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2018年3月9日(金)

パラリンピックが10倍楽しくなる!競技の"ツボ"、教えます

パラリンピックは、オリンピックに比べてなじみが薄いと感じている人も多いでしょう。

でも、じつはこのパラリンピック、いちど “見方”がわかると、オリンピックに負けないほど魅力に満ちたスポーツに変身します。

そこで今回は、冬季パラスポーツを撮り続けるカメラマン・堀切功さんに “ココを観るとグッと楽しくなる!”というパラリンピックの「ツボ」を教えてもらいました。

アルペンスキー ミス=即転倒のギリギリ感

まずは雪面をスキーで滑り降りるタイムレース、アルペンスキーです。障害の種類によって立位、座位、視覚障害の3つのカテゴリーに分かれます。

同じカテゴリーの中でも障害の程度はさまざまですが、各選手ごとに係数が設けられ、実走タイムにその係数をかけた計算タイムで順位が決まります。

アルペンスキーの魅力は何といっても「スピード」。パラリンピックの中では夏冬あわせて一番スピードが出る競技です。

特に座位カテゴリーの人が使うチェアスキーになると最高時速はなんと100km以上!あまりの速さにスキーが浮く瞬間などは迫力があって要注目です!

チェアスキーを見ていると、雪煙が大きく上がっている方が迫力あるように思えますが、実際はあまり上がらない方がブレーキをかけずに滑ることが出来ているんです。

一歩間違えば即転倒というリスクを冒して、ギリギリのところを攻めていく緊迫感をぜひ感じ取ってください!

それとアルペンでもう一つすごいのが、視覚障害者のクラス。こんなふうにガイド役のスキーヤーが後ろを滑る障害者スキーヤーをマイクで先導して滑ります。

全く見えないB1クラスの選手ともなると、完全に声を頼りに滑ることになるので、相当な難易度の高さです。

そして選手を上手く導かなくてはいけないガイドは、時速100km以上で滑りながら時々後ろを振り返えって確認するなど、選手以上の技量が必要であるのに加え、選手との信頼関係も重要です。

チームのコンビネーションが重要なこの競技は、ガイド役もメダルがもらえるのです。選手に目が行きがちですが、選手とガイドの連携に注目してみると面白いですよ。

クロスカントリー 超過酷な“シットスキー”

次はクロスカントリースキー。アップダウンやカーブのある雪上をスキーとストックを使って走破する競技です。

2本の溝に沿って滑る“クラシカル走法”と、スケーティング走法を中心に滑る“フリー走法”の2種目があり、距離は約1kmのスプリント種目、5〜10kmの中距離、15kmや20kmの長距離があります。

障害のカテゴリーはアルペンスキーと同じく立位、座位、視覚障害の3つに分かれます。

この競技で驚かされるのが、座位の選手が使う「シットスキー」です。

これはストックを持つ腕の力だけで進まなくてはならず、コースには坂道もあったりするので、相当に過酷です。これをやっている人を心から尊敬します。

シットスキーはそれ自体曲がれるような作りになっていないので、腕力で方向を変え、曲がっていくことになります。鍛え抜かれた選手の腕の太さはすごいですよ。

バイアスロン 音を頼りに銃を撃つ!

続いては、バイアスロン。クロスカントリースキーで走ってから射撃を行うという種目です。距離はショート、ミドル、ロングの3種類があります。

呼吸や心拍数が乱れている中で繊細な射撃を行うという、持久力と集中力の両方が求められる壮絶な競技です。

こちらの見どころは、視覚障害のある選手も射撃を行うところ。いったいどうやって撃つのでしょう?

じつは視覚障害のある選手は、ヘッドホンを通して音が聞こえる特殊なビームライフルを使います

的に近づくにつれて音が変化します。その音に神経を集中させながら撃つというわけです。まさに、パラスポーツならではのユニークなシステムですね。

射撃の姿勢は、選手によって足を横に出して打つ人もいれば、完全にうつ伏せの人もいる。そんな姿勢の違いに注目してみるのも面白い見方かもしれません。

スノーボード 競り合うスリリングさ

スノーボードは、ソチでアルペンスキーの一種目として初めて導入され、ピョンチャンから晴れて独立した競技となりました。

ジャンプ台やコブなど様々な障害物があるコースを滑る“スノーボードクロス”と、雪面に設置されたフラッグを回っていく“バンクドスラローム”の2種目があります。

どちらも面白いのですが、とりわけ二人が同時に滑り、単純に先にゴールした方が勝ち抜けるというスノーボードクロスはわかりやすくて楽しいです。

時には選手同士が接触する場面もあったりして、非常にスリリングです。

それともう一つの見どころが、“義足”。

義足を出さない選手と、あえてむき出しにして滑る選手がいます。日本では小栗大地選手がそうです。

まさしくメカという感じの義足の足で巧みにボードを操る姿には、グッとくるものがあります。

パラアイスホッケー 圧巻の“肉弾戦”

以前はアイススレッジホッケーという競技名でしたが、パラアイスホッケーという名前に変わりました。

脚部に障害を持つ選手が、スレッジと呼ばれる専用のそりに乗ってプレーする競技です。

短いスティックのグリップの部分にはアイスピックが付いていて、それを氷に引っ掛けて前に進みます。

見どころはなんといっても“激しさ”。

冬のパラ競技で唯一のコンタクトスポーツで、とにかく激しくぶつかり合います。観ていて「そんなことして大丈夫なの!?」と思ってしまうほど。

またこれを会場で観戦すると、激しい音が聞こえてきてものすごい臨場感なので、機会があればぜひ会場で観てもらいたいです。

もちろんテレビでも充分楽しめるのでぜひ音を聞いてみてください。

車いすカーリング まさしく氷上のチェス!

カーリングはパラリンピックの場合、車いすに座っての競技になります。

そして4名からなるチームには、最低1名の異性がいなくてはいけません。

そう、男女混合の競技なんです。ストーンを投げ、ハウスと呼ばれる的の中心にどれだけ近いかを競うというルールはオリンピックと共通です。

オリンピックとの最大の違いは、ブラシでゴシゴシやる“スウィーピング”がないこと

車いすでスウィーピングを行うのは困難だからです。したがって投球が命となり、非常に繊細なコントロールと高度な戦略が必要になります。

カーリングを“氷上のチェス”と呼んだりしますが、オリンピックよりもさらにその要素が強まっているところが面白いです。

ストーンは“デリバリースティック”という棒で押し出して投げます。通常のカーリングは手でストーンに回転をつけてカーブさせますが、車いすカーリングでもスティックを使ってカーブさせることが出来るんです。このあたりは通常のカーリングよりも繊細で難しいかもしれません。

人間