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2019年2月15日(金)

テコンドー界のエンジェル・松井優茄 半端なく美しく強い格闘家

すらりと伸びた細くて長い脚、9頭身の小顔。モデル?と思うくらいのルックスで男性ファンの心をわしづかみにする格闘家、それが松井優茄(ゆうな)選手です。しかも強い。全日本テコンドー選手権大会で2連覇を果たし、全日本テコンドー協会の強化指定選手として東京五輪での活躍が期待されています。美しくて強いテコンドーファイターの素顔に迫ります。

“メイクなし”では、いつも通りの力が出せない

写真は、普段の松井選手です。女性向けのファッション雑誌を見ているようですが、なんと松井選手は、“フルメイク”のこの姿のまま道着に着替え、練習にも試合にも臨むんです。

松井優茄選手

私にとって、メイクをしてテコンドーをするのは、特別なことではないんです。女子ならフツー、外に出かける時はメイクをしますよね?近所のコンビニぐらいまでならノーメイクでも行けますが、電車に乗って外出するならすっぴんでは無理、無理、無理!(笑) 普段メイクをするのが当たり前なので、練習や試合の時もその延長でメイクをしているんです。

1ラウンド2分間の3ラウンド制で行われるテコンドーの試合は、多彩な蹴り技を応酬する激しい格闘技。汗もたくさんかきます。しかも大会では、予選から決勝まで1日で数試合を戦わなければなりません。それでも松井選手のメイクが崩れることはありません。どんなに汗をかいても、いつも通りに美しく、華麗に、それが“優茄スタイル”です。

松井優茄選手

試合中もメイクはしていますが、ファンデーションやアイライナーなど、メイク道具を大会会場に持ち込んだことはないんですよ。ただ、メイク道具にはこだわっています。汗をかいても落ちないものを選んで使うようにはしています。まわりの目は特に気になりません。私は私。いつも通りに、練習してきたことを実践して、自分の思い通りのプレーができるように戦うのみです。

最大の武器は、身長167㎝、体重46㎏の“スリムボディー”

167cmの長身でありながら46キロという細身の体型が松井選手の最大の武器です。テコンドーは、胴よりも頭部に蹴り技を決めた方が高得点になるため身長の高い選手が圧倒的に有利だからです。テコンドー女子の階級は、46キロ級、49キロ級、53キロ級、57キロ級、62キロ級、67キロ級、73キロ級、73キロ超級の8段階に分かれていて、松井選手は最も軽い46キロ級。このクラスで167㎝の長身の選手は極めてめずらしいのです。持ち前の“スリムボディー”から繰り出されるパワフルで多彩な蹴り技が背の低い対戦相手の頭部にさく裂、試合の主導権を一気に握ります。

松井優茄選手

私は“松井といえば、あの技だよね!”というような得意技を持っているタイプではありません。強いて言えば、相手の出方を見てフレキシブルに戦術を変えていけるのが私の強みかも知れません。“この選手は次のタイミングで一瞬すきができるから、中段げりを一度挟んでから上段げりでポイントを稼ぎにいこう”など、瞬時に判断していますが、そうした攻めが確実に実行できるのは、他の選手よりも長身であることが有利に働いていると思います。

ところが、東京オリンピックを前に大きなハードルにぶつかっています。実は、オリンピックのテコンドー女子の階級は、49キロ級、57キロ級、67キロ級、67キロ超級の4階級のみなのです。違いはわずか3キロですが、世界レベルの選手にとってこの3キロは大きな差。重い階級から体重を落としてくる選手も多く、身長170㎝を超える長身の選手も少なくありません。筋力があるため、スピードも強さも半端ない選手ばかりです。

松井優茄選手

テコンドーはボクシングと同じで、選手は4~5キロ体を絞った状態で試合に出場します。以前49キロ級で出場したとき、自分よりも体の大きな選手が多く、筋力・体力の差も痛感しました。筋肉量を増やして、より体幹を鍛えるためのトレーニングを重ねて49キロ級に対応できる体作りをしていますが、階級を上げるタイミングも重要なので、コーチと相談して決断したいと思います。

けがから生まれた“サウスポー・ミドルキック”

テコンドーは、空手や柔道と同じように左右どちらかの足を一歩前に出して半身に構えます。右利きの松井選手は、左足を一歩前に出し、その左足を軸足にして右足で蹴りを繰り出す態勢を得意にしてきました。ところが、リオオリンピック出場をかけた予選大会を目前に控え、軸足である左足のハムストリング(太ももの裏の筋肉)を肉離れ、半年に渡って練習ができませんでした。けがが治ってみると、左足の筋肉はすっかり衰えていて、以前のように強い右足のキックが繰り出せなくなっていました。

松井選手はこの逆境をチャンスに変えました。右足を軸にして左足で蹴る練習を重ね、サウスポーのミドルキック(中段蹴り)を自分の技として体得したのです。やがて左足の筋肉が元に戻ると、右足でも左足でもスピードと威力のあるキックが繰り出せるようになっていました。テコンドーでは、左右両方から技が繰り出せると技のバリエーションが広がり、有利になります。文字通りの“けがの功名”?、松井選手の戦闘能力は、けがによって大幅にアップしたのです。

松井選手は、対戦相手がサウスポーの場合でも物おじしません。相手とは逆の左構えで戦ったり、相手と同じ右構えで向き合って相手の背中側から蹴りを繰り出したり、状況に応じて臨機応変に攻め方を変えます。そして、1階級上の49キロ級で戦う東京オリンピックに向けて、サウスポーのハイキックや後ろ回し蹴りの練習にも力を入れています。左右両方から多彩なキックを繰り出す美しい格闘家・松井優茄選手、その進化から目が離せません。

                   
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