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2019年2月10日(日)

前代未聞?陸上女子「リレー・スペシャルチーム」誕生!

9秒台に迫る「いだてん」たちがしのぎを削る男子に比べ、近年成績不振に苦しんでいる陸上の女子短距離。特に「リレー」は2020年東京オリンピックの出場さえも危ぶまれています。400メートルリレーでオリンピック出場権を得るためには、「あと1秒」タイムを縮める必要があるとされています。
オリンピックの同種目では、決勝に残ったチームはすべて「42秒台」を記録。予選で最もタイムが遅かったガーナでも「43秒37」で走っているのです。
日本記録を更新してもなお立ちはだかる「あと1秒」の差。
その1秒を削り出すため、女子短距離でリレーを専門とする「スペシャルチーム」を作る史上初のプロジェクトが始まりました。2020への起死回生の一手となるのか?チームの取り組みに密着しました。(2月3日 サンデースポーツ2020から)

「今の女子リレーの評価はゼロ」

オリンピック本番まで1年半を切った去年12月、リレー専門のスペシャルチームを作るプロジェクトが発表されました。東京大会への出場を目指す女子選手や関係者たちが集まった説明会の冒頭、衝撃的な言葉が発せられました。

山崎一彦リーダー

今の女子リレーは、強化の中で言うと評価は、ゼロです。

声の主は山崎一彦さん。日本陸上競技連盟の強化委員で、このプロジェクトのリーダーです。山崎さんは続けます。

山崎一彦リーダー

東京オリンピックを迎えるにあたって、だれもそのトラックを走らなくていいのか?本当にこのままでいいのか?その役目を担うために、とにかくこのリレーで代表権を勝ち取って、東京オリンピックの舞台に立ちたい、私はそういう気持ちです。

出場権をとるための大改革

オリンピックへの思い。山崎さんはその共有のために、続いてオリンピックでのリレー競技の映像を見せました。

まずは男子の400メートルリレー。北京、リオデジャネイロの2大会で銀メダルを獲得しました。磨き上げたバトンパスの技術と一人一人の走力が融合。栄光をつかみました。

次に見せたのは女子のリレー。48年ぶりのオリンピック出場となったロンドン大会。日本は1走から2走へのバトンの受け渡しに失敗。予選敗退に終わります。

そしてそれ以降、オリンピックや世界選手権などの主要な国際大会に、出場すらできていないのです。

「オリンピックの出場権は必ず取る」

山崎さんは100メートルなどの個人種目のタイムをもとにしていた代表選考を改め、一からリレーに特化したチームを選考することにしたのです。

山崎一彦リーダー

リレーは一瞬の狂いもなくバトンパスをして渡す、4人が息を合わせてやらなきゃいけない競技なんです。だから代表になるっていうのは、個人種目のタイム上位4人に入るかどうかじゃないんです。チームですから。

独自のタイムトライアル

オリンピックへの「あと1秒」を実現する選手たちはだれか。

400メートルリレーのセレクションには、オリンピックや世界選手権の経験者から、国際大会の経験がない高校生まで、32人が名乗りを上げました。

今回の選考では、独自のタイムトライアルが実施されました。

その一つが「30メートル走」です。1走以外の「バトンを受ける」選手には、30メートルのバトンゾーンの中にトップスピードで入ってくる選手に合わせる「加速力」が必要とされます。プロジェクトチームは、この30メートルを「命の区間」と呼び、重視したのです。

そして、4走以外の「バトンを渡す」選手としての力は、バトンゾーンを含む長さの「120メートル走」で見極めます。

セレクションに参加していた実力者のひとり、市川華菜選手。心に期するものがありました。

予選敗退だった2012年のロンドン大会、市川選手は2走として出場していました。それ以来となるリレーでのオリンピック出場に強い思いを持っていたのです。

市川華菜選手

リレーへの強い気持ちを持っている選手が、このセレクションに参加するのは、いいきっかけになると思うんです。

そして、選考会議へ

タイムトライアルの後、すぐに選考会議が行われました。山崎リーダーを中心に、女子リレーの強化にかかわるすべてのコーチ、映像解析の専門家が、32人の中から8人を選出します。今回のタイムトライアルでのタイムに、昨シーズンまでの成績、そしてプロジェクトチームの目で見たものを合わせて選ばれた8選手は…。

青野朱李選手
壹岐いちこ選手
市川華菜選手
鈴木くるみ選手
福田真衣選手
三宅奈緒香選手
山田美来選手
山中日菜美選手


28歳の市川選手が最年長。高校生からは最年少の鈴木選手と青野選手の2人。市川選手以外は全員がシニアの国際大会の経験がない、フレッシュな顔ぶれになりました。

「チーム」であと1秒を削り出せ

1月、選ばれた8人のリレー選手のみでの合宿が初めて行われました。
昨シーズンの日本代表のベストタイムは「44秒11」。ここから、オリンピック参加に必要な「あと1秒」を縮める作業が始まります。

そのための戦略のスタートとして、この合宿では、3日間ほぼすべての時間を「バトンパス」の技術向上に費やしました。長年、女子リレーの課題となっていたポイントです。

コーチが求めたのは、バトンパスを短時間で終えること。バトンを受け取った後、スムーズに加速するためです。選手はバトンを受け取るために手をあげている時間を「0.4秒以内」と指示された状態で、練習を繰り返します。

「バトンを受けるために手をあげる位置がちょっと高いよ」

経験豊富な市川選手が、高校生の青野選手に助言をする姿もありました。選手、コーチたちの「あと1秒」を縮める試行錯誤は続いています。

青野選手(左)へアドバイスする最年長の市川選手(右)

第1回の合宿後、追加のセレクションで選ばれた世古和選手も加わり9人となった、女子リレーチーム。
新チームのデビュー戦は、3月の国際大会。直前まで3回の合宿を行い、チーム力強化を続けていきます。

市川華菜選手

新しいチームになって、みんな可能性のある子たちなので、タイム、自己ベストを出して、日本記録をバンバン出せるようなチームを作っていきたいと思います。

東京オリンピックへの道のりはこれから始まります。最短ルートは5月に行われる世界リレーで10位以内に入って、9月の世界選手権に出場。そこで8位以内に入ったチームが、オリンピックへの出場権を獲得できます。

決して容易ではない挑戦。チームでオリンピックまでの「あと1秒」を縮めることができるのか、注目です。

※最新の代表候補メンバーは日本陸上競技連盟HP(https://www.jaaf.or.jp/)から確認できます。

                   
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