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2018年6月24日(日)

陸上 小池祐貴 桐生との0秒01の差

2万人を超える観客が見守った陸上日本選手権の男子100メートル決勝。ただ1人9秒台の記録を持つ桐生祥秀選手は10秒16のタイムで3位に終わりました。

その桐生選手にわずか0秒01及ばず4位だったのが、桐生選手と同学年の小池祐貴選手です。背中を追い続けてきた桐生選手に迫った100分の1秒その差について聞きました。

同学年には桐生選手

私が小池選手に出会ったのは、彼がまだ高校3年生の時。第一印象は「自信満々」でした。小池選手が陸上の世界に足を踏み入れたのは高校1年生、周りのトップクラスの選手と比べると遅めです。

桐生祥秀選手(左) 小池祐貴選手 2013年 高校総体・陸上

すぐに高校トップクラスの選手に成長しましたが、同じ学年にいたのが桐生選手。
その壁は厚く、なかなか「日本一」にはなれませんでした。

そんな中でも小池選手は「桐生に勝てるという希望を見いだすしかない」と心に誓っていたそうで、どんなレースでも周囲には「自信満々」な態度だったのを覚えています。

その後、彼は当時大学4年生だった私が所属していた大学の陸上部に入部して陸上を続けます。大学でもトップクラスの選手であることは変わりませんでしたが、100メートルで桐生選手と同じレースに出ると勝つのはいつも桐生選手。

小池選手は、大学の4年間一度も桐生選手に勝てず主要なタイトルをとることはできませんでした。

難航したアスリートとしての就職活動

これが影響して小池選手のアスリートとしての就職活動は難航します。
名門実業団チームから不採用を告げられる日々が続くなかJOCの就職支援を受け、何とか所属先が決まりました。

当時を知る慶應義塾大学の川合伸太郎元監督は「後ろ向きな感情をことばにするタイプではないので、弱音は記憶にないが、不安は大きかったと思う」と振り返ります。

感じた経験の差

小池祐貴選手(中央) 陸上日本選手権男子100m決勝(6月23日)

それでも小池選手の「自信満々」のキャラクターは変わりませんでした。
今大会でも決勝に進み桐生選手と走ることになりましたが「自分の走りさえすれば確実に勝負できる」と強気で臨みます。

小池祐貴(中央) 陸上日本選手権男子100m決勝(6月23日)

結果は10秒17で4位。

自己ベスト記録を更新し桐生選手との差はわずか0秒01に迫りました。
レース後、威勢のいい言葉が聞けると思い小池選手に、この0秒01の差について訪ねると、「メンタルの差」という意外な答えが返ってきました。

まさか、あの、常に自信満々の小池選手からメンタルで負けたという答えが
返ってくるとは思いもしなかったのでとても驚きました。

小池選手は悔し涙を拭いたあと、「この決勝に臨むまでの2日間、2時間ずつしか寝られませんでした」と明かしてくれました。
レース前は初めて手足が震え、彼が最も得意とする終盤の20メートルは「緊張しすぎて足の感覚がなかった」そうです。
0秒01の差は距離にするとわずか10cmほどの差です。
親指と人差し指ではかれるそのわずかな差に小池選手は桐生選手との経験の差を感じたのだと思います。

確実に近づいてきた桐生との距離

その一方で、レースを終えたあと流した小池選手の悔し涙は、桐生選手と小池選手のスプリンターとしての距離が確実に近づいてきたことを感じずにはいられませんでした。

彼が今まで描いてきた成長曲線のまま伸び続ければ、その先にはもっともっと大きな舞台が待っています。
それは世界選手権かもしれませんし、誰もが夢見る東京オリンピックかもしれません。
そのスタートラインに立ったとき、きっと今回の日本選手権決勝の経験は生きてくると思います。

レースで「自信満々」な姿を見せられるように、ひたむきに100メートルに向き合い続けていく小池祐貴選手をこれからも取材していきたいと思います。

キアラシ ダナ 記者

平成27年入局。
慶応大学陸上部で、砲丸投げの選手。今回優勝した山縣選手の同級生。小池選手の大学の先輩。

                   
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