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2019年3月18日(月)

堂安律「掴めなかった未来と栄光 "唯一無二"へRestart」

昨シーズンオランダに渡った、サッカー日本代表の堂安律選手。2月15日に放送された「アスリートの魂」では、移籍がかかるデリケートな時期に密着。そこで明かされた“強気な20歳”の意外な素顔とは。

世界一強いクラブに行きたい!

サッカー日本代表のアタッカー、堂安律選手。オランダ1部リーグ、フローニンゲンに所属。ビッグクラブへの登竜門といわれるリーグで、移籍した昨シーズン、1年目から9ゴールをあげ、サポーターが選ぶチームのシーズンMVPに輝いた。
その堂安選手は、大きな岐路に立たされていた。移籍だ。1月の「移籍月間」に、ビッグクラブが堂安の獲得に乗り出すのではないか、様々な憶測が飛び交った。移籍金は、10億円を超えるともささやかれた。

──将来的にプレーしたいチームは?

堂安律選手

バルサかレアルです。プレーするのがもう夢なんで、言うのは勝手なんで。勝手なんで言いますけど。バルサかレアルでプレーしたいと思いますし。


ただ、今僕ん中で、バルサかレアルが、一番チャンピオンズリーグで優勝できるチームだって感じてるから、そういうクラブを言ってますけど、5年後6年後、違うクラブがこう、世界一強いクラブって言われるクラブがあれば、僕は間違いなくそこへ行きたいと言うと思うし。


そのレアル、バルサが好きだからとかじゃなく、その2つが一番、僕の夢に近い、チームだからこそ、今その2つをあげた理由です。

移籍の期限は1月いっぱい。このデリケートな時期、オランダでの日々に初めて密着した。強気な20歳が見せたのは、意外な素顔だった。

堂安律選手

自分ん中で正直あせらされてるというか、だからこそやらなくちゃいけないっていうところは、もしかしたら努力してる感覚というよりも、やらないとやらないとっていう、自分が自分をせかしてるようなそういう感覚ではあります。


唯一無二の存在というか、サッカー選手としてもそうですけど、人としてもそういう人になりたいですし、僕ん中でこう、誰かと一緒がすべていいとは思ってないですし。

"唯一無二の存在になりたい"

堂安が、初めて世界を驚かせたのは18歳のときだった。20歳以下のワールドカップでイタリア相手に2ゴール。FIFAの公式ツイッターで「日本のメッシ」と絶賛された。

フローニンゲンは50年近い歴史があるが、1部リーグ優勝は、まだない。こんな中堅クラブを堂安が選んだ理由は、今まで、日本選手が在籍したことがないからだ。「誰も歩いてこなかった道を切り開く」。その先にはこのチームを巣立っていった、偉大な先輩たちが待っている。

ダニー・バイス監督

律がこのクラブでプレーするのは、今シーズンが最後になるのは間違いないと思うよ。


彼はビッグクラブに行ける選手だし、その能力を考えれば当然のことだからね。

30年にわたり、ヨーロッパサッカーを取材する記者も、堂安の移籍に太鼓判を押す。

ヤン・リースカス氏

彼のプレースタイルは、試合の局面を切り開いていきます。それはまるで、敵だらけのところにスペースを作り出すかのようです。


そんな才能にビッグクラブのスカウトが注目していますから、獲得に向けた動きは間違いないでしょう。

堂安律選手

人間ってほんと欲の塊だなぁって感じさせられることが多くて。どんだけ、いいプレーができても、もっと、得点ほしいとか、もっとアシストしたいとか。たぶん、どんだけいいクラブでプレーしてても、もっといいクラブに行きたいっていう選手が、多いと思うので。


最近、ほんとに欲の塊だなって自分自身怖くなるぐらい、欲に飢えてる状況ですね。僕ん中でこう、誰かと一緒がすべていいとは思ってないですし。やっぱほんとに唯一無二の存在というか、そういうサッカー選手としてもそうですけど、人としてもそういう人になりたい。

「倒れない」ことが高評価に

なぜ堂安は、移籍市場でこんなに評価が高いのか。それは、「倒れない」からだ。決してファウルをもらいにいかない堂安。これまでの日本代表には、あまりいなかったタイプだ。これはタックルを受けたとき、どれくらい倒れたかを示すデータ。

堂安は、日本の攻撃陣の平均を大きく下回っている。売り出し中の中島、南野と比べても、 堂安の方が倒れていない。堂安が倒れないことで、チームの攻撃に幅が生まれている。去年、堂安が代表に入ってから、チームは5試合負けなしと、快進撃を続けた。

