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2018年8月29日(水)

日本のバドミントンが得たものとは?

2018年8月、10日間にわたって団体戦と個人戦で熱戦を繰り広げたジャカルタアジア大会のバドミントン。

女子団体の48年ぶりの金メダルなど過去最多に並ぶあわせて6個のメダルを獲得し一定の成果を残しましたが、大会を総括したヘッドコーチから聞かれたのは「『根性』が足りない」という予想外の厳しいことばでした。

それは今大会の成果と、2020年の東京オリンピックへの課題が凝縮したことばでした。

最強チームとして臨んだアジア大会

世界選手権男子シングルス決勝 桃田選手が日本男子初の優勝

開会式の翌日から始まったバドミントン。バトミントンが“国技”とされるインドネシアの目の肥えた観客からも一目置かれるほど日本は輝いていました。

直前の世界選手権で日本は男子シングルスと女子ダブルスで金メダル、なかでも女子ダブルスは銀メダルと銅メダルも(銅は2組のうち1つ)獲得していました。

女子シングルス、男子ダブルスでもメダルに輝き、中国と並ぶ世界のトップとして臨んだ大会でした。

歴史的なメダルとなった団体戦

バドミントン女子団体決勝 金メダル決定の瞬間

その前評判通り団体戦では男子シングルスのエース、桃田賢斗選手。女子ダブルスの2枚看板、福島由紀選手廣田彩花選手の“フクヒロペア”と、高橋礼華選手松友美佐紀選手の“タカマツペア”がいずれも負け知らずの大活躍。

女子は48年ぶりの金メダル、男子も48年ぶりとなる銅メダルに輝き競泳とともにアジア大会前半のハイライトとなりました。

アジア大会は“もうひとつの五輪”

インドネシア代表 ヨナサン・クリスティ選手

アジアにはバドミントン強豪国がひしめいています。中国は、世界選手権で日本を上回る8個のメダルを獲得した現在、世界最強のチームです。

地元インドネシアは
バドミントンが国民的スポーツ、世界ランキングの上位に数多くの選手がいて開催国として会場の応援を一身に受けます。

このほか台湾、マレーシア、韓国、タイ、香港、インドと世界の強豪選手の多くはアジアの国と地域の出身でアジア大会は“もうひとつのオリンピック”といえるほどハイレベルな大会なのです。

目の色が変わった個人戦

バドミントンでオリンピック種目は個人戦だけです。23日から始まった個人戦はオリンピックのいわば“前哨戦”。トップ選手たちの目の色が変わりました。

さらに、今大会には開催地インドネシアならではの過酷な試合環境もありました。

空調や建物の隙間などによる会場内の風の流れが、重さが5グラムしかないシャトルのコントロールに大きく影響します。さらに、地元の熱狂的なファンの大声援は、オリンピックをもしのぐと言われるほどでした。

エースがまさかの敗戦

男子シングルス、優勝候補の筆頭はもちろん世界チャンピオンの桃田選手でした。
しかし、2試合目となった3回戦、インドネシアのエース、アンソニー・シニスカ・ギンティング選手との対戦は苦しい戦いとなりました。会場の大声援を背に攻撃的なスタイルで桃田選手に挑むギンティング選手。

桃田賢斗選手

団体でギンティング選手を破っていた桃田選手はそのときと同じように徹底的に守りながら相手のミスを誘いましたが、この日のギンティング選手はほとんどミスをしませんでした。

結果はまさかのストレート負け。「何回も連続でスマッシュを打たれてしまい、プレッシャーを感じた。緊張感の中で少し縮こまった自分もいた」と悔しそうに振り返った桃田選手。

世界チャンピオンでも隙を見せれば相手に圧倒されるというアジアの怖さを思い知らされた試合となりました。

立ちはだかった中国の壁

松友美佐紀選手(左) 高橋礼華選手(右)

女子ダブルスの2枚看板は同じ中国のペアに屈しました。

準決勝で世界ランキング1位の“フクヒロペア”を破った中国のチン・セイシン選手とカ・イチハン選手のペア。金メダルがかかった決勝で“タカマツペア”が対戦しました。

試合は、“タカマツペア”がリードを奪えば中国ペアが連続ポイントで逆転、負けじと“タカマツペア”も連続でポイントをあげて再逆転と互いに譲らない大接戦となります。

試合巧者の中国ペア

松友美佐紀選手(左) 高橋礼華選手(右)

“タカマツペア”が第1ゲームを落として迎えた第2ゲーム。2人が点数で追いつくと中国ペアはシャトル交換を申し出て試合の流れを何度も断ち切ります。そして、仕切り直したゲームで一気に強気のショットを打ちまくり最後は僅差で勝ち逃げました。

団体戦の時とは違ってガツガツ、ガツガツきた(高橋選手)

勝負どころでの強気と許されたルールの中での”試合巧者”ぶりを見せた中国ペアの前に日本の最強2枚看板が敗れ去りました。

「根性」が足りない!

パク・ジュボンヘッドコーチ

勝負どころで勝ちきる『根性』と『ファイティングスピリット』 最後にその気持ちが足りない」。日本選手のすべての試合が終わったあと、パク・ジュボンヘッドコーチが口にした言葉です。

互いを知り尽くし技術や戦術では、紙一重の差しかないトップレベルの選手たちの激突。そこで勝敗を左右したのは「是が非でも勝ちたい」という強い執念だったという厳しい分析でした。

日本を14年間指導してバドミントンの強豪国に育て上げた、パクコーチ。最後に次のように話し、前を見据えました。

パク・ジュボン ヘッドコーチ

日本のライバルは中国とインドネシアだということがはっきりした。2020年は勝てるように強い気持ちを選手たちに身につけさせたい。

次の大舞台は2020年東京

オリンピックと同じ4年に1度しか開かれないアジア大会。この大舞台でのビッグタイトルを前にライバルの選手たちはふだんにも増して勝利への執着心をむき出しに、日本に挑んできました。

今大会の結果は日本とライバルとの間にあった「差」をあぶり出してくれました。東京オリンピックで日本の選手を待ち受ける金メダルをめぐるしれつな争い。大きな目標に向けた戦いはもう始まっています。

酒井紀之 記者

スポーツニュース部記者
バドミントン担当で、桃田賢人選手をはじめメダルラッシュが期待される日本代表を徹底取材

                   
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