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2018年10月31日(水)

なにが変わった!?フィギュアの新ルールを本田武史さんが解説

フィギュアスケートは2年に1回ルール改定が行われることを知っていますか?オリンピック後となる今シーズンは、ひときわ大きな変更がありました。
 
現在プロスケーターやコーチ、解説者として活躍中の本田武史さんによると、今回のルール改定を一言で表すなら「トータルバランスを求められるようになった」とのこと。

とはいえ、ただでさえ難しいフィギュアスケートのルール。一体なにが変わったの!?選手にはどんな影響があるの!?本田さんに分かりやすく解説してもらいました!

何が変わった?まずは主な変更点をチェック!!

変更されたポイントはたくさんありますが、なかでも特に重要な変更点をまとめると以下のとおりです。

時間が短くなって、ジャンプも減ったということは、選手にとって楽になったということ?

この変更が選手にとってどんな影響があるのか、教えて本田さん!!

変更点① 男子フリーの演技時間が短くなった!

男子フリースケーティングの演技時間が4分30秒から4分に短縮されました。滑る時間が短くなったので、選手は体力的に楽になった……と思いきや、そうではないようです。


本田さん「30秒減ったことで、ジャンプとジャンプの繋ぎがタイトになりました。呼吸を整えたり心拍数をおさえたりする時間が減ったということですね。」

――ということは、体力的にはむしろつらくなったんですか?

本田さん「はい。どの選手も4分のほうがキツいって言いますね。時間が短いぶん失敗したときのリカバリーも難しいので、どうしても悪循環に陥りやすいです。」

変更点② 男子フリーのジャンプの本数が減った!

ーー男子フリーにおけるジャンプの本数が8本から7本に減ったようですが、それでも体力的に負担がかかるのでしょうか?

本田さん「たしかに、本数が減ったのは楽になった部分でもあるのですが、プログラム自体が30秒短くなったので……。結果としてやはり体力の消耗が大きいことに変わりはないですね。」

変更点③ ジャンプの基礎点が下がった!

ーー4回転や3回転ジャンプの基礎点が見直され、なかでも高難易度のジャンプほど大幅に下がりました。これでは、難しいジャンプに挑戦するメリットがなくなったようにも思えますが……。

本田さん「いえいえ、そんなことはありません。挑戦して成功すれば高得点が狙えますし、自分の限界を超えるためには難しいジャンプを跳ぶ必要があります。」

変更点④ コレオシークエンスの基礎点がアップ!

ーー難易度の高いジャンプの基礎点が下がった一方で、コレオシークエンスの基礎点が2.0から3.0に上がりました。これは何を意味するのでしょうか。

本田さん「スピンの加点の幅もジャンプと変わらないので、すばらしいスピンを決めればトリプルジャンプ以上の点を狙える可能性もあるということですね。

今回のルール改定では、スピン、ステップの完成度が高い選手は強いです。」

――それぞれの選手が得意分野を活かせるルールになったということですか?

本田さん「そうです。また、ジャンプを失敗しても、スピンやステップで高得点をとればリカバリーできます。

ルールが変わって回転不足が取られやすくなったので、ジャンプ以外の要素もしっかり練習しておく必要がありますね。これまでのルール以上に“トータルバランス”が求められるようになります。」

変更点⑤ 出来栄え点(GOE)の幅が広がった!

ーー技の完成度によって決まる出来栄え点(GOE)の幅が、+3~-3までの7段階評価から+5~-5の11段階に変わりました。これはなぜでしょう?

本田さん「これは、いい演技にはたくさん点をあげますよ、という意図でしょう。逆に言うと、失敗したら失敗した分だけ下げようというルール改定とも言えますね。」

――なるほど!採点の幅が広がったんですね。

本田さん「そうです。難しいジャンプを飛ばなくても、質の高いジャンプを跳べば得点をあげるよ、というルール改定です。

言い方を変えると、単に難しいジャンプを跳ぶだけじゃダメなんですね。いかに綺麗に飛べたかで得点が決まります。」

――技のクオリティが求められるということですか?

本田さん「たとえば、ジャンプなら“高さ” “幅” “流れ”の3つの要素がそろっていないとダメです。

前のルールだと±0が付くジャンプでも、新しいルールでは流れが止まっただけで、−1をつけられてしまう可能性があるということですね。」

変更点⑥ 4回転ジャンプの繰り返しが減った

ーーこれまでは、4回転ジャンプの繰り返しが2回まで認められていましたが、ルール改定後は1回に変更されました。跳べる4回転ジャンプの種類が多い選手が有利になるのでしょうか?

本田さん「たしかに4回転の種類が多い選手の方が有利ですが、GOEの変更があるので跳べばいいというわけではありません。」

――きれいに跳べなかったら意味がないと?

本田さん「そういうことになります。失敗した4回転よりも、トリプルアクセルの方が高得点になる可能性がありますからね。」

変更点⑦ ジャンプボーナスにも変更が!

ーー旧ルールでは演技後半のジャンプに全て1.1倍のボーナスがついていました。しかし、新しいルールではショートは最後の1本、フリーは最後の3本だけが1.1倍ボーナスの対象です。

本田さん「これは、プログラム全体をみたときのバランスが良くなるように、という意図が込められています。

以前のルールでは、高得点をとるために後半にジャンプを集中させるので、どの選手も似た構成になっていました。それはそれで、勝つための作戦なので悪いことではないのですが…。」

変更点⑧ 回転不足の基準が変わった

ーー新しいルールから1/4回転ジャストのジャンプでも回転不足をとられるようになりました。回転不足の判定になると、スコア(基礎点)が75%に減ってしまいます。

本田さん「今まで、ギリギリのラインで飛んでいたジャンプが回転不足をとられることになります。

実際、今シーズンの試合では回転不足が多く見受けられますね。とくに、女子は苦労するのではないでしょうか。きっちり跳べる選手が有利になってきます。」

スポーツ性と芸術性を重視した新ルールに注目!

採点の幅が広がったことで、いい演技には高得点、ミスには低い得点が付くようになりました。

採点が明確になってスポーツ性が上がる一方で、ジャンプに制限を設けるなどプログラム全体の芸術性も重視されるように。トータルバランスが求められるぶん、完成度の高い演技が期待できそうですね!

とはいえ、今シーズンはまだ始まったばかり。それぞれの選手にどのような得点がつくのか、新ルールに注目しながら見てみるのも面白いかもしれませんね。

本田武史(ほんだたけし)

1981年3月23日生まれ
史上最年少の14歳で全日本選手権初優勝を飾るとともに、長野オリンピックへも史上最年少の16歳で出場を果たす。2002年ソルトレイクシティオリンピックで4位入賞。2002年、2003年の世界選手権では2年連続となる銅メダルを獲得。日本人として初めて競技会で4回転ジャンプを成功させたスケーターでもあり、2003年の四大陸選手権では、フリースケーティングで2種類の4回転ジャンプを3回成功という偉業を成し遂げた。
現在はプロスケーターとして華麗な演技を披露しつつ、コーチや解説としても活躍している。

                   
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