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2018年8月2日(木)

2年のがん闘病から復活 レスリング渡利璃穏

おととしのリオデジャネイロオリンピックのレスリング日本代表、松江市出身の渡利璃穏(わたり・りお)選手。オリンピック後の検査で「悪性リンパ腫」という血液のがんが見つかり、治療を続けていました。しかし、ことし6月の全日本選抜選手権で、がんとの戦いから2年ぶりに公式戦に復帰しました。闘病生活の支えになったものや今の思いに迫ります。

◯渡利選手を襲った「がん」との戦い

おととしのリオデジャネイロオリンピックでは、直前の検査で胸に腫瘍が見つかり、大きな不安を抱えながら戦った渡利選手。大会後の精密検査で診断されたのは血液のがん、「悪性リンパ腫」でした。

悪性リンパ腫とは、白血球の一種であるリンパ球ががんになる病気です。治療するためには抗がん剤の投与を何度も受けなければなりません。しかし、渡利選手のコーチによると、渡利選手は優しい人柄から周囲を気遣い、いつも明るくふるまっていたそうです。「二度とレスリングができないかもしれない」という不安を抱えながら、病と向き合う日々はさぞかし辛かったことでしょう。現に渡利選手の闘病の苦しみは、想像を絶するものでした。

一時的な入院のあと、2週間に1回の通院を続け、抗がん剤の治療が始まりました。抗がん剤を投与されるたびに、痛みや吐き気があり、何もできない日々が1週間は続いたそうです。

体中の痛みや立ちくらみ、食欲不振など、レスリングはおろか体を自由に動かすことすらできなくなった辛い闘病生活。そんな中、渡利選手を支えたものはやはり「レスリング」にかける熱い気持ちでした。

◯闘病中に改めて感じた「レスリング」への思い

以前は過酷な練習でレスリングをやめたいと思うこともあった渡利選手。しかし、闘病生活が続く中で、レスリングができていたことがどれだけ幸せだったか、どれだけレスリングが好きだったのか改めて気づいたそうです。

早く練習がしたい、レスリングがしたい、という気持ちを励みに、1年間の治療を耐え抜いて去年の9月には練習を再開させます。

最初は歩くだけでも一苦労で、つらい日々が続きましたが、渡利選手を応援するたくさんのメッセージが心の支えになりました。

「病気に負けずに頑張ってください」「早く治してレスリングできるようになってください」そんなメッセージと、支えてくれた人たちの思いに応え、もう一度マットに立とうと地道な練習を重ねたのです。

◯レスリングができる喜びを胸に ついに復活!

今年6月の全日本選抜選手権。最後の戦いとなったリオオリンピックから実に1年10か月、渡利選手はついに公式戦の舞台に立ちました。緊張で全身が震えたという初戦は、相手に1点も許さず7対0で勝利。迎えた決勝では、序盤から互いに一歩も譲らない展開の中、リードで迎えた試合終了直前、相手に得点を許し追いつかれます。同点のまま試合が終わると追いつかれた渡利選手の負けが決まってしまいますが、渡利選手は決して諦めませんでした。

残りわずか8秒、力強いタックルで押し出し、1点をとって再びリード。このリードを守って見事優勝を果たし、10月に行われる世界選手権の切符を手に入れたのです。

渡利選手は「闘病が終わってレスリングができるような状態になっても、気持ちを持っていけるだろうか、体をもう一度作り直すことができるだろうかと不安な日々を過ごしてきた」と声をつまらせながら語りました。しかし、その不安を払拭できたのは、やはりオリンピックへの強い思いがあったから。前回のオリンピックでメダルを獲れなかった悔しさをバネに、レスリングに励んでいます。

「オリンピックでメダルを獲りたい」。渡利選手は、レスリングができる喜びを胸に、再び世界の舞台を目指します。

川田侑彦 記者

松江放送局浜田支局
平成28年入局 神奈川県出身
主に事件取材を担当しながらバスケなどスポーツ取材にも奮闘中

                   
※NHKサイトを離れます

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