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2018年9月6日(木)

村田諒太に続け!群雄割拠のボクシング 注目の3選手

2012年のロンドンオリンピックで金メダルを獲得した村田諒太選手。この金メダルは1964年の東京オリンピック以来、実に48年ぶりの金メダルでした。同じくロンドン大会では、バンタム級の清水聡選手も銅メダルを獲得。

左:村田諒太選手 右:清水聡選手

半世紀近く縁遠かったオリンピックのメダルを、1大会で2個も持ち帰った日本。そしていま、2020年の東京オリンピックに向けては、格闘技界で「黄金世代」と呼ばれる1998年と1999年生まれの逸材たちが、快進撃を見せています。

今後、東京オリンピックに向けて「特に注目すべき選手」を、格闘技の取材を中心に世界中を飛び回るスポーツライター・善理俊哉さんに紹介していただきました。

善理俊哉(せり・しゅんや)

1981年、埼玉県生まれ。中央大学在学中からライター活動を始め、ボクシングを中心に格闘技全般や五輪スポーツ、さらには海外渡航歴を生かして外国文化などをテーマに執筆。これまでに、井上尚弥選手と父・真吾氏の自伝の企画・構成、専門誌にて村田諒太選手の連載などを手がけた。

黄金世代を築いた「実戦教育」の成熟

レベルの高い選手が数多く見られる、いわゆる「黄金世代」。現在の格闘技界では「1998・99年生まれの選手」を指すことが多いですが、格闘技に馴染みの薄い方にとってはピンとこないかもしれません。

その黄金世代が“どれだけ強いのか?”。ボクシングに限って言うと、これまで15・16歳を対象とした「ジュニア」、17・18歳を対象とした「ユース」では、世界はおろか、アジアのトップに立てる選手すら出てきませんでした。

しかし、この黄金世代からはいよいよ、国際トーナメントで優勝を果たす選手まで現れたのです。

レベルが上がった要因はどこにあるのでしょうか──。

2000年前後に起こった格闘技ブームなど、そこには複合的な理由がありますが、何より、多くの格闘技組織が幼少期から実戦による指導を本格化させ、その文化が成熟してきたことが大きいと言われています。ボクシングにおいては、一般的に「キッズボクシング」という呼称で、子ども向けのイチ競技として普及を促進。その努力がにわかに結実して、現在10代後半の選手たちの層が一気に厚くなった、というわけです。

“黄金世代”代表!堤駿斗

この「黄金世代」を代表する選手として、まず名前をあげたいのが、8月に行われたアジア大会にバンタム級で出場した堤 駿斗(つつみ はやと)選手。

堤駿斗選手(右)

習志野高校時代、17・18歳を対象とした世界ユース選手権で日本選手として初めて優勝を果たした堤選手。その後も18歳以上が対象となる全日本選手権で優勝するなど、素晴らしい成績を残しています。

ロンドンオリンピックでメダルを獲得した村田選手と清水選手が、ともに当時26歳だったように、オリンピックでメダルを争うのは「20代中盤」の「2回目の出場選手」であることが多いですが、21歳で2020年を迎える堤選手はこう言いました。

「目標を聞かれると、中学生時代から『東京オリンピックで金メダル』と言ってきましたけど、以前は自分でも現実味がないと思っていました。でも、ひとつずつ目標をクリアしていくうちに、このまま必死で目指せば、雲の上にあった金メダルがつかめるかもしれないと思うようになってきました」(堤)

堤選手については、海外の専門家たちも「東京オリンピックの金メダリスト候補の1人」として注目しています。

高校3年間の大会をすべて制した荒本一成

荒本一成選手(左)

続いては、高校時代から注目を集めた荒本一成(あらもといっせい)選手。高校生にとっての全国大会は、春の選抜(全国高校選抜大会)、夏のインターハイ(全国高校総合体育大会)、秋の国体(国民体育大会・少年の部)の3つで、これらの大会には高校3年間で計8回出場できますが、荒本選手は8回すべてを制すという完全記録を達成しました。

昨年の全日本選手権で国内初黒星を喫しましたが、今年3月にリベンジに成功。事実上、この階級の第一人者となり、上を目指すのみかと思われましたが…現在、所属している関東大学リーグ戦で再び苦戦を強いられています。

「ちょっと環境が変わるだけで、自分の未熟さを露呈しているのが現状。誰と戦っても圧勝できるようになるためは、今までの“正直な攻め”よりも、フェイントなどの駆け引きを磨くことにあると思っている」(荒本)

立ちはだかる“先輩”の壁!田中亮明

昨年11月に開催された全日本選手権。そこで、この「黄金世代」に鋭い牙を向いた“先輩”の1人が、田中亮明(りょうめい)選手でした。

田中亮明選手(右)

力強い左ストレートを武器とする田中選手は、リオデジャネイロオリンピックのテストイベントで優勝。プロボクシングで世界王座を2階級制覇している田中恒成選手を実弟に持ち、いわゆるエリート街道を歩んできました。しかし堤選手が、田中選手の宿敵だった井上尚弥選手(3階級で世界タイトルを制覇)をも超えて“史上最強の高校生”の地位を確立すると、フライ級から階級を1つ上げて堤選手の優勝を阻みにかかったのです。

トーナメント準決勝で実現した対決の結果は、堤選手のポイント勝ち。ただし評価は割れており、「田中が勝っていた」と見た観戦者も少なくありません。堤選手自身も「十分対策を練って臨んだつもりが、田中選手にすぐ対応されてしまったので、あれ以上の長丁場になったら追い詰められていた」と認めています。

そして、再びフライ級に戻った田中選手は、このように述べています。

「僕の目標も、あくまでオリンピック。堤選手は日本期待の星としてさらに強くなっていくだろうから、その前に一度だけ手合わせしてみたかった。今後は、彼が金メダルを獲ることを応援する立場に戻りたい」(田中)

男子の階級カットで、代表争いがさらに白熱

東京オリンピックのボクシング競技では、IOCに掲げられた「男女平等」のテーマに則って、女子の階級を3から5に増やす分、男子では10あった階級を8に減らすことが決まっています。これによって、日本代表候補がさらなる振るいにかけられるのは言うまでもありません。

いっそう厳しくなる条件下で、魅惑の「黄金世代」は、年上の大学生や社会人たちとどうぶつかり合っていくのか──。先の見えない群雄割拠。だからこそ、当のボクサーたちは白熱戦を展開したがるし、そこで揉まれた選手が異彩を放って国際舞台に羽ばたいていくのです。

2020年に向けての彼らの奮闘に、ぜひともご注目ください。

                   
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