読み込み中です...

2018年8月17日(金)

その拭き方じゃダメ!医師監修・汗との上手な付き合い方

猛暑が続いている日本列島、スポーツをがんばる中高生だけでなく、老若男女が汗だくになっているのでは!?でも肌がべたべたする不快感や、あのいや~なニオイなど汗をかくことに後ろ向きな方も多いかもしれません。

しかし、汗をかくことは悪いわけではありません!上手に汗をかくことは健康にもつながります!そこで、汗との付き合い方について、汗に詳しい体臭・多汗治療のスペシャリスト、五味常明さんに教えてもらいました。

健康でいるには"汗"は必要不可欠!

私たちが生きていくためには、エネルギーが必要です。体内では常に、食事を分解してエネルギーに変える「代謝」が行われていますが、代謝は熱が伴います。その熱は次の3つの方法で放出されます。

① 自然と熱を外に出す「放射」
② 体をとりまく空気や物に熱を伝わらせる「伝導・対流」
③ 水分として汗を皮膚から出し、その気化熱で熱を奪う「蒸発」

この3つの中で一番効率的に熱を放出するのが汗による「蒸発」。汗のおかげで私たちは快適な体温を維持しているのです。私たちが健康的に生きていくうえで汗は必要不可欠なのです!

そうはいっても、汗をかくとニオイが気になって、できれば汗はかきたくない…そう思っていませんか?

じつは汗自体にはニオイのもとになる物質はほとんど含まれていないそう!ここで、汗が臭くなる原因についてご説明しましょう。

ニオイの原因は"菌"!汗の仕組みとは?

普通の汗はエクリン腺という汗腺から出てきます。エクリン腺は体全体にあり、体温と水分の調節を行う大事な汗腺。エクリン腺から出た汗は塩分が多くサラサラで、かきたての汗は細菌の繁殖もあまりしないため、それ自体はほとんど臭くありません。

では、なぜ汗が臭くなってしまうのでしょうか?その原因は、時間が経つごとに汗にあかや皮脂などが混じり合うことで発生する「細菌」にありました。エクリン腺から出た汗を、細菌が分解することによって、酸っぱいような、いわゆる“汗臭い”ニオイになるのです。

一方、主に脇の下や下腹部には、アポクリン腺という汗腺もあります。アポクリン腺から出る汗は、たんぱく質やミネラルなど、細菌のエサになりやすく、ニオイのもととなる物質を多く含んでいて、ベタベタしています。ただし、こちらも汗自体に強いニオイがあるわけではなく、エクリン腺から出る汗同様、皮膚上の細菌や遺伝的な要因によって強いニオイが発生し、“ワキガ臭”になってしまうのです。

いずれにしても、汗臭くなってしまう原因は汗そのものではなく、しっかり対策をすることでニオイを抑えることはできるのです!

かえって臭いがキツくなる!?汗対策の2大NG

周りの人に"汗臭い"と思われないために、できる範囲で対策したいものですよね。ただ、間違った方法をとると、かえって逆効果になってしまうことも…。

NGその1:乾いたタオルでゴシゴシ!

たくさん汗をかいたら、乾いたタオルでゴシゴシ拭いていませんか?その汗の拭き方、じつは大間違い!かえって汗をどんどん出してしまいます。

体温調節のためにかいた汗をタオルで拭いてしまうと、汗が皮膚表面で蒸発して体温を下げる働きが阻害され、体温が下がらなくなってしまいます。体温が下がらなければ、また汗をかき、悪循環になってしまうのです。

NGその2:水分摂取量を減らす!

「汗をかかないように水分の摂取量を減らそう!」これはダメ!脱水状態にもなりかねませんし、水分不足によって便秘になり、腸内で細菌がたんぱく質を分解してできたニオイ成分が便として排出されなくなります。そうなることで、息や汗腺から分泌され、体臭が強くなってしまうという、副作用が出てしまうのです。

今日から実践!効果的な正しい汗のケア

汗をかいたときに、やってはいけないことについて学んだところで、今度は正しいケアについてご説明しましょう。

汗をかいたら、つい乾いたタオルでゴシゴシ拭きたくなりますが、そこはぐっと我慢。したたり落ちる汗だけを軽くふき、皮膚表面は汗で軽くしっとりさせておきましょう。汗のニオイは水溶性なので、湿ったタオルでぬぐえばニオイの原因を効果的に取ることができますよ。

