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2018年8月22日(水)

目指せファイナリスト!最速求める桐生・山縣・ケンブリッジ

あと2年と迫った東京オリンピックを前に、注目を集める陸上男子100メートルの選手たち。昨年ついに、桐生祥秀選手が日本人初となる10秒の壁を破ったのも記憶に新しいのではないでしょうか?

そんな桐生祥秀選手と、日本歴代2位のタイムを持つ山縣亮太選手、一昨年の日本選手権王者のケンブリッジ飛鳥選手は、東京オリンピックにそれぞれどう立ち向かうのでしょうか。

日本選手権で優勝!山縣亮太 勝利の要因

2018年6月、日本選手権で10秒05のタイムで5年ぶりの優勝を果たし、現在開催中のアジア大会の切符をもつかんだのは、山縣選手。

一昨年優勝のケンブリッジ選手が10秒14で2位に、続いて昨年優勝の桐生選手が10秒16で3位でした。

山縣選手の勝因はどこにあったのでしょうか。

3人の最高スピードを比べてみると山縣選手はほかの2人に比べ、秒速0.1メートル以上の差をつけていたことがわかりました。100分の1秒の世界で戦うなかでこの差は大きく、圧倒的な速さです。

さらに、山縣選手はスタートからわずか30メートルで最高速度に近い11.26m/秒まで到達。

その後中盤の55メートルで最高速度に到達。

その後もスピードをほとんど落とさず、スピードを保ったままフィニッシュ!

スタートダッシュでの加速、中盤以降でも失速することのない先行逃げ切り型のレース展開が、山縣選手の勝利の要因だったのです。

この曲線は、今回の日本選手権のスピード曲線と2年前のリオオリンピックで当時の自己ベストタイムを出した時のスピード曲線を重ねてみたものです。ご覧の通りほぼ同じ曲線になります。大舞台でもベストな走りができる再現性も、山縣選手の大きな強みです。

孤高のスプリンター 山縣亮太

そんな山縣選手の練習場にいるのは、マネージャーとトレーナーのみ。あえて陸上部のない企業を選びました。

日本のトップスプリンターの中でも唯一、このようなスタイルをとっています。

コーチの代わりとなり山縣選手を成長させてくれるのは、撮影した自身の練習動画。

その数は7,000本にものぼります。1本走るたびに、撮影した動画を分析。課題に直面した時も過去の動画を振り返り、自分の走りを究めているのです。

日本最速の男・桐生祥秀が目指す9秒98の先

2017年9月9日、日本学生対校選手権で日本歴代最速の9秒98をマークした桐生選手。

今年の日本選手権では3位だったため、8月のアジア大会は個人種目での出場を逃すことになりましたが、それを引きずらないのが桐生選手です。

プレッシャーから解放された今シーズンを「挑戦の年」として、いろいろなことを練習に取り入れていくと決めました。

例えば細かな技術練習です。スタートダッシュではお尻の位置を少しずつ変えながら、一番速く飛び出せる姿勢を模索。動画で細かく自身の走りをチェックします。

それは、これまであまり見られなかった姿でした。

というのも、桐生選手は「パッションで走る選手」。細かいことを考えず思い切り走るスタイルの選手だったからです。

そのため、桐生選手の走りはこれまで安定してこず、辛酸をなめるようなレースも多々ありました。

しかし、技術を追い求めようと技術を気にしすぎたあまり、その後のレースではタイムをさらに落とす結果に。安定的に世界レベルのタイムを出し続けるには技術のレベルアップと持ち味である爆発力、そのバランスを両立させる必要があります。桐生選手は、自分の走りをコントロールし、安定感を身につけるため、走り込みの量を増やすなど、日々練習に励んでいます。

タイムよりも勝利を ケンブリッジ飛鳥

ケンブリッジ選手の強みは、「ここぞ」というときの勝負強さ。それは、タイムよりも勝負結果にこだわるというケンブリッジ選手ならでは。オリンピック代表がかかった日本選手権など、勝負所では必ず結果を出してきました。

その練習方法は1本集中。

全速力で1本を走ったあとは、30分ほど休憩して体力と集中力を回復させ、また1本走ります。

常にレースと同じようなベストの状態で走るという、質の高いトレーニングを大事にしています。

自己ベストは10秒08と、桐生選手の9秒98、山縣選手の10秒00には及びませんが、ケンブリッジ選手が競っているのは、自己ベストタイムではありません。あくまでレースの勝敗です。「誰が何秒で走ったかではなくて、誰が勝つか」、オリンピック本番を見据えてケンブリッジ選手は今、強い選手を目指します。

まだ足りない。オリンピックファイナリストを目指して

オリンピックの男子100メートル決勝の舞台に立てるのは、それまでの予選を勝ち抜いた8人。

そんなオリンピックファイナリストとなる目安のタイムは、リオデジャネイロオリンピックの決勝進出タイムとなった10秒01。

桐生選手、山縣選手のベストタイムであれば十分に可能性があります。

しかし、これまで山縣選手の走りが、10秒01に届いたのはたった一度。

3歳下の桐生選手が、日本の陸上界の歴史を変える9秒98を記録した、すぐあとの大会でのことでした。

山縣選手は、ライバルを追いかけるように自己ベスト10秒00を記録したそれ以降、ファイナリストレベルのタイムを出すことができていません。

今後は得意のスタートダッシュをさらに向上させて最高スピードを上げ9秒台を目指します。

対して桐生選手は、日本選手権後に集中して行った技術練習が、今夏効果を出し始め、気持ちにも変化がありました。

7月にスイスで行われた国際大会では、シーズンベストの10秒10を記録。気持ちだけで走っていたこれまでとは違う感覚をつかんでいました。

2年後に向けたいい流れを桐生選手自身も感じています。

ケンブリッジ選手も、ファイナルに立っているイメージを常にしています。「まったく届かない壁ではない」とファイナリストになれる可能性を信じています。

日本は男子100メートルで過去88年間、オリンピックファイナリストに残っていません。

世界中が注目する日本のスプリンターたちは、88年ぶりの快挙を達成することができるのでしょうか。

すでに、スプリンターたちの2年後に向けた戦いは始まっています。

                   
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