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2019年2月20日(水)

飯塚翔太「速い選手は "美しい"」 「いだてん」たちの"つぶやき" -第2話-

陸上担当の記者やディレクターなどが、取材の中で見つけた様々な話を発信していく「いだてん」たちの”つぶやき”。

第2話は、リオデジャネイロオリンピック400メートルリレーの銀メダリスト・飯塚翔太。今月上旬、NHKの「美脚」をテーマにした番組の収録に臨んだ。

アスリートにとって体は競技結果に直結する大切なもの。飯塚は自らの体をどのように考え競技に取り組んでいるのだろうか。撮影を通して、その独特な考え方が見えてきた。


いだてんたちの"つぶやき"

筋肉とは・・・「美」ですかね
(飯塚翔太)


筋肉を見れば調子の良しあしが分かる!

1月下旬からアメリカ・シカゴで合宿を行っていた飯塚。収録は帰国した翌日に行われた。

飯塚翔太選手

こんなに筋肉の撮影をするのは初めてですよ!

それもそのはずだろう。ふだんアスリートはプレーしている全身や表情を撮影されることが多い。しかし、今回は脚の筋肉をフォーカスされる。少し戸惑いがあったのかもしれない。撮影の合間、雑談をする中である質問を投げかけてみた。

──飯塚選手にとって、筋肉って何ですか?

抽象的な問いに対してしばらく考えたあと、絞り出すように言葉を発した。

飯塚翔太選手

筋肉って、何ですかね。簡単には答えられないかもしれないですね・・・。

撮影は順調に進んでいった。

(鍛え上げられた飯塚の脚)

スタート時の筋肉の撮影。躍動する筋肉に、スタッフからも驚きの声が上がっていた。

撮影後のインタビューでは、様々な質問に対して1つ1つ丁寧に自らの考えを語っていく。

──理想の脚についてどのように考えていますか?

飯塚翔太選手

短距離で速く走るのであれば、腱が長いのと、足首が固いのと、ふくらはぎが小さいことが理想ですね。

──他の短距離選手の脚を見て、調子の良し悪しはわかったりしますか?

飯塚翔太選手

調子悪いとすぐわかりますよ!特に太もも部分ですね、張りがあるかどうか。お尻も垂れているんですよ、調子悪いと。見ればすぐにわかります!

太ももなどを見るとその選手の調子がわかるという発言には驚かされた。そして、最後に。撮影序盤では明確に答えられなかったあの質問をもう1回聞いてみた。

──飯塚選手にとって、筋肉って何ですか?

2時間ほどの撮影、たどり着いた答えがあった。

飯塚翔太選手

筋肉とは・・・“美”なんですよね。速い人は美しいんです!

速い人は美しい──。それはトップアスリートならではの感覚が凝縮された究極の答えだったのかもしれない。

この撮影の休憩時間、私は飯塚が脚にオイルを塗りケアしている姿を度々目撃した。脚の筋肉を美しくきれいに保つ効果もあるのだという。

この文章を書きながら私はこう思い始めた。「速い人の脚が美しい」というのはもちろん、「脚が美しい人も速い」のだと。つまり、あのオイルケアは飯塚なりのメッセージだったのかもしれない。

筋肉以上に美しく輝くその目!

この撮影の翌日から飯塚はメキシコに旅立った。1か月の高地トレーニングで春からのシーズンに向けて体を仕上げていく。今年まず照準を合わせるのは4月のアジア選手権。9月下旬にカタール・ドーハで行われる世界選手権の選考レースにも含まれる。

去年のアジア大会、飯塚は200mで6位に沈んだ。優勝したのは、後輩・小池祐貴。悔しいレースだったのだろう。

同じアジアの舞台でリベンジを──。今シーズンの抱負を語る飯塚の目は筋肉と同じくらい、いや、それ以上に美しく輝いていた。

拝啓 ファンの皆様「いだてんたちからのメッセージ」

「いだてん取材記」

飯塚選手は、去年夏のヨーロッパ遠征で初めて取材させて頂きました。私と同じ静岡県出身、大好きなうなぎの話で盛り上がった時が最初の出会いでした。

ここで、飯塚選手ファンの皆様に耳寄りな情報をひとつ。試合前はうなぎを食べることが多いということです。それは「うなぎのぼり」にあやかりたいー。なんともチャーミングな理由でした。飯塚選手を取材させて頂くと、その人柄、温かさに感銘を受けます。

試合後の取材でのこと、私たちメディアからの質問に対し、質問者の目を見て1つ1つ丁寧に答えてくださります。日本代表のリレーチームの絆も、”気遣いの男“あってなのかなと感じる日々です。強行日程にもかかわらず撮影にご協力頂いた飯塚選手、関係者の皆様、ありがとうございました。

今後もいだてんたちの”つぶやき”は、選手と視聴者の皆さんをつなぐ”バトン”のような記事をめざしていきます。

※今回飯塚選手が行った撮影は、4月頃にNHKBSプレミアム「ボディーミュージアム」で放送を予定しています。

※NHKでは現在、「陸上男子短距離」の大型特集番組の取材を進めています。放送は世界選手権がおこなわれる秋頃を予定しています。

伊藤悠一

スポーツ番組部ディレクター。平成24年入局。和歌山局を経て、平成29年からスポーツ番組部で陸上・野球などを担当。自身も大学時代は競走部(陸上部)に所属し十種競技の選手。100mの自己記録は11秒31。

                   
※NHKサイトを離れます

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