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2018年9月27日(木)

プロ入りから5年で全米制覇 大坂なおみの軌跡

2018年9月9日、日本テニス界の歴史が大きく動きました。アメリカ、ニューヨークで行われた全米オープンで、大坂なおみ選手が日本勢として初めて四大大会シングルス優勝の栄冠に輝きました。

これまでの四大大会シングルスでの日本勢の最高戦績は、錦織圭選手の14年全米オープン男子シングルスでの準優勝。女子シングルスでは沢松和子さんの1973年全豪オープン、伊達公子さんの94年全豪オープン、95年全仏オープン、96年ウィンブルドンのベスト4進出です。

優勝を争ったセリーナ・ウィリアムズ選手と 全米オープン女子 表彰式

「尊敬する選手はセリーナ・ウィリアムズ選手(アメリカ)。もっと強くなりたい。目標はトップ10プレーヤー」と話していた大坂選手が、全米オープンの女子シングルス決勝でセリーナ・ウィリアムズ選手を下して優勝。

翌日9月10日の世界ランキングで自己最高の世界7位をマークと、夢をつかみました。

大坂選手は1997年10月16日生まれの20歳。大阪府大阪市出身で、2001年に家族でアメリカに移りました。テニスを始めたのは3歳のとき。アメリカ人の父親がコーチ役となって、同じくテニスプレーヤーの1歳上の姉、大坂まり選手とともに、地元の公営コートなどで練習をしていたそうです。

15歳、ジュニアのトッププレーヤーを下す

「強くなるには上のレベルで戦わないといけない。厳しい環境でプレーさせたい」という両親の意向で、プロ大会への出場が可能になる14歳からITFサーキット(ツアー下部大会)への挑戦を始めました。

2013年4月のITFサーキットで、この年の全仏ジュニアとウィンブルドン・ジュニアを制したスイス期待の新鋭、同じ97年生まれのベリンダ・ベンチッチ選手を下したことで、10代プレーヤーの中で一目置かれる存在に。

16歳で元全米女王に勝利

ストーサー選手を破ったバンクオブザウエスト・クラシック1回戦 (2014年)

翌14年、16歳でアメリカ、スタンフォードで行われたツアー大会で予選を突破。本戦1回戦で元世界4位、2011年全米覇者のサマンサ・ストーサー(オーストラリア)から白星を挙げ、大器の片鱗をのぞかせます。

17歳、四大大会初挑戦 18歳で常連に

全仏オープンテニス 女子シングルス3回戦 (2016年)

大坂選手が四大大会の予選に初めて出場したのは、2015年のウィンブルドン。16年の全豪では予選を突破し3回戦へ。

全仏では四大大会初の本戦ストレートインを果たし3回戦、全米でも3回戦に進出しました。

全米オープンテニス 女子シングルス3回戦 (2016年)

四大大会予選に初挑戦してから約半年で本戦に出場し、コンスタントに結果を出し続けていたことも、今の大坂選手の活躍を予感させる記録のひとつです。

東レPPOテニス 準優勝(2016年)

同年9月の東レPPOテニスでは、ワイルドカード(主催者推薦)での出場ながら、日本勢として21年ぶりに決勝まで進出し準優勝。

19歳、ビーナス・ウイリアムズと渡り合う

大坂なおみ選手とビーナス・ウィリアムズ選手

17年の四大大会は全豪2回戦、全仏1回戦、ウィンブルドン3回戦、全米3回戦という結果でしたが、初出場となったウィンブルドンの3回戦では元女王のビーナス・ウィリアムズ選手(アメリカ)をあと一歩まで追い詰め、会場のテニスファンをわかせました。

また、女子国別対抗戦のフェドカップでは、初めて日本代表に選出され、デビュー戦となった2月のカザフスタンで行われたアジア/オセアニア・ゾーン1部の対戦でシングルスに出場し、4戦全勝の記録を残しました。

そして、20歳 頂点に立つ

BNPパリバ・オープン女子 ツアー初優勝 (2018年)

そして昨シーズン、才能が一気に開花します。去年3月、大坂選手はアメリカ、インディアンウェルズのBNPパリバ・オープンでツアー初優勝。これは四大大会に次ぐ格付けの大会(WTAプレミア・マンダトリー)での快挙でした。

全米オープン女子 初優勝(2018年)

そのニュースが記憶に新しいうちに、大坂選手は全米オープンで快進撃を続け、さらなる「快挙」となる四大大会のタイトルを手にします。

全米優勝後、日本だけでなく、アメリカ、そして世界中から注目されるトップアスリートのひとりとなった大坂選手は、アメリカのトーク番組、「The Ellen DeGeneres Show(エレンの部屋)」にも出演。

オバマ前大統領とエレン・デジェネレスさん

この番組は司会者のエレン・デジェネレスさんが、各界から有名ゲストを迎えるトーク番組で、過去には前アメリカ大統領のバラク・オバマさんをはじめ、レディー・ガガさん、デビッド・ベッカムさんらも出演している人気番組です。

ここでも大坂選手は「らしさ」を発揮。オンコートとは違った素顔を披露し人気を博しました。

東レPPOテニス 準優勝 (2018年)

そして、去年9月には東京都立川市で開催された東レPPOテニスに第3シードで出場。全米で2週間を戦い抜き、次のトーナメントへのコンディションを整えるのが難しい状況の中で、準優勝という結果を残し、四大大会チャンピオンの貫禄を見せました。

持ち味のパワフルでダイナミックなテニスに、自身が「patience(ペイシャンス、我慢、忍耐)」と話す、ゲーム中に攻め急がず、チャンスを待ってきっちりと決めにいくというスタイルが加わり、プレースタイルにより深みが増した大坂選手。

17歳のとき、インタビューで目標を聞かれ、シャイな笑顔での返答は「来年はトップ100、5年先の目標ならウィンブルドンで活躍すること」。それから3年。瞬く間に自らが設定したゴールを駆け抜け、四大大会チャンピオンの座につきました。

「自分のプレーに合っている」という芝のウィンブルドンで、大坂選手が優勝プレートを掲げる日も、きっと、もうすぐそこです。

尾崎 智子

テニス雑誌編集部を経て、2005年から日本テニス協会広報委員を務め、協会発行のメールマガジンやSNSなどを担当。

                   
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