読み込み中です...

2018年12月20日(木)

再起をかけて レスリング登坂絵莉 全日本選手権へ

12月20日から行われる、レスリングの全日本選手権。そこに、リオデジャネイロオリンピックの金メダリストが再起をかけて挑みます。女子50キロ級の登坂絵莉選手(25歳)。この2年間、相次ぐケガで国内でも目立った成績を残せていません。

その間に、世界選手権2連覇の須﨑優依選手(19歳)や、その須﨑選手を去年の大会で破って日本一に輝いた入江ゆき選手(26歳)などライバルが台頭。東京オリンピックに向けて、女子50キロ級では激しい代表争いが予想されています。

ライバルたちとたったひとつの代表枠を争う登坂選手の意識には、偉大な先輩の姿、そして葛藤がありました。
(サンデースポーツ2020 12月16日放送から)

相次ぐケガを乗り越えた身体

治療に顔をゆがめる登坂絵莉選手

「ああ!痛い!痛いぃ!」

部屋中に響き渡る絶叫。
全日本選手権を3週間後に控えた今月上旬、取材に訪れると、痛みに苦悶の表情を浮かべる登坂選手の姿がありました。体のケアのために行う針治療。リオ五輪からの2年間、足の指やひざのけがに悩まされ、2回の手術を経験してきました。再起をかけた全日本選手権を前に、経過は順調だと言います。

登坂絵莉選手

ずっとコンスタントに練習にも入れるようになったし、大きなケガもないし、いい感じです。もうケガしたくないです。もういいです。

金メダルを呼んだ「片足タックル」

登坂選手が一躍脚光を浴びたのは、リオデジャネイロオリンピック。決勝、試合終盤まで相手にリードを許しますが、残り8秒。相手の右足にタックルし一気に倒します。得意技の「片足タックル」。足をつかんだら離さないしぶとさで逆転の金メダルを勝ち取りました。

登坂選手には、東京オリンピックでの連覇という大きな期待がかけられるようになりました。

吉田沙保里の背中を追って

金メダル獲得から10か月たった去年6月。登坂選手はこれまで以上に自分を追い込んで練習に取り組んでいました。その胸の中にあったのは、大学の先輩であり、オリンピック3連覇を果たした吉田沙保里選手の存在でした。

登坂選手にとっては、9歳でレスリングを始めた時からのあこがれの存在。誰よりも練習しながら、後輩たちへのアドバイスも欠かさない。チームを引っ張りながらオリンピックで連覇を続けた「偉大な先輩」の背中を、登坂選手は追い続けてきました。

吉田選手は、銀メダルに終わったリオ大会の後、練習に参加することが減っていました。登坂選手は、「自分が吉田選手の代わりを果たそう」と考えていたのです。

登坂選手

やっぱり沙保里さんがすべてなので、強くて何でもできて、優しい先輩の姿にあこがれています。だから自分が代わりになりたい、代わりにならなきゃいけない。

しかし、意気込みとは裏腹に、登坂選手の体には大きな負担がかかっていました。

去年10月にひざを負傷。レスリングができない日々が続きました。その間。須﨑選手や入江選手が台頭し、登坂選手は代表争いから取り残されていました。

得意のタックルが決まらない

今年6月。ケガから復帰した登坂選手は、全日本選抜選手権大会で、ライバルの一人・入江選手と対戦しました。登坂選手は得意の「片足タックル」を狙いますが、かわされます。ケガの影響で練習が足りず、タックルの感覚が取り戻せていなかったのです。結果、試合は入江選手の勝利。登坂選手は代表を争うライバルに6年ぶりの敗戦を喫しました。

試合後、登坂選手は、「自分の今の実力と周りからの期待のギャップが大きかった」と涙を流し会場を去りました。

原点回帰で結果を残せるか

この敗北を突き付けられたことで、登坂選手はそれまでの意識を変える必要に迫られました。「吉田選手の代わりを務めるには無理がある」と、初めて気づかされたのです。


登坂選手

私はやっぱり吉田選手ほどの実力も今はないし、泣くし、怒るし、笑うし、あまりかっこいい先輩ではない。でも一生懸命にやる。全力でレスリングに対して向かっていく中で結果を残すのが一番いいですけど、そういう先輩になろうと思います。

片足タックルの練習を繰り返す登坂選手(赤)

ライバルたちに勝ち、結果を出すために何が必要か。登坂選手に残されていたのは自分の「原点」に立ち戻ることでした。

リオ大会の決勝のような、粘り強い片足タックルを取り戻す。相手の足をつかみ、倒しきるまでの動きを何度も確認する練習を繰り返しました。

吉田沙保里からかけられた言葉は

久々に吉田沙保里選手と組み合う

今月上旬、吉田沙保里選手が道場にやってきました。登坂選手はさっそく胸を借ります。今の自分の片足タックルが、吉田選手にどう見えるのか、組み合った15分間、片足タックルだけを仕掛け続けました。

練習後、吉田選手は登坂選手と組み合った感想をこう語りました。

吉田沙保里選手

タイミングと、勇気と、最後の最後まであきらめない強い気持ちが大事になってくるので、今の登坂選手の片足タックルは絶対に生きてくるし、この片足タックルで勝ってほしいです。

登坂選手

ケガをしても絶対に折れずに来たし、練習もがんがん追い込んでやった、不屈の精神だなと思いました。練習しながら、これだと思って、見つけました。

偉大な先輩を追い求め、挫折も味わった登坂選手。今はそれを力に変えて、ライバルとの戦いに臨みます。

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事