堂安律選手

多少ファウルであったり、引っ張り合いっていうの正直、当たり前のことで。


そん中でこう、簡単に倒れて、ファウルをもらうっていうよりも、やっぱりそこを一つ我慢して、相手1人はがすことによって、ゴールにすぐつながりますし、すごく馬力のあるドリブルができたなっていうのは感じてます。

"倒れない"秘密は "走りのスペシャリスト"とのトレーニングに

なぜ堂安は倒れないのか。この日行うトレーニングに、その秘密が隠されているらしい。

杉本龍勇さん

フィジカルトレーナーの杉本龍勇さん。日本代表の選手を何人も指導している。陸上短距離で、バルセロナオリンピックに出場した、「走りのスペシャリスト」だ。杉本さんに大きな信頼を寄せる堂安。定期的にオランダに来てもらい、指導を受けている。

トレーニングで意識していたのは「中臀筋(ちゅうでんきん)」と呼ばれる、お尻の筋肉。推進力を生み出し、体のバランスを保つ役割も果たしている。走るとき、この中臀筋を上手く使うことが、倒れないプレーにつながる。堂安は、18歳のときから杉本さんの指導のもと、中臀筋を鍛えてきた。

さらに堂安は、ある課題に取り組んでいた。相手を振り切るための一瞬の加速力を身に付けることだ。

そのためには、腕の振り方が大事なことを杉本さんが伝える。

腕振りをサッカーに、どう生かすのか。杉本さんは、手本となる選手の名前をあげた。

杉本「前にも言ったじゃん、アザールとか仕掛けるときどうするって、これぐらい振るじゃん」。
堂安「アザールそうっすよね」。
杉本「振るじゃん」。
堂安「腕なんかこんなんですよね」。
杉本「いいんだよ。一歩目はこれくらい大きくて」。

チェルシーのエデン・アザール。ワールドカップで日本の前に立ちはだかった、 あのベルギー代表のアタッカーだ。アザールの仕掛け。腕を大きく振り、相手を払いのけながら加速している。 体格は堂安とほぼ同じ、手本にはうってつけだ。

杉本龍勇さん

結局、競ってきてこうやられるわけじゃん。そのときにさ、お前がこれを押さえてたらさ一緒に減速しちゃうわけだろ。こう来たときに、パっと離れた方が。じゃあ例えばサッカーのことだけ考えてさ、足だけでサッカーやるのと、ね。足はもちろんだよ。


でも腕も使えて全身使ってサッカーやるのじゃどっちが出力でるって話になると、全身使った方が出力でるわけでしょ、だから迫力が違うって話になる。

さらに体全体を使うために、杉本さんが取り組ませようとしたのは背中側をバーに引き寄せる、ちょっと変わった懸垂。

杉本「結局、背中回りが動かせないと、だから筋トレっていうよりも、背中動かすための練習だから」。
堂安「上半身マジで力ないんですよね。俺」。
杉本「上半身力なかったら払えないじゃん!走りながら」。

移籍月間まであと10日。唯一無二になるために、やれることは何でもやる。

努力してるというよりも"自分が自分をせかしてるような感覚"

密着を続ける中、堂安の様子が、変わり始めた。このころチームは下位に低迷。残留争いのまっただ中にいた。

チームを鼓舞するためにも、そして移籍を確実にするためにも求められるのはゴールという結果。しかし、絡むことができない。堂安のイライラは 自分だけでなく、チームメートにも向かった。試合後も、どこか憮然としていた。

フィジカルトレーナーの杉本さんは、たまに顔をのぞかせる、こういう堂安が、前から気になっていた。

杉本龍勇さん

大丈夫、あのー結果的にお前が実力的にアップしていけば、どんな人でも何にもいえなくなるから、そこしかねえからスポーツ選手は。


やっぱ実力でいろんな意見をねじ伏せるしかないし、実力で結局周りを納得させるしかないし、実力が伴わない目立ちはいつでも足下すくわれるからさ。

堂安「そうっすね、本当そうっすね。調子乗ったらダメですから俺」。
杉本「分かる。すぐ軽くなっちゃうからな」 。
堂安「俺、日本、本当危ないんすよ。俺にとっては」。

杉本龍勇さん

スポーツってさ最終的にさ、プロ選手であろうとなんだろうと、そいつの性格が全部出るから。だからお前が悪乗りしてるときには、試合中のプレーだって絶対悪乗りするからさ、見りゃ分かるって。結局さあ、お前だけじゃないけどさあ、いろんな選手にみんな言ってるんだけど、選手ってのはさアマチュアだろうがプロだろうがさ高い下駄履かされてるからさ。


要するに自分の実力よりも高い位置に持ち上げられてる訳じゃん、本当の実力は高い下駄がないところだから、ちゃんとそういう意味で周りの扱いっていうのがそういうもので、自分はそんなに実績出てないってそこが謙虚さだからさ、別に僕はできてないですよっていうことじゃなくて、高い下駄履かされてるってことを理解してどうするかっていうのが大事。

