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2019年4月4日(木)

カーリング男子が世界を席巻!東大出身頭脳派カーラーが緊急解説

3月31日からカナダのレスブリッジで開かれているカーリング男子世界選手権。
日本代表として出場しているコンサドーレは、予選の9試合を終えた段階で8勝1敗。強豪カナダにも勝利し、出場13か国中、一番乗りで決勝トーナメント進出を決めました。
その躍進の要因と、決勝トーナメントの展望について、世界選手権の出場権を争った最大のライバル・チーム東京のスキップ 神田順平選手に伺いました。

日本選手権で優勝を争ったチーム東京のスキップ 神田選手

好調の要因は「活発なコミュニケーション」

──予選ラウンドでは、優勝候補とされる強豪国も破り、見事な活躍を見せているコンサドーレですが、好調の要因はどこにあるのでしょうか?

中継を見ていて感じるのは、かなり活発にコミュニケーションをとっているなと。試合中のコミュニケーションは、世界選手権に限らず重要なことではありますが、「いつも以上に」という印象ですね。氷の状態、ストーンのクセなどについて頻繁に話している声が、マイクを通じて聞こえてきます。

今回の成績は決して「120%の力を出せているから」ではありません。全員が落ち着いて、いつもどおり、実力どおりのプレーができているからです。もちろん、こういう大きな大会になると「いつもどおり」が難しいのですが、それができているひとつの要因が活発なコミュニケーション、ということではないでしょうか。

──各選手のコンディションはどうでしょう?

やはりカギを握っているのは、最後の2投を担当するスキップの松村雄太選手。当然、重要な場面で順番がまわってくるポジションですが、そこで確実に良いショットを決めているという印象です。2-6から見事、逆転勝利を果たした韓国戦では、序盤のデキは決して良いとは言えないなかで尻上がりに調子を上げていって、勝敗を決めるラストショットも冷静に投げていました。一見、簡単に見えるショットも、それが勝敗を決するとなると緊張してしまうものですが… 淡々とこなしてしまうメンタルの強さは、さすがの一言ですね。

韓国戦で指示を出す松村選手

──ベテランであるリードの阿部晋也選手もバツグンの安定感を見せています。

そうですね、特にウィック(*1)がすばらしいと思います。普通のショットとは違い、非常に難しいショットですが、ラインとウエイト(*2)が完璧。もともとスキップを務めていて、十分なスキルを持っている選手ですが、その日の氷の状態がつかめていないとうまくいきません。そこがうまくいっている理由も、やはりコミュニケーションですね。

*1…ガードストーンの位置を、アウトにならないようにずらすこと
*2…ストーンのスピード

オランダ戦でチームメイトと意見交換する阿部選手(中)

ポイントとなったのは「1戦目のイタリア戦」

──これまでの予選のなかで、ポイントとなったのはどの試合でしょうか?

1戦目のイタリア戦だと思います。
序盤は1-3とリードされていましたが、第9エンドで3点をあげて逆転し、そのまま勝ち切れたのが良かったですね。初戦に勝利したことで本人たちもホッとしただろうし、そこで勢いをつけることができたと思います。

イタリア戦では序盤にリードを許しながら、最後は6-4で逆転勝利を果たした

決勝トーナメントの展開をも左右する強豪との連戦

──ここからの戦いで、コンサドーレには何が求められるでしょうか?

現段階では上位につけているものの、世界ランキングで日本より上位のチームとの対戦をまだ残していますからね。決勝トーナメントでもこの勢いを消さないためにも、ひとつでも多く勝利を積み重ねていきたいところです。

日本戦、スウェーデン戦で連敗してしまいましたが、カナダの実力は言わずもがな。メンバー全員が世界トップクラスの実力を持っているので、決勝トーナメントでは盛り返してくるでしょう。

世界トップクラスの実力を誇るカナダ代表チーム

スコットランドも、序盤はもたついたものの調子自体が悪いわけではなく、日本との対戦を前に4勝3敗まで持ち直していました。平均年齢が若くて勢いもあるので、予選では日本が勝ちましたが、決勝トーナメントで再戦するようなら要注意です。

