読み込み中です...

2018年8月8日(水)

稲葉篤紀監督に聞く! これからの侍ジャパン 後編

東京オリンピックまであと2年。野球日本代表の稲葉篤紀監督がサンデースポーツ2020に生出演。番組冒頭、大会の目標を聞くと、「金メダルしかありません」と力強く話した稲葉監督。番組でじっくり語っていただいた内容の全文を2回に分けて公開します。後編では、金メダルへ向けた戦い方、チームに伝えたい経験について聞きました。(サンデースポーツ2020 7月29日放送から)

北京オリンピックで得た教訓

イ・スンヨプ選手

副島萌生キャスター(以下、副島)
稲葉監督は選手たちにどんな戦いをしてほしいのか。選手として出場した北京オリンピックで教訓を得た場面があったそうです。準決勝の韓国戦。同点の8回。マウンドは岩瀬投手でした。巨人でもプレーした、4番イ・スンヨプ選手のツーランホームランで勝ち越され、日本は敗れました。

大越健介キャスター(以下、大越)
この場面、まさにイ・スンヨプ選手のホームランを、ライトのポジションで見送ったのが、稲葉さんだったんですね。

決勝ホームランを見送る稲葉選手(当時)

稲葉篤紀監督(以下、稲葉。敬称略)
今でも忘れないですね。

大越
しかし岩瀬投手のボールもいいボールでしたよね。

稲葉
そうですね。非常に良いところ、インコースに投げられていたと思うんですよ。実はこの年、イ・スンヨプ選手は岩瀬投手に対して、シーズン中ほとんど打てていない、ホームランを打っていないという情報があって。
それで多分インコースに投げたと思うんです。これが「国際大会の怖さ」かなと思いました。

大越
「一球の怖さ」ということですか。

稲葉
まさに「一球の怖さ」ですね。

「一球」への思い入れが国際大会を制す

稲葉監督が語る 一球の重み

大越
この2008年の北京オリンピックは悔しい大会だったと思うんですが、ユニホームをいつも見えるところに保管しているそうですね。

稲葉

そうですね。私の家の玄関にユニホームが3枚飾ってあるんですけど、WBCのユニホームと、ファイターズのユニホームと、それと北京オリンピックのユニホームが飾ってあります。私にとっては、初めて日の丸を背負ったのが北京オリンピックの時で、この気持ちを忘れないようにするというのと、あとはやっぱり悔しさですね。この悔しさをいつまでも持って、やっていくという意味で飾ってあります。

大越
その「一球」への思い入れが強い方が、国際大会を制すということでしょうか?

稲葉
そうですね。私はその「一球」を大事にしようと選手たちに言っています。その一球で試合の流れも変わりますので。特に短期決戦はそうですよね。もちろんシーズン中も大事にしなければいけないんですけど、短期決戦という意味でも、オリンピックでは「一球」は大事ですよね。

大越
その「一球」、ひとつのプレーというのがメダルへ直結していくということですが、1点をとりに行く上で何が大事か。その象徴的な場面を振り返ってみましょう。

勝負所での送りバントを確実に決める

2009年のWBC決勝戦。延長10回表ノーアウトランナー、1塁。ここでこの大会4番も務めた稲葉選手。送りバントで内川選手を2塁に進めます。この後、2塁3塁となってイチロー選手。

日本中が沸いた決勝タイムリー

タイムリーヒット!稲葉選手が送った内川選手が決勝のホームを踏んで世界一に輝きました。

星野監督「全員バントできるようにしておけ」

北京オリンピック 故・星野仙一監督

大越
稲葉さんにとっても最も印象深い場面のひとつと言うことですが、これは送りバントがカギになっているということですか。

稲葉
そうですね。終盤の大事な場面では、とにかくバントでスコアリングポジションに送って、より得点をとる確率を上げていくという作戦が非常に大事ですので。
また、WBCのとき私は一球でバントを決められましたけど、野球でも「流れ」というのがありますから、一球で決めて次のバッターに渡してあげることが大事で。私はあの場面、一球で決められたと言うのは、うまくいったなと思っています。

