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2019年3月26日(火)

八村塁・渡邊雄太「高い壁に挑む2人の現在地とは」

今、かつてない盛り上がりを見せるバスケットボール男子。日本代表が13年ぶりのワールドカップ出場を決め、東京オリンピックでは44年ぶりの出場も期待されている、その新時代を象徴する選手がいる。八村塁と渡邊雄太だ。

八村は、ベナン出身の父と日本人の母を持つ21歳。高校卒業後、アメリカの強豪、ゴンザガ大学に入学。今シーズンはエースを任されている。

そして24歳の渡邊。今シーズン、グリズリーズで日本選手として2人目のNBAデビューを果たした。2人の目標は「NBAでプレーすること」ではなく、「NBAに定着し、長く活躍すること」。高い壁に挑む2人の現在地とは。(3月17日サンデースポーツ2020から)

八村・渡邊 "互いに認め合う存在"

八村塁選手

豪快な、ダンク。その得点力で相手を圧倒するのが八村塁。身体能力は、アメリカでもトップクラスと評される。1試合平均、20得点。シュート成功率は6割以上。今シーズン、最優秀選手候補にも挙げられる活躍だ。

渡邊雄太選手

一方、日本選手2人目のNBAプレーヤー、渡邊雄太。パイオニアである田臥勇太を抜きここまで10試合に出場。初の1試合2けた得点もマークした。守備でも貢献するのが渡邊。2メートル6センチの「高さ」がありながらも、素早い動き攻守で活躍するオールラウンダー。それが渡邊だ。

共にアメリカでプレーする2人は、互いに認め合う存在。

八村塁選手

先に雄太さんが(NBAで)戦ってくれているのはすごいなと思うし、そういうのを見て、僕も頑張ろうと思う。

渡邊雄太選手

彼の活躍は、すごいどころじゃない。NBAにいる以上はライバルになるので、対戦できるのをすごく楽しみにしている。

八村に注目が集まる"2つの理由"

3歳年上の渡邊が絶賛する八村のポテンシャル。公式サイトで特集されるなど、今、大きな注目を集めている。

その理由は、全米がNBA以上に熱狂すると言われる大学王者を決める戦いが来週開幕するから。初優勝を目指すゴンザガ大学のエース・八村への期待は高まるばかり。

地元のファン

ルイの加入はチームにとって非常に大きい。彼は大物で毎試合ビックプレーを決める。リーグのMVPに選ばれるべきだね。NCAAトーナメントで優勝できると思うよ。

そして、もうひとつの理由は、6月に行われるNBAのドラフト。スタンドではスカウトが熱視線。1巡目で指名されるのは確実とされ、今の関心は、「何番目に指名されるのか」。

地元の記者

今シーズン後、恐らく彼はドラフト1巡目の早い段階で指名されるだろう。もし彼がNCAAトーナメントで活躍すれば、ドラフト1巡目10番目以内で指名しない方が愚かだよ。

複数年契約が補償される1巡目指名。なかでも指名の順番が早いほど、高額の年俸が望める。しかし、周囲の熱狂にも本人は。

八村塁選手

正直ここまで(騒ぎに)なるとは思っていなかったけど、こういう風にスポーツ(への関心)は、日本よりアメリカは大きいので、注目も浴びるけど、だんだん慣れてきて、あまり気にしないようになっている。

虎になれ!

全米が注目する存在となった八村。飛躍を生んだひとつの言葉がある。それは。「BE A TIGER (虎になれ)」。 

3年前、渡米直後の八村は英語が満足に話せない中で、チーム戦術が理解できず、自分のプレーに自信が持てずにいた。そんなとき大学のヘッドコーチが伝えた「ビー・ア・タイガー」という言葉。NBAで活躍したいのなら、「虎のような闘争心を持て」と鼓舞したのだ。

マーク・ヒューHC

私が彼を見るたびに言い続けたのは、絶対に勝てということ。


たとえ、それが私との卓球であろうとね。強い闘争心を持つことは、(競争の激しいNBAで)将来的に彼がどんな選手となるか決める大きな要素だ。

八村塁選手

ぼくはそんなにタイガーとか、そういう人じゃないので。変わるのはすごい大変だけど、あの時からそういう(言葉を言われた)経験で、自分の性格の中で、タイガーになることを(表に)出しながらやっている。