堂安「頑張ります。マジでアジアカップ頑張ります、見てください」。
杉本「見るよ、見てるよ」。

杉本さんのオランダ最後の夜。話題は、あの話に・・・。

杉本「この冬の移籍はないのか?」。
堂安「僕はしたいと思ってるんですけど」。
杉本「じゃあ(オランダ)国内でか 」。
堂安「国内でいくか」。
杉本「国内でありそうなの?」。
堂安「国内の方が現実的にはたぶんありそうですね」。
杉本「ありそうなの、アヤックス?」。
堂安「オランダだと、アヤックスとかPSVとかが現実的にはありそうなんで」。
杉本「アヤックスって残ってんだっけチャンピオンズリーグ」。
堂安「レアルとです次」。
杉本「チャンスじゃん、アヤックス行けたらいいなぁ」。
堂安「アヤックス行けたら最高ですね。それこそビッグクラブしか払えない価値になっとけばっていいいんかなって話はしてるんすけど」。

ギリギリまで、何が起こるか分からない移籍市場。だからこそ、頑張らなきゃいけないことが たくさんある。

堂安律選手

やっぱり不安な自分がいて、サッカーやってないときサッカーのこと考えると、自分ほんとにこうなれるのかなとか。メディアの前で優勝するとか、言ってる中で、自分ん中で不安な、自分を持ってる分、やらざるえない状況に自分がいるので。


自分ん中で正直あせらされてるというか、だからこそやらなくちゃいけないっていうところは、 もしかしたら努力してる感覚というよりも、やらないとやらないとっていう、自分が自分をせかしてるような感覚ではあるかもしれないですね。言葉でなんて言ったら分かんないですけど、そういう感覚ではあります。


僕の中では、あせっても、自分が自分追っかけてきてるから、早く逃げて逃げてっていうのをやってるような感覚では、あるかもしれないですね。ただ自分でも自分が分からないときが正直あるので、そこは分かんないですけど。

12月は、結局ワンゴールしかあげられなかった。移籍月間が迫っていた。

市場価値高められるか!アジアカップ

1月。移籍のゆくえを決める最終テストともなる舞台が、幕を開けた。アジアの頂点の座を争うアジアカップだ。8年前には長友がこの大会で活躍、強豪・インテルに移籍した。堂安も同じように輝けるか。迎えた初戦。

サッカーアジアカップ 日本対トルクメニスタン 前半

前半で自分のミスが、失点につながった。

堂安律選手

僕の力はこんなもんじゃないと示さないといけないし。そのためには得点、アシストという形で貪欲にゴールに絡んでいきたい。

負けたら終わりの、決勝トーナメント。ゴールはあげても期待が大きかった分、物足りなさは拭えなかった。

掴めなかった未来と栄光「唯一無二」へRestart

思うようなアピールがきないまま、迎えた移籍期限の日。日付が変わる瞬間まで、その知らせを待った。 しかし、移籍の連絡はこなかった。

その日に行われた決勝。 日本は準優勝。日本を優勝に導くこともできなかった。

堂安律選手

自分の役目を果たせなかったという歯がゆさはありますし、やっぱり結果にフォーカスしているタイプなので、内容というよりも結果で見たときに決勝戦で何もできない自分に腹立たしさを感じてますね。


スピードを強く感じた大会でしたし、その物足りなさを強く感じさせられた大会ではありましたね。

堂安の心と体を支えてきた、杉本さん。

杉本龍勇さん

今回移籍が実現しなかったということは、まだやんなきゃいけないことたくさんあるよ、ということだと思うんですよね。


だから決してネガティブにとらえる必要なく、むしろ今回のアジア杯の準優勝とか、移籍が今回残るということを考えたときに、ぜひ立ち位置として、もう一回見つめ直してここから上に向かってさらにやっていかなくちゃならないという気持ちになってくれればいいかなと思います。

この言葉を、堂安に伝えた。

堂安律選手

あの人が言ってくれることは説得力ありますし。一緒に頑張ろうと言ってくれるので、自分だけじゃなく一人の力だけじゃないと思うので、 違うプロフェッショナルの方がいるので、その龍勇さんみたいな方に頼りながら強くなっていければなと思っています。


自分に自信がなくなったわけじゃないですし、これくらいやれるっていうのを常に自問自答しながら大会通してやってきたので、そこに対しては信念は揺るぎなく持ちたいですし、それをやり通すことによって本当に唯一無二という目標にたいしてつながって行くと思うので、そこは揺るぎなく持って行きたいと思います。

今月6日。堂安は再びフローニンゲンへ向かった。唯一無二を目指して。リスタートだ。

                   
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