿勢と、家族への深い感謝の気持ちでした。一層の活躍を期待しています。

(インタビュー・文 松野実江子)

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事