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2018年8月24日(金)

身体動作の専門家が分析 山縣&ケンブリッジ 速さの秘密

8月18日にジャカルタで開幕したアジア大会。8月25日(土)からは陸上競技がスタートします。

陸上といえば、2016年リオデジャネイロオリンピックの男子400メートルリレーで銀メダルを獲得、さらに、2017年9月には、桐生祥秀選手が日本人初の9秒台を出して大きな話題になりました。アジア大会でも、メダル獲得が期待されているのが山縣亮太選手、ケンブリッジ飛鳥選手が出場する男子100メートルです。

今回は、そんな2選手の速さの秘密を探るべく、JOC強化スタッフとしても活躍する身体動作アドバイザーの廣戸聡一さんに取材をしてきました!

身体動作アドバイザー 廣戸聡一

1961年生まれ。東京都出身。幼少時より、野球、剣道などのスポーツを経験しながら、専門学校で整体施術を学び、施療の道に進む。また、一流アスリートの食事面、トレーニング、身体ケアまで、総合的な肉体管理を担っている。平成22年度より、日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。

日本躍進の秘密は、スポーツ科学の進化にあり!

――近年、男子の短距離選手が目覚ましい活躍を見せていますが、なにか大きな変化があったのでしょうか?

1998年にアジア大会で伊東浩司さんが記録した10秒00を桐生選手が9秒98と更新したり、2017年の世界選手権では400メートルリレーで銅メダルを獲得したりと、近年の陸上短距離選手の活躍は、目を見張るものがありますね。

外国人選手に比べて体格が劣る日本人には不可能に近いと言われていた9秒台に近づく選手が増えてきたのは、近年のスポーツ科学の発展が大きな要因としてあげられます。

近年、スポーツのデータ化も進んでいますが、陸上競技もそのひとつ。個人の身体情報やレースを分析することで、「ストライド(=歩幅のこと)が足りない」「ピッチ(=足の回転数のこと)が遅い」など、その選手に不足している部分をデータで見ることができるようになりました。その結果、指導者も今まで以上に理論的な練習メニューを組むことができるようになったのです。では、注目の2選手を見ていきましょう!

山縣選手の武器は、強い腰が生み出すスタート!

山縣亮太

1992年6月10日生まれ。広島県出身。
2017年9月の全日本実業団対抗選手権において、10秒00を記録。

山縣選手の走りのポイントは、「腰の強さ」にあります。

スタートした瞬間

画像のように、スタート時は、前に重心をかけているのがわかります。前方方向に重心を向けることで、飛び出す瞬間からスピードを出せます。立ち上がるときにタイミングがずれてしまうと、前につんのめってバランスを崩してしまうのですが、山縣選手は、腰の力が強いので、そのまま体を上手に持ち上げられるのです。

さらに、立ち上がってからは、腰の位置(骨盤)が常に頭と一直線上の真下にあって動きにむだがないんですよ。


そのおかげで、スタートと同時に圧倒的なスピードで走ることができるのです。また、数年前から体幹を鍛えだしたおかげで、中盤からの加速力も増してきていますし、ゴールの瞬間も体を前に押し込めるようになりました。


じつは、この体を前に押し込むという動作は、陸上においては非常に重要なポイント。足がゴールラインを過ぎたときではなく、体幹部分が通ったときにはじめてゴールしたとみなされるからです。彼の走りを見ているだけで、人一倍努力していることが伺えます。

ケンブリッジ選手の「かかとをつけない」走法

ケンブリッジ飛鳥

1993年5月31日生まれ。ジャマイカ出身。
100メートルでは、2017年6月の日本選手権で、自己ベスト10秒08を記録。


ケンブリッジ選手は、1980~90年代に活躍したカール・ルイス選手を思い起こさせる、かかとをつけずに走る「タッピング走法」が特徴。

横から見たタッピング走法

体の使い方が非常に上手な選手ですね。なぜなら、この走法を実現するには、「足首のひきつけ」、「足首の柔らかさ」、そして「強い上半身」が必要不可欠だから!
上記画像のように、真横から見るとかかとが地面についていないのがわかります。


彼の走りは、強い上半身を上下に動かしながら、足をしっかりとおしりに向かって引きつけているんです。


この動きのおかげで、ケンブリッジ選手特有の地面をつかむような伸びのある走りができるんですね。

スタート位置に入る前のルーティーンにも注目!

――さらに短距離走がおもしろくなる注目ポイントはありますか?

陸上は、スタートする前の“ルーティーン”という動作にも注目するとおもしろいですよ。よく目にするところだと、野球選手が打席に立ったときに袖をまくったりする動作のことですが、じつは陸上競技にもあるんです。トラックへの入り方や、スターティングブロックの位置調整など、選手ごとに違った動きをしています。

山縣選手は、後ろ足をスターティングブロックにセットし、スタートする姿勢をつくってから、ゴール位置をチェックします。

ケンブリッジ選手は、スターティングブロックに足をセットしてから膝立ちをし、ゴールをチェックします。

この一連の動作は、走る前に毎回同じ行動をすることで、体をほぐして心をリラックスさせ、精神を集中させる効果があるんです。スポーツ全般に言えることですが、特に100メートルという一瞬のミスが命取りになる競技において、メンタルは非常に重要なものなのです!

廣戸さんに、アジア大会で日本記録が更新される可能性について伺ったところ、「どちらが9秒台を出してもおかしくないコンディションに仕上がっている」とのことでした!2020年の東京オリンピックの前哨戦ともいわれているアジア大会。ジャカルタの地で、記録が更新されることを期待しましょう!

                   
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