スキップを務めるスコットランドのブルース・モアト選手

このあと予選で対戦するスイスは、派手さはありませんが、大負けをすることも少なくコンスタントに結果を出してくるチーム。戦術もしっかりしていて、完成度が高いです。

安定感のあるスイス代表チーム

同じく予選での対戦を残すアメリカは、ピョンチャンオリンピックで金メダルを獲得した強豪。ですが、昨年の軽井沢国際カーリング選手権の決勝トーナメントではコンサドーレが勝利していますし、苦手意識はないはずです。

キャップがトレードマークのアメリカ代表チーム

何より、現時点でのコンサドーレの成績は見事の一言。逆にアメリカは、過去に敗れているということで、精神的なプレッシャーは大きいはずです。これまでどおり、しっかりコミュニケーションをとって、自分たちのペースで試合を運んでもらいたいですね。

優勝候補の筆頭は「カナダ」、それに続くのが「スウェーデン」

──まだ日本以外の予選突破国が決まらない中で恐縮ですが、ズバリ、神田さんが考える今大会の優勝候補はどこでしょうか?

順当に考えるとカナダですね。リードのベン・エベール選手はリードとして、またスウィーパーとしても世界一と言える実力の持ち主。スキップのケビン・クーイ選手も、ほかの人では考えもつかないようなショットを決めてくる、スキルとセンスを併せ持ったカーラーです。

スキップを務めるカナダのクーイ選手

カナダに次いであげるとすると、世界ランキング1位のスウェーデン。チームを引っ張るニクラス・エディン選手のショットの正確性は、本当に驚異的です。そして、サードを務めるオスカー・エリクソン選手もセンスの塊。教科書どおりではないクセのある投げ方ですが、難易度の高いランバックショット(*3)もほとんど外しません。どんなコンディションでも投げ負けない勝負強さを持っていますね。

*3…手前にあるストーンに当てて、その当てたストーンを、さらに別のストーンに当てるショット

昨年の世界選手権では、自身が率いるチームで優勝を果たしたエディン選手

──そんな強豪国をコンサドーレが上回るには、どうすれば良いのでしょうか?

「コンサドーレは実力どおりのプレーができている」と言いましたが、まだまだ調子を上げていける要素は残っています。

たとえばサードの清水徹郎選手は、オリンピック出場経験もある実力者ながら、まだその実力を発揮しきれているとは言えません。特にドローショット(*4)では、ウエイトが合わなかったり、ストーンの曲がり具合を読み切れていなかったりする場面もときどき見受けられました。ストーンや氷の読みと、投げる感覚がさらにマッチしてくると、相手にとってよりイヤな存在になってくると思います。

*4…ハウスの中にストーンを止めるショット

ピョンチャンオリンピックにはSC軽井沢クラブのメンバーとして出場した清水選手(右)

ここまで好調の松村選手と阿部選手。そして自分の役割を堅実にこなしながら声もよく出ている谷田康真選手に加え、清水選手の調子が上がってくると、さらなる躍進もありえるのではないでしょうか。

スウィープ力にも定評がある谷田選手

それと「コンサドーレは活発にコミュニケーションをとっている」とも言いましたが、流れが悪い場面や、4人の意見がまとまっていないシーンがなかったわけではありません。4人が同じ方向を向けないままショットしたときは、やはり結果がついてきていませんでした。活発な意見交換を行ったうえで、戦術面でも一丸となれるような試合運びを見せてほしいですね。

そうそう、カーリングの中継を見ていると、マイクに拾われた選手の声が聞こえてくるかと思います。けっこう大きい音量で聞こえてきますが、実は試合中の選手には、相手チームがハウスの中で作戦会議をしている声はほとんど聞こえていません。僕たちも、あとで録画映像を見て、相手の戦術を“答え合わせ”していたりするんですよ。専門用語も出てきますが、何を狙っているかがわかることも多いので、選手の声をよく聞きながら観戦するとより楽しめると思います!

6チームで行われる決勝トーナメントでは、まず1勝を目標にして、優勝を射程圏内に捉えられる位置につけてほしいですね。



大会5日目終了時点で早くも予選突破を決めた日本。次の興味は予選突破の順位に移りました。
予選上位2位に入れば、6チームで争う決勝トーナメントで準決勝からのスタートとなり、ベスト4が確定します。
予選残り3試合、日本はどこまで勝ち星を伸ばせるでしょうか?みんなで応援しましょう!

                   
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