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2019年1月18日(金)

「守備の要」になれ! サッカー・冨安健洋Road to Tokyo/Qatar 第2回

サッカーアジアカップで、日本代表の1次リーグ3試合すべてに出場したディフェンダーの冨安健洋選手。身長1メートル88センチ。日本待望の大型ディフェンダーとして大きな期待がかけられています。

高校2年生だった2015年、J2アビスパ福岡でプロデビューすると、去年からはベルギーのシントトロイデンに移籍。東京オリンピックを目指す世代で、秋には日本代表にデビュー。その成長の軌跡とは…。
(サンデースポーツ2020 1月13日放送から)

森保監督絶賛の好プレー

去年11月。日本代表とベネズエラ代表の強化試合。センターバックとして先発していたのは、この日が代表2試合目の冨安選手でした。前半11分。ゴール前に抜け出した相手のシュートがゴールキーパーの手をかすめ、日本ゴールを割ろうとしたその時…。冨安選手はスライディングしながらボールをクリア。ピンチを防ぎました。

この時、冨安選手は相手のシュートに反応し瞬時にダッシュ。自らはゴールに突っ込みながら、巧みに体を投げだしボールをかき出していました。代表に定着するうえで、大きなアピールとなるプレーでした。

サッカー日本代表 冨安健洋選手

冨安健洋選手

僕は毎試合スタメンで試合に出られる保証はないですし、1個1個段階を踏みながら、その場その場でアピールすることしかないと思っています。

日本代表の森保一監督は、冨安選手が見せたこのプレーが、去年指揮を執った中で最も印象に残っていると称賛の声を送りました。

サッカー日本代表 森保一監督

森保一監督

本当に「スーパーな」プレーです。
あの場面で次のプレーを予測していなかったり、動きを止めてしまっていたら、あのプレーは生まれていない。ピンチの場面で頑張って最後のひと粘りで足を出してボールをかき出すというのは、代表チームですごく大切にしていきたいプレーなんです。それを、冨安選手は表現してくれました。

長身、そして俊敏

1メートル88センチの冨安選手は、日本代表のフィールドプレーヤーの中では吉田麻也選手に次ぐ長身。それでも、その体格からは想像もつかない俊敏さと器用さを兼ね備えています。取材班はベルギーのシントトロイデンに取材に赴き、その秘密を探りました。

ベルギーのリーグには世界中から選手が集まり、そこからイングランドなどの強豪リーグへとステップアップすることを目指して、激しい競争を繰り広げています。10代でその環境に身を置いた冨安選手は、屈強な海外の選手と渡り合うために模索を続けていました。

冨安健洋選手

自分はまだまだ本当に「線が細い」ですし、チャレンジしに来ている立場です。だからこそ自分の価値を証明しないといけないと思っています。できない状況に身を置く方が、成長できると僕は思っているので。

意識していたのは、「体をどう効果的に動かすか」
ベルギー流のトレーニングを続ける中で、冨安選手はあるテストを受けました。ドイツのバイエルンミュンヘンなど、ヨーロッパの強豪チームが取り入れている、「FMS(Functional Movement System)」というテストです。

ひざの屈伸など7種類の動きを、どれだけ体のバランスを崩さずに行えたかを計測。この数値が高いほど、サッカーで求められる複雑な動きに対応できると言われています。
このテストでの冨安選手の数値は、21点満点中、チームトップの18点。シントトロイデンには、コンゴやギニアなどアフリカ各国の代表選手がそろう中、チーム平均を3点以上、上回ったのです。

恵まれた体を使いこなし、今シーズンは開幕からレギュラーとして全試合フル出場(1月13日時点)。リーグで上位につけるチームにとって、欠かせない戦力になっています。

シントトロイデン ブレイス監督

冨安には、ディフェンスにおいて抜群の運動神経があります。強くて大きくて速い。肉体的にも技術的にも、非常に豊かな才能を持っていると思います。

長身ながら苦手なのは…

身のこなしに秀でる一方、冨安選手には苦手にしているプレーがありました。ディフェンダーとしての基本スキル、「ヘディング」です。

3年前、アビスパ福岡時代の冨安選手

高校生でプロ入りした直後、所属していたアビスパ福岡では、練習で相手に簡単に競り負けていました。
冨安選手は小学生のころから周囲よりも身長が高く、ジャンプをしなくてもヘディングで勝ててしまうほどだったといいます。しかし、プロに入るとそのヘディングは通用しませんでした。身長の高さに頼ってしまい、ヘディングにおける技術を磨いてこなかったのです。

アビスパ福岡監督(当時) 井原正巳さん

当時、アビスパ福岡で監督を務めていた井原正巳さん(現・柏レイソルコーチ)は、そんな冨安選手に、徹底的にヘディングの技術を教え込みました。

井原正巳さん

アビスパの時の冨安を見ていて、ヘディングが一番物足りなかったですね。あれだけ身長があるのに、「強さ」をなかなか発揮できない選手だった。だから、ヘディング練習はずっとやりましたね。

かつて「アジアの壁」と呼ばれた、日本代表の名ディフェンダーだった井原さん。その指導を受け、冨安選手は飛ぶタイミングや、相手との駆け引きなどを繰り返し練習していきました。

井原正巳さん

冨安は本当に「練習の虫」なんですよね。その中で、相手と駆け引きをしながらイニシアチブ(主導権)をとられない競り合いというのを体で覚えていったんだと思います。

日本の「守備の要」に

井原さんの指導を土台に、屈強な選手の揃うベルギーでさらにヘディングの技術を進化させている冨安選手。そのプレーには井原さんも成長を感じています。


去年10月。代表デビューとなったパナマとの強化試合。相手のロングボールに対し、冨安選手とパナマの選手が競り合った場面。冨安選手は相手に完全に競り勝ちボールをヘディングで跳ね返します。そのプレーには、井原さんが教え込んだ技術が表れていました。

井原正巳さん

相手と競り合いになるとき、ボールが来る前の駆け引きの中で、冨安は一度相手に体をぶつけているんです。それで相手の体勢を崩し自分の方が良いポジションをとることができて、ヘディングで跳ね返している。本当にたくましくなりましたよ。


その成果はデータにも表れています。去年、日本代表の試合で冨安選手がヘディングで相手より先にボールに触ることができた確率は85.7パーセント。出場試合は2試合と少ないですが、同じセンターバックの中ではトップの数値です。


高い身体能力に加え、苦手だったヘディングの技術を身に着けつつある冨安選手。彼が今見据えるものとは…。

冨安健洋選手

僕の最終進化形は、「守備の要」になることです。守備のスペシャリストになりたい、どのチームに行っても、「守備の要」だと言われるようなプレーヤーになりたいです。

2019年、日本代表の主力に定着した冨安選手。夏にはベルギーからイタリアのボローニャに移籍。そこでも定位置をつかみ着実にレベルアップを続けています。東京オリンピック、そしてワールドカップカタール大会へ、「守備の要」としてどのようなプレーを見せてくれるのか期待が高まります。

                   
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