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2018年6月26日(火)

陸上 湯上剛輝 日本記録更新の裏には

3日間の熱戦を終えた陸上の日本選手権。最終日は2つの日本記録が生まれました。そのひとつは男子円盤投げです。25歳の湯上剛輝選手が1日で3回も日本記録を更新しました。
その偉業の裏には、ハンディキャップをものともしない豪快なアスリートの姿がありました。

わずか30分ほどで3回の日本記録更新

陸上日本選手権男子円盤投げで日本記録を更新した湯上選手

男子110メートルハードルの決勝に向け、トラックにハードルが並べられていた。その最中、スタジアムに突然「うおー」という地響きのような歓声が響き渡りました。

フィールドといわれるトラックの内側で行われていた男子円盤投げで、今大会初めての日本新記録が生まれていたのです。

陸上日本選手権 男子円盤投げ 決勝

記録を出したのは25歳の湯上剛輝選手。なんと自己ベストを1メートル以上も更新する61メートル2センチのビッグスローでした。

日本選手にとって初の61メートル台、関係者だけでなく観客も驚く一投でした。

これだけではありません。湯上選手は次の一投で更に1メートル以上記録を更新する62メートル3センチをマーク。
極めつけの5投目は、62メートル16センチと更にのばし、わずか30分ほどの間に3回の日本記録更新という偉業を成し遂げたのです。

耳の障害をきっかけに陸上に

試合後、インタビューに応じてくれた湯上選手は、はじけるような笑顔で「めちゃくちゃうれしいです」と話してくれました。

実は聞き手の質問が彼に届いているのは補聴器があるからです。

湯上選手は生まれつき両耳が不自由で、補聴器をつけないと、ほぼ何も聞こえません。「不便なことは、電話がしづらいことくらいですね」と話す湯上選手ですが、円盤投げを始めたきっかけも耳の障害でした。

高校で部活動を決めるとき、本当は球技がしたかったそうですが、耳の内側に「人工内耳」という聴覚を補助する器具をつけていたため、危険性があると言われて球技を選ぶことができませんでした。
そこで選んだのが接触の少ない競技、陸上でした。この選択が日本記録への道のりの始まりになりました。

夢と希望 勇気と感動を与えられる選手に

陸上を始めた湯上選手は、障害を自らのハンディキャップだとはとらえませんでした。
むしろ「中途半端に聞こえるとバランスが崩れるので、全然聞こえなくてよかった」と豪快に笑ってのけました。

湯上選手は所属先のホームページに「夢と希望、勇気と感動を与えられるような心も体も大きな選手になるべく、練習を頑張ります!」というメッセージをのせています。
今大会の日本記録は紛れもなく多くの人に夢や感動を与えたことでしょう。
それだけでなく、湯上選手の一点の曇りもない、はじけるような笑顔は人を幸せにする力もあると感じました。

「オリンピックで戦うには65メートルを投げなければ」と、2年後の東京オリンピックを明確な目標に掲げる湯上選手。

この日見せた1日3回の日本記録更新と終わった後の最高の笑顔は、私たちにさらなる成長を期待させるには十分でした。

キアラシ ダナ 記者

山口放送局記者
平成27年入局
慶応大学陸上部で、砲丸投げの選手だった。

                   
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