今シーズン、八村が「タイガー」となって戦った試合がある。現地メディアが「ドラフト1巡目対決」として報じた一戦。相手のドラフト候補、バレットとの対戦だ。バレットが決めると、八村も決め返す。

リードして終了間際の、1対1。バレットが八村に仕掛けるがそれを見事に防ぎきった。注目の対決を制した八村。試合後の会見は自信に満ちあふれていた。

八村塁選手

彼はまるで自分に一対一の決闘を仕掛けてきているみたいな感じだった。だから自分としても“わかった、受けて立とう”という感じだった。なぜなら僕らは最高のチームで、そして自分は最高の選手だからだ。

渡邊にも「メンタルの強さ」が問われている

八村が目指す世界最高峰の舞台、NBA。その舞台に一足先に飛び込んだ渡邊は今、正念場の戦いを続けている。渡邊の契約は、下部チームとトップチームをかけもちする「ツーウエー契約」。今シーズン中に本契約を勝ち取りたい。しかし、ツーウエー契約からはい上がるのは、全体のおよそ2割と狭き門。

渡邊雄太選手

シーズン始めに、僕と同じようにツーウエー契約をした選手が解雇されたり、他の本契約の選手でも解雇されている。もっと成長しないといけないと常日頃、感じている。

今の課題はシュート力。大学時代、得意としていたはずのスリーポイントシュートの成功率は、NBAの平均を大きく下回っている。

渡邊雄太選手

このレベルになると、シュートチェックの速さが違う。その中で、いかに自分のシュートをディフェンスを気にせず打てるかだと思う。

渡邊が問われているのも、「メンタルの強さ」。

下部チームのコーチ

彼は練習では、信じられないくらいの確率でシュートを決めるが、試合ではスピードやフィジカルに戸惑って結果を出せていない。


一般的に言えば、彼は自信を持っている人間だと思うが。我々の目線で言うと、もっと自信をあげる必要がある。

壁を乗り越えるために渡邊は、ひたすらシュート練習に打ち込む。あらゆる状況を想定し、さまざまな角度からスリーポイントを打つ。NBAに憧れた小学生の頃から、練習で培った自信で、数々の壁を乗り越えてきた。

渡邊雄太選手

とにかく何百本も打って、試合で決めるシュートを体に覚えさせるという感じ。

苦しむ渡邊に心強い"援軍"登場!

先月。そんな渡邊に心強い援軍があらわれた。故郷、香川の両親だ。

渡邊選手の父

彼もこういう明日どうなるかわからない世界にいるので、大変だとは思うが、少しのカーブだが、ずっと(上昇して)いって欲しいなと思う。

両親も実業団の元バスケットボール選手。練習の大切さを教えてくれたのも両親だった。

渡邊選手の父

3時に出て、シューティング1時間くらいするんやろ、俺(ボール)拾ってやるから。

"自信をもって前向きに"

渡邊がNBAでの試合を両親に見せるのは、今回が初めて。しかし序盤、課題のシュートが入らない。それでも、自信を持って打ち続けた。

渡邊雄太選手

ミスしたからとかでシュートに 影響が出るような選手では、まだまだ五流。その中で決めていかないと生き残れない世界なので。

両親が見守る中スリーポイントシュートを決めた渡邊選手

迎えた第4クオーター。勝負どころでボールが渡邊に。練習で繰り返した角度からのスリーポイントシュートを決めた。次の試合では、初の2ケタ得点もマークした渡邊。本契約に向けて、厳しいサバイバルが続くが、前向きに挑んでいく。

渡邊雄太選手

(両親が)汗かきながらリバウンドを取ってくれていたので、シュートを決めて喜んでもらえるのが恩返しかなと。


自分でも、この世界でやっていけるという自信にはなってきている。

八村と渡邊。日本が誇る2人の逸材。その挑戦が、新たな道を拓いていく。

                   
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