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2019年4月5日(金)

ベレーザが誇る次世代コンビがW杯に挑む!長谷川唯&籾木結花~日々野真理さんによる注目なでしこ連載 第2回~

6月7日~7月7日にフランスで開催される、FIFA女子ワールドカップ2019。前々回は優勝、前回は準優勝と、輝かしい成績を残してきた「なでしこジャパン」ですが、その頃とはメンバーも大きく入れ替わり、今大会は高倉麻子監督のもとでの新たな船出と言われています。

現在のなでしこジャパンには、どんなメンバーが選ばれているのか?主力選手の特徴やその思いとは?──なでしこジャパンの密着取材を15年以上にわたって続け、その“歩み”と“思い”を知るスポーツジャーナリスト・日々野真理さんに紹介していただきます!今回のテーマは「注目の次世代」です。

スポーツジャーナリスト/フリーアナウンサー 日々野真理

短大卒業後、アメリカに語学留学。帰国後、OLからフリーアナウンサーに転身し、1999年よりJリーグのリポーターとしてサッカーに携わる。2003年からは「なでしこジャパン」の密着取材を行い、女子ワールドカップでは4大会連続で日本担当のリポーター、インタビュアーを務める。2011年の優勝の際にも、優勝インタビューを担当した。代表選手との親交もあり、選手たちからの信頼も厚い。

代表でも存在感を見せるベレーザの同級生コンビ

FIFA女子ワールドカップのフランス大会開幕まで、およそ2か月。

今年に入り、3月に行ったアメリカ遠征の3試合(アメリカ戦、ブラジル戦、イングランド戦)に加え、4月のヨーロッパ遠征の2試合(フランス戦、ドイツ戦)を経て、ワールドカップの本番直前まで多くの選手をテストしながらチーム作りを進めてきた高倉麻子監督。最終的に23人のメンバー入りをするのは誰になるのか、そしてどんなチームになるのか──。本番に向けて、なでしこジャパンから目が離せなくなってきました。

アメリカ遠征の3試合を1勝1敗1分で終えた、なでしこジャパン

高倉監督体制になって、およそ3年。なかでも存在感を示しているのが、この春に大学を卒業したばかりの、日テレ・ベレーザでプレーする2人。長谷川唯選手と籾木結花(もみき・ゆうか)選手です。世代別代表では、すでに世界での戦いを経験しており、2人のコンビネーションから生み出されるプレーは、時に人を驚かせ、見ている人をワクワクさせるもの。今回は、この2人に注目していきたいと思います。

若くして“女王”の復権にも貢献

2人が所属する日テレ・ベレーザは、言わずと知れた女子サッカー界の名門チーム。かつての“女王”であったベレーザは、2011年に主力メンバーが大幅に抜けたこともあり、そこから4シーズンはリーグ優勝を手にできない苦しい時代を過ごしてきました。

長谷川選手と籾木選手をはじめ、高校生時代に下部組織のメニーナからトップチーム昇格を果たした選手も多く、現在はその選手たちの成長もあって、2015年からリーグ4連覇。名実ともに“女王”へと返り咲き、新時代を迎えています。そして今シーズン、前人未踏のリーグ5連覇を目指して戦っています。

5連覇を目指す2019年シーズンの開幕戦を3-1で勝利した日テレ・ベレーザ

「すごい選手たちの良いところを全部集めた選手に」長谷川唯

長谷川選手は、2017年に初めてなでしこジャパンに召集され、これまで33試合で5ゴール。今では、高倉ジャパンに欠かせない中心メンバーとして活躍しています。

右:長谷川唯選手

彼女の持ち味は、得点を演出するパス、スペースを作る動き、見ている人をワクワクさせるようなゴール。攻撃で目立つことの多い印象ながら、守備へのこだわりも強く、

相手を引き寄せたり、自分が動いたりすることでできたスペースを誰かがうまく使い、それが守備で効いていたとか、そういったところも見てもらえたらうれしい


と、よく話しています。サッカーに対して常にポジティブな姿勢を見せ、楽しそうにボールを操る長谷川選手。ポジティブなイメージを持ち続けるために、自分のプレーの良かったシーンを、ふだんから何度も繰り返し見ているそう。

将来について聞いてみると、

好きなのは、ヴィッセル神戸に所属しているイニエスタ選手。彼のように味方をうまく使うプレー、見ている人におもしろいと思ってもらえるプレーがしたい。でも、もっとゴールも獲りたいし…。誰かを目標にするのではなく、ドリブルも、パスも、シュートも極めて、すごい選手たちの良いところを全部集めたような選手になりたいなって思っています。理想は高く!ですね。ヘディングだけは、ちょっと諦めているんですけど(笑)

と、いたずらっぽく笑います。

中央:イニエスタ選手

そして、 

ワールドカップ優勝は、もちろん夢だけど、今の代表では現実的に、まず目の前の試合に勝つことを考えて進んでいきたい。そのうえで、その先に優勝が見えたら…。危機感を持って臨んだほうが、たぶん強くなれると思いますからね


と、瞳に力を込めていました。

「今までにない女子サッカー選手像を作りたい」籾木結花

籾木結花選手

ベレーザで伝統の10番を背負う籾木選手の魅力は、何といっても、ゴール前でのひらめき、アイデア、そして左足から繰り出される多彩なキック。そのテクニックとアイデアに驚かされることも多々あります。同じく左利きのメッシ選手(バルセロナ)が好きという話にもうなずけます。

左足でシュートを放つバルセロナのメッシ選手

長谷川選手と同様に、なでしこジャパンに招集されたのは2017年から。ここまで24試合で8ゴールを決めています。昨年はけがもあり、代表で思うようなプレーができない時期がありましたが、今年に入って代表での活躍が際立ってきています。

昨年、けがをしていた半年のリハビリ期間に、重点的に筋トレを行ったことで、体に変化を感じることができました。お尻まわりや背中の筋力をアップさせたこと、そしてそれを連動してうまく使えるようになったことが、プレーに反映できています。今はすごくコンディションも良いし、代表で海外の選手を相手にしても倒れる回数が少なくなったと感じました

と話してくれた籾木選手。世界で戦える体を作れたことで、いよいよ代表での本領発揮に期待が高まります。

この春、ともに大学を卒業した2人ですが、籾木選手はサッカーのみならずビジネスの世界についても、ある思いを持っています。

仕事とサッカーの両方で結果を求めることで、今までにない女子サッカー選手像を作っていきたいと思っているんです。私にしかできない“仕事”がしたい──スポーツ、特に女子サッカーをやってきた人たちが、たとえば大学でサッカーを辞めたあとも、サッカーをやっていて良かったと思えるようになってほしい。社会に出て、周囲の人から、サッカーをやっていたことが価値のあるものだと感じてもらいたい。女子サッカー界のすべての人が、なでしこジャパンだと思っています。具体的にはこれからですが、女子サッカーをやってきた人と企業を結び付けられるような…そういう面で、いろいろな取り組みを考えています

と、今後のプランを打ち明けてくれました。プレーでの結果をトップレベルで求めつつ、女子サッカー界の発展にも貢献したいという強い意志が感じられます。

クラブチームの監督も認める“ヴェルディらしさ”という伝統の継承

2人は、お互いを「通じあえる仲」だと言います。

仲の良さがうかがえる練習の合間のツーショット!

メニーナ時代から長く一緒にやってきているし、サッカー観も一緒。ベレーザの中でも“モミ”とは合う部分が多いんです。たとえば、“モミだったらこういうパスが出てくるだろう”とか、自分がボールを持っているときは“モミならこっちにボールが出せるというのをわかっているだろうな”とか、2人で“通じている”感覚があります。これからは、そんなプレーを代表でもたくさん見せたいですね。モミは、自分でいける個の力だけでなく、味方も生かせる。決定力も高いし、何より左足のキックの精度がすごいと思います。生かしあっていきたいですね

と話してくれた長谷川選手。

一方の籾木選手は、

今までも一緒に代表に選ばれてはいながら、同じピッチでプレーすることは少なかったのですが、3月のアメリカ遠征では長い時間一緒にプレーできました。そのなかで、2人が絡んで結果を残せたことが、すごくプラスになったのかなと思います。自分がシュートを打つという雰囲気を出しつつ、唯が走るスペースを空けるための動きもして、それをわかって唯もそこに走って…とか。スペースの使い方、パスの感覚も感じ合いながらやれているんです。あえて、唯に背中を向けてボールを持っていても、唯はボールがくるって思って走っている。そういう動きを“背中で”感じながらプレーできるんです


と、その信頼関係を語ってくれました。

そんな2人について、日テレ・ベレーザの永田雅人監督は、

「あの2人のコンビネーション、イメージの共有は、本当にレベルが高いですし、見ていておもしろい。たとえば、お手本にしてほしい映像を見せると、次の瞬間にはやってみせたりする、そんなすばらしい選手たちです。かつてのラモスさんだったり、ビスマルクさんだったり、兄貴分とも言えるヴェルディらしいプレーの伝統を継承しているとも感じます。代表でもそれを発揮できるようになれば…。今、彼女たちが持っている実力を伸ばすために、どういうことを足していけば良いのか──こちらも努力して指導にあたっていきたいですね」

と、信頼を寄せています。

永田雅人監督

長谷川唯選手と籾木結花選手。ここから2人が、私たちにどんな景色を見せてくれるのか──。ひとりひとりの魅力はもちろんですが、2人がそろうことで、たし算ではなく、かけ算のプレーを見せてくれます。お互いを感じ合い、アイデアを共有できる仲だからこそ生まれるプレーが、日本の武器として、世界の舞台で輝くことが楽しみでなりません。

※4月1日からのヨーロッパ遠征に招集されていた籾木選手ですが、けがのため不参加になりました。

                   
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