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2018年12月4日(火)

柔道 出口クリスタ カナダ代表で2020へ

柔道女子57キロ級で、2020年東京オリンピック出場を目指す出口クリスタ選手。目指すのは、「カナダ代表」でのオリンピック金メダルです。父親がカナダ人、母親が日本人で、日本で生まれ育った出口選手。代表変更にこめた思いに迫ります。

持ち味は攻める柔道!

出口選手は現在23歳。日本の企業に所属しながら、普段は母校の山梨学院大学で練習に励んでいます。今年9月、カナダ代表として初めて出場した世界選手権では、持ち味の「攻める柔道」で銅メダルを獲得しました。2020年の東京オリンピックでは、金メダル獲得を目指しています。

出口クリスタ選手

オリンピックが一番の目標なので、それに向けて今できることを精いっぱいやって、2020年を迎えたいと思っています。

「日の丸」から「カエデ」への誘い

長野県塩尻市で生まれ育った出口選手。3歳から柔道を始め、高校1年生のときに全国優勝。「オリンピックでの金メダル」が自然と目標になっていきました。

しかし、レベルの高い日本の中では、代表選手の座に近づくことができないまま、2016年のリオデジャネイロオリンピックの出場はかないませんでした。

その直後、出口選手に声をかけたのが、父の祖国・カナダの柔道関係者でした。

「カナダ代表であれば、目標だったオリンピックが一気に近づく――」。

それでも、出口選手はすぐにカナダ代表を選択することができませんでした。気にかかったのは、この先周囲から自分に向けられるであろう「冷たい視線」でした。

出口クリスタ選手

2020年に自分が日本でオリンピックの畳に立った時、「あの人、前まで日本の国旗つけていたよね」と言われるのを考えると…。それは、「裏切る」ということになるんじゃないかと考えてしまったのが一番自分の中で大きかったです。

「何を目指しているのか」 恩師に気づかされた原点

半年間悩み続けた出口選手。相談したのは、幼いころから柔道の手ほどきを受けてきた、出身道場の先生、村山良治さんでした。

出口選手と村山さん(右)

村山さんは悩む出口選手に、問いかけました。

「お前は何を目指して柔道をしているのか?」
「日本代表か、カナダ代表かどうかではなく、お前の目標は“オリンピックに出場して頑張ること”なんじゃないのか?」

出口クリスタ選手

「なんで自分は大学まで柔道を続けてきたんだろう」と改めて考えました。
自分はやっぱり「オリンピックで勝ちたい」から柔道を続けている。
じゃあ、その目標に一番近いのは?と考えた時に、それはカナダ代表だと思ったんです。

自らの原点を見つめ直した出口選手は、カナダ代表として畳に上がることを決意しました。

出口クリスタ選手

例えこれでオリンピックに出られませんでした、ってなったとしても、自分が絶対後悔することはない。する予定もないです。今を一生懸命やって、それでうまくいかなかったらうまくいかなかった時。

飛躍 金メダル候補へ快進撃

カナダ代表を選択した出口選手は、大学卒業後も日本に拠点を置き、「攻め」の柔道を磨き続けました。そして、今年に入って出場した国際大会では5大会連続で優勝。一躍、世界選手権の優勝候補に駆け上がりました。

大きな大会の前には職場の仲間が壮行会を開く

そんな出口選手の大きな支えとなっているのが、周囲の人たちの応援です。所属企業の人たちは、出口選手がカナダ代表になっても、変わらずに声援を送り続けています。

会社の先輩

日本じゃなくても、出口さんは出口さんだし、後輩であり、会社の職員だし、やっぱり一番応援したいなと思います。

出口クリスタ選手

すごいプレッシャーですけど、日本代表とか、カナダ代表とか関係なしに応援してくれるのは、とてもありがたいです。プレッシャーの中で、相手だけじゃなくて自分とも戦えるか、だと思います。勝負はそこ、カギはそこだと思っています。

2020を明確に見据えて

11月。大阪で行われた国際大会、グランドスラム大阪で優勝を目指した出口選手。スタンドからは所属企業の仲間たちおよそ100名が声援を送りました。



去年は「周りの雰囲気にのまれてしまった」と初戦敗退だった出口選手。今年は自分の試合に集中し、1回戦、2回戦を順調に勝ち上がります。

迎えた準々決勝、相手は日本代表の玉置桃選手でした。出口選手は「相手に研究されていた」と攻め続ける相手に対し後手にまわってしまいます。攻め手を欠いたまま、勝負は延長戦にもつれ、延長2分37秒、反則負けで敗れました。

3位決定戦、相手に攻め込まれる出口選手(白)

その後、敗者復活戦を勝ち進み、銅メダルをかけた3位決定戦へ。ここでも相手は日本代表の舟久保遥香選手でした。

開始35秒、寝技から立ち技に移る一瞬の隙を突かれ、一本負け。

生まれ育った日本での国際大会は5位に終わりました。

それでも出口選手は試合後、すっきりとした表情で答えてくれました。

出口クリスタ選手

日本での試合の苦手意識は、少し克服できたし、応援も大きな力になった。試合の内容は反省が多いけど、少しは成長できたと思う。2020年に向けて、また頑張っていきたい。

出口選手の胸には、決して揺らがない思いがあります。

“日本で学んだ柔道をカナダ代表として貫く”

自分を育ててくれた日本の柔道で、日本選手を倒して金メダルを獲得することが、日本柔道への恩返しになる、と語る出口選手。目標の東京オリンピックまで1年8か月。その目には、2020年を明確に見据えています。

スポーツ番組部ディレクター 永井宏美

平成28年入局
スポーツ番組部で現在3年目。柔道は取材をはじめて1年あまり、女子選手を中心に取材。目標は、1対1で競い合う柔道のかけひきの奥深さを伝えること。

                   
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