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2018年10月4日(木)

井村雅代コーチ 打倒ロシアへ進める改革とは?アーティスティックスイミング日本代表に畠山愛理が迫る!

今年4月、シンクロナイズドスイミングから競技名が変わった、アーティスティックスイミング。東京オリンピックで初の金メダルを目指し、今、チーム改革のまっただ中にあります。
68歳の熱血コーチ、井村雅代さんを中心に、代表メンバーを一新。
圧倒的な強さを誇るロシアにどう対抗していくのか、畠山愛理リポーターが迫りました。
(サンデースポーツ2020 923日放送から)

畠山愛理 リポーター

1994年 東京生まれ
中学3年生で新体操日本代表「フェアリージャパン」入り。 17歳で初めて挑んだロンドン五輪で団体7位、続くリオ大会でも8位入賞に貢献。自身の経験をいかし、リポーターとしてスポーツの魅力とアスリートの本音に迫る。

激しいゲキ その合間に笑顔

9月、大阪にあるプールを訪ねると、緊張感のある空気が漂っていました。
その中心にいるのは、日本代表を率いる井村雅代コーチ。
井村コーチと言えば・・・。

「ひざを前にして!!」

「こんなとこに 手置いたらあかんやないの!」

選手を徹底的に追い込む熱い指導で有名です。

この日も激しいげきを飛ばす姿が見られていましたが、その後、意外な場面を目にしました。

おととしのリオデジャネイロオリンピック以降、練習中に笑顔を見せるようになってきたと言います。
その理由はなぜなのか。じっくり話を聞きました。

井村コーチ 笑顔の指導の理由とは

畠山愛理リポ-ター(以下、畠山)
井村コーチと言えば、厳しく、選手に真っ直ぐな指導のイメージだったんですけど、今日の練習中には笑顔が見受けられました。

井村雅代コーチ(以下、井村)
周りからしたら私怒鳴ってるように見えてると思うんですよ。
でも、今の子は、怒鳴ったりして、ぱっと顔を見たら、「この子怖がってる」、「この子驚いてる」ように見えて、そうなったらもう無理。驚かしたら、その子の頭の中に、何も入らない。だから、選手が「引かない」ように話すようになりました。

前にチームにいた選手からしたら「先生、優しくなりましたね」と言われるんですよ。
「そうでしょう、私本当に人間出来てるでしょ(笑)」っていうんですけど、今の子は私のこと怖いと思ってますよ。厳しいと思ってますよ。

井村

でも、指導の姿勢としたら変わらないですよ。
「できるまでやらす」
「出来なかったら体が覚えるまでやらす」
あの手この手を使ってやらせます。それは変わらない。

「ロシアが強すぎる」しかし・・・挑戦状を!

試行錯誤を重ねながら、40年以上世界と戦ってきた井村コーチ。日本チーム、そして中国チームをオリンピックのメダルへと導いてきました。

しかし、未だに果たしていないのが、オリンピックの金メダルです。


畠山
1984年のロサンゼルスから2016年のリオまで、井村コーチはずっとチームをメダルに導いてらっしゃいますが、銀メダルが最高なんですね。

井村

そうなんですよ。「金」がないんですよね。
世界一のロシアが強すぎます。

芸術性を競う採点競技をお家芸とするロシア。
圧倒的に長い手足、観客を魅了する表現力、そして、幼い頃からのクラシックバレエで磨き上げた技術力。
オリンピックを5連覇中の絶対王者として、アーティスティックスイミング界に君臨しています。


畠山
王者ロシアに、日本は勝てますか。

井村
勝ちたいと思うけど、今のロシアには勝てないです。隙を見せない技術を身につけてるんです。
それを鍛えるコーチが、これだけ世界一の成績を出しているのに、手を抜かない。

畠山
コーチも手を抜かないんですね。

井村
私の100倍くらい怖い、厳しいですよ、ロシアのコーチは。
でも、ロシアが2020年にさらに進化してくることも見据えて、そこを目指していきたいと思っています。
ロシアに挑戦状をたたきつけたいです。

光る原石を大抜擢!

打倒ロシアのため、井村コーチは代表選考方法にメスを入れました。
技術力を重視していた代表選考会を廃止。自ら全国各地に愛を運び、原石を発掘します。
そうして、先月のアジア大会で大抜擢されたのが、23歳の吉田萌(めぐむ)選手です。

抜擢された吉田萌選手(右)がエース乾友紀子選手(左)とペアに

国内の大会ですら、個人種目で表彰台の経験もない、無名選手と見られていた吉田選手を、リオオリンピック銅メダルのエース、乾友紀子選手とデュエットを組ませたのです。

井村選手が注目したのは、吉田選手の手足の長さでした。
身長は1メートル68センチ。3センチ高い乾選手とならんでも、腰の位置が変わりません。
長い手足でより見栄えを重視して、より芸術性を高め、ロシアに対抗しようと考えています。

井村
ふたりは、日本のデュエットとしては初めてと言っていいくらい、「双子のような足」です。
いろんな技をするときに、足が長いほど空間が大きいから、「絵になる」んですよ。

畠山
それはすごくわかります。

井村
新体操もそうでしょう。あの会場、あの空間をどう支配するかなんです。
あの空間にどのような絵を描くかなんです。それも、実際の絵じゃない、残像を残すかなんです。

畠山
選手がいい演技をしたとき、会場全体がその選手の色に染まるんですよね。

「選手の人生を預かっている」気持ちで指導を

頂点を見据えて、ひとつの賭けにでた井村コーチ。新たに選んだ代表選手のほとんどが、技術的には未知数です。
それでも、コーチとして迷いはありません。

井村
コーチの仕事は、下手な選手を上手にすること、そう自分に言い聞かせてます。
なので、選手の大型化を目指して、技術はまだ足りない、至らないけど新しく来た選手を上手にしようと、この1年間取り組んできました。下手な子を上手にするのが、コーチの仕事。
選手が何かうまく行かなかったら、私の何かが足らなかったと。選手の前では反省しないですけど陰で反省してます。

畠山
一緒に戦っているということですね。

井村
逆に言うと、彼女たちの人生を握っている、そういう感覚がある。
彼女たちの人生のひとときを預かっていると言う気持ちだけはいつも持っています。


私、畠山が新体操選手を引退したとき、改めて気づいたのが、「コーチは選手以上に、練習以外の時間も選手のこと、競技のことを考えている」ということでした。
井村さんは厳しい中にもすごく愛情を感じるところがあり、井村さんのような「一緒に戦ってくれるコーチ」は、選手からしたら本当に心強い存在だと感じます。
同じ採点競技の出身者として、井村さんには以前からお話を聞きたいと思っていましたが、インタビューを通して、「ロシアに挑戦状をたたきつける」ということを言える、それが井村コーチの強さなのだと感じて、やってくれるのではないかという気持ちにさせられました。

2年後の東京オリンピックまで、アーティスティックスイミングから目が離せません。

                   
※NHKサイトを離れます

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