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2018年6月20日(水)

実況アナウンサーが教える!イマドキのサッカー用語

デュエルって何?

サッカーの中継を聞いていると、いろいろな専門用語を耳にします。普段あまりサッカー中継を見ない人にとってはちょっと敬遠したくなるポイントだったりします。ですが、ここにこそ「入口」がありました。


NHKのアナウンサーも、実はサッカー用語に四苦八苦。どうやって視聴者に分かりやすく伝えるか、常に注意を払っています。この用語解説から透けて見えるアナウンサーの苦労を知れば、日本代表チーム以上に応援したくなること間違いなし!?

話を聞いたのは、今回のワールドカップではスタジオキャスターを務める稲垣秀人アナウンサー。そして、同席してくれた先輩アナウンサーのMさんです。M先輩の簡潔かつ鋭いパスを受けながら、稲垣アナがまずは「虎の巻」の存在から明かしてくれました。

【稲垣 秀人(いながき・ひでと)】

1977年12月10日生まれ。
サッカーをはじめ、さまざまなスポーツの実況を行う。今回の2018 FIFA ワールドカップでは、デイリーハイライトなどのスタジオキャスターを担当。

NHKのサッカーに関わるアナウンサーは、放送に関わる「用語集」を持っています。現在ではA4用紙42ページに、230ほどの単語が収められています。

4年に1度、ワールドカップのたびに見直しを行っています。言葉の増減の他、ランク付けもしています。例えば“オフサイド”のように、放送中に特に注釈をつけずに使っても差し支えないものはAランク、少し説明で補った方がいいものはBランク、といった具合です。

今年も年初から見直しを行って気付いたのは、意外と消えていく言葉が少ないということ。だから、覚える言葉が増える一方で…。

今回は、実況でよく使われる用語の中から、ちょっと分かりにくいものをご紹介したいと思います。

<デュエル>

ラテン語の「2」を語源とした「duo」(2人組などの意)につながるもので、「決闘」などと訳されます。サッカーの根源となる、選手同士1対1の勝負を示すものです。デュエルで負けないことは、世界で戦うには必要不可欠な要素です。

「Bランク」として、今年から用語集に追加しました。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ前監督が多用することで、知られるようになったからです。ところが用語集が完成するぞ、という段階で契約解除となり…。入れるかどうか迷ったのですが、後任の西野朗監督も「日本に欠けていたものだから継承していく」と話していたので、用語集に入れました。

M先輩 「私は代表戦の実況をする時、あえて使うようにしていました。監督が求めるものとして、強調したかったからです。その時代のキーワードを使うのは大事なことですね。西野監督率いる日本代表なら、「ポリバレント(複数のポジションをこなすことができる選手)」でしょうか」

<アタッキングサード>

ピッチを3分割して、相手ゴールに最も近い「3分の1」のエリアです。ここで自由にボールを使えると、得点の確率が高くなってきます。

このエリアでの「攻撃の質」を重視する解説者が多いので、使用頻度は高いですね。先日実況した21歳以下(U-21)日本代表の会見でも、ビルドアップとともに質の向上を目指すポイントとして挙げられていました。ただ、放送ではあまり説明調が強くなってもいけないし、バランスよく伝えるのが難しいところなんです。

<バイタルエリア>

バイタルとは「致命的」という意味です。この辺りにボールが入ってくると、得点に絡む可能性がかなり高くなるというエリアのことを指します。具体的に言うと、ペナルティエリア(ゴールを囲むように引かれた四角い線のうち外側の線で示すエリア)の前のスペースになります。

<守備ブロック>

実況では「ディフェンスラインと中盤の選手が自陣に戻って待ち構えています!」などと伝えますね。ディフェンダーと中盤の選手がそれぞれ線をつくるように並び、同じような距離感を保って組織を固めるというものです。Bランクだと思っていたら、Aランクに格上げされていました。

M先輩 「その様子が分かる映像をカメラマンに撮ってもらうよう、中継の前にスタッフと打ち合わせをします。例えば、チーム戦術の重要な一部とするFC東京の試合では、彼らが守っている時にはブロックの話をしたいので、少し引いた映像を撮ってくださいと、ディレクターと一緒に作戦を練ったりします」

そうですね、ブロックをつくるのがうまいチームは、引いた映像で見ると分かりやすいですよね。ラインが整ったその様子をどう描写するかにも気を配っています。「青と赤のブロックができています」などユニフォームの色を用いますが、何か良い表現がないかといつも考えています。先輩からは、「サッカーを題材にした小説を読むと良い表現を見つけられる」と、アドバイスされたこともあります。

<VAR>

「ビデオ・アシスタント・レフェリー(Video Assistant Referee)」の略称です。得点やPKなど試合を左右しそうな局面での難しい判定について、別の場所で試合の映像を見る審判のことです。おそらく、「ビデオ判定」という言い方で紹介し、その中で主審にVARがアドバイスしています、とお伝えすることになると思います。

この判定の間、少し間が空くんですよね。それが実況をする立場としては困るんです。すぐには映像が出ないので…。ちょっとズルして、解説の方に委ねてしまうこともあります(笑)

M先輩 「むう~!?」

<ダイレクトプレー>

手数をかけずに、シンプルにシュートまで持っていくプレーのことです。ハリルホジッチ前監督の縦に速い攻撃というのは、まさにダイレクトプレーだったと思います。

ただし、使用頻度は高くなく、放送ではできるだけ言い換えるようにしています。自分のところに来たボールを止めずに蹴って、直接的(ダイレクト)にパスに変える「ワンタッチパス」と誤解されている方も多いですね。

私もサッカーに詳しかったわけではありません。部活動では、バドミントンをしていましたから。普段から見ない方にとっては、専門用語は難しいかもしれません。それで食わず嫌いになってしまわないように、できるだけかみ砕いてお伝えしたいなと、自分の経験を通じて思っています。

                   
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