制汗剤は汗の量やニオイのレベルによって使い分けることがポイント。

<ニオイレベル“弱”>

ワキガ体質でない方は、植物性の消臭成分が配合されたウェットシートタイプのもので軽くふき取るだけで十分です。メントールの成分が含まれていると清涼感があるため、より効果的に感じられるでしょう。

<ニオイレベル“中”>

上記の対策だけではニオイを防げない!という方は、抗菌剤のイソプロピルフェノール、または銀などのややマイルドな成分が配合された製品で、スプレー式を使用すると良いでしょう。衣類につける「消臭剤」でもカバーできるかと思います。

<ニオイレベル“高”>

腋臭が気になる場合は、皮膚に直接塗布する「直塗りタイプ」や「軟膏」がオススメです。塩化ベンザルコニウムなどの強い殺菌成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。

状況に応じて適した制汗剤を使えば、汗のニオイを予防することができますよ。

積極的に"良い汗"をかこう♪

エクリン腺から出る汗は99%が水分で、残りの1%は塩分でできています。汗がしょっぱいのは、水以外の成分がほぼ塩分だからです。その他にも少量の、カリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、重炭酸イオンなどのミネラルや電解質、さらに乳酸、尿素などの老廃物が含まれています。

汗は汗腺から出てきますが、その原料は血液。汗腺にある「分泌部」という部分で、血液から赤血球などを取り除いた「血漿(けっしょう)」という液体がつくられます。血漿には、各種のミネラルが含まれており、そのまま出てしまうと体に必要なミネラルも一緒に出てしまいますが、汗腺のろ過機能により外に出るミネラルが調整されているのです。

このろ過機能がうまく働かないと、必要なミネラルまで外に出てしまう“悪い汗”となり、慢性疲労や熱中症の原因になってしまいます。逆に、うまくろ過されてミネラル成分が少ない“良い汗”をかけば体温調節もうまく行うことができ、健康に過ごすことができます。

日常的な運動で汗をかいている人の汗は、ミネラル成分が少なく、“良い汗”であることが知られています。つまり適度に汗をかく習慣を身につけることが“良い汗”をかく秘訣なのです。

そこで、重要なのが「汗腺トレーニング」。意識的に汗腺を刺激することで、眠っている汗腺の働きを改善させ、発汗機能が活発な“能動汗腺”の数を増やすことができます。

いい汗をかくための汗腺トレーニング

①手足高温浴

浴槽に43~44度ほどの熱めのお湯をはり、両腕のひじから先、両足のひざから下を10~15分ほど温めます。これによって、脳から遠く汗腺が衰えやすい手足を集中的に温めることができ、休眠した汗腺を目覚めさせることができます。温まった血液が全身を巡って体の芯を温めるので、開始5分ほどで全身から大量の汗が噴き出してきます。

②半身微温浴

①の手足高温浴の後に水を少し足して、37〜38度のぬるめのお湯を作り、ゆっくりと半身浴をします。リラックスすることで交感神経を安定させ、のぼせることなく体の芯から内臓を温めることができ、良い汗をかくことができます。

③汗の乾燥

お風呂からあがり、体の表面の水分をしっかり拭いたら、すぐに服を着ずに汗を乾燥させます。冷房などで一気に体を冷ますと、汗腺が閉じて体温調節ができなくなってしまうので、自然に汗が引くのを待ちましょう。このときにリンゴ酢などクエン酸を使ったドリンクなどで水分補給をすると代謝が促進されて効果的です。

上記の汗腺トレーニングを3週間ほど行うことで、“良い汗”をかけるようになってきます。もちろん、日常的に運動を行うことも、“良い汗”をかくための大切なトレーニングです。

汗は敬遠されてしまうイメージがありますが、健康に過ごすためには必要不可欠。 汗と上手に付き合って、汗との良い関係を築いていきましょう!

監修者 五味常明

体臭・多汗研究所所長。
ワキガ・体臭・多汗治療のスペシャリスト。著書多数。

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事