大越
ここも「一球」ということですね。カウントが悪くなって、スリーバント…みたいになると、ちょっと違う流れになることがありますよね。

稲葉
実は北京オリンピックの時に、星野監督が「全員バントできるようにしとけ」ということで、全員バント練習をしたんですよ。

大越
どんな「長距離砲」でもですか。

稲葉
誰がバントをやるかはわからないので。僕はそのときからずっと「バントは大事だ」と思っていて、それがWBCで生きましたね。

大越
あの大会、稲葉さん「4番バッター」でしたよね。

稲葉
まぁ、「4番目のバッター」だったんですけれど。

大越
その「全員がバントでランナーを進める」という方針は、今の日本代表でも踏襲されますか。

稲葉
私は、「スピード&パワー」ということを掲げていまして、パワーが特徴のバッターには、僕はたぶんバントはさせないですね。もうそこは任せるよということで。

選手を「見る」のは非常に大事

選手の特性にあわせて選手を信じる

大越
確率的にものを見るのではなくて、臨機応変に、適材適所ということは、やはりその選手の特質をよく見ながら決めていくと。

稲葉
ですからこの2年間は、選手を「見る」というのは非常に大事だなと思っています。

大越
そのデータがこのノートに。

稲葉監督のノート

稲葉
書いてあります。

大越

ある意味、得点をあげる確率をご自身の中で最大化していく、そういうことの積み重ねということでしょうか。

稲葉
野球というのは、0点に抑えれば負けないんですけど、国際大会ではやはり点を取っていかないと勝てません。当然0点に抑えるのも大事なんですけれども、得点を、どうやって1点をとっていくかという確率を、しっかり求めてやっていきたいと思います。

大越
しかも、わからないピッチャーが出てくることが多いので、こう着状態になりやすいですよね、国際大会は。

稲葉
そこなんです。データも少ない中で、対戦も少ない中で、点をとっていかなければいけない。その難しさは非常に感じますね。

ベテランと若い選手の融合は非常に大事

サッカー日本代表 ベテランを中心に結束力を見せた

大越
「日本代表」への意識についても伺いたいんですが、監督はご自身がいろいろな現場に視察に行くことで、「日本代表に対する意識」を植え付ける役割もあるとおっしゃっていますよね。
ちょうどこの前、サッカーのワールドカップがあって、まさに「ニッポンコール」が全国にこだましたわけですけれども、その様子を見ていて感じたこと、また野球とサッカーの日本代表で違う部分などはあると感じますか。

稲葉
私は今回サッカーを見ていて、本田圭佑選手など結構ベテランが入っていたなと思いました。ベテラン選手と若い選手の融合と言うのは非常に大事で、ここぞというときのベテラン選手と言うのは非常に頼りになります。
経験も豊富なので、いろいろベテランが後輩にアドバイスができる、そういう先輩たちがいると後輩たちも思い切ってやりやすい。ここは失敗しても先輩たちがいるぞと。そういうコミュニケーションというか結束力というのは非常に大事だなと思います。

「日の丸を背負って戦う」経験をしてもらいたい

若いメンバーを入れてのぞんだオーストラリア戦(3月)

大越
3月に行われたオーストラリアとの強化試合では、所属チームであまりレギュラーとして試合に出ていない選手、若手選手も積極的に起用されました。
でも、2年後のオリンピックに向けて若手だけを見ているのではなく、サッカーワールドカップであったように、ベテランと若手の融合というのを今は考えているということですか。

稲葉
そうですね。あと2年間の中で、ベテラン選手、若手選手、中堅選手、そういった選手をバランスよく代表に入れて、コミュニケーションをとってもらうというのも、やらないといけないことのひとつかなと思います。

大越
いろんな選手のバリエーションのある、カラフルなチームですね。

稲葉
まだ東京大会まで2年ありますので、その時のメンバーはどうなっているかまだわかりません。その中で、若い選手を代表に入れて、「日の丸を背負って戦う」という経験をしてもらいたい。そこには当然ベテラン選手もいて、その中で選手たちも成長していくというのを、この2年で作っていきたいと思っています。

大越
稲葉さんの場合はまだ若いので、監督であると同時に、チームのキャプテンのような、そこにむしろ近いのかなとも思います。

稲葉
キャプテン…実は作りたいんですよね。というのも、オリンピックは24人しかメンバーに入れないので、一塁コーチを多分選手がやらなきゃいけないことになる。
一塁コーチは実はすごく大事で。侍ジャパンというチームは、「走る」ことを非常に大事にしているので、つまり機動力ですね。その後押しができるのが一塁コーチの役割です。そうした役割を担える選手が必要で、そこをどうしようかというのが考えています。

大越
(キャプテン、一塁コーチをやる選手は)このあたりかなと言う選手像はありますか。

稲葉
今のところ、何人かは私の頭の中にあります。

大越健介キャスター

大越
2020というのは、野球界にとってもチャンスですよね。日本の野球界にとってもそうですし、オリンピックに競技が復活したこと自体、世界の野球人にとってもチャンスだと思いますが、監督は2020年の東京オリンピックでどんなことを発信したいですか。

野球日本代表 稲葉篤紀監督

稲葉
とにかく、もう一度皆さんに野球の素晴らしさを伝えていきたい。子供たちに野球をやってもらえるように、そんな子供たちを増やしていきたい。野球というスポーツで、少しでも皆さんに勇気とか感動を与えていきたいなと思っています。

=======================================

今後、野球日本代表は、10月に23歳以下のワールドカップ、11月に日米野球が予定されています。稲葉監督はどんな選手を招集して、どのように戦っていくのか、これからもさらに注目です。

                   
※NHKサイトを離れます

関連記事

    人気の記事ランキング

      記事ランキングをもっと見る

      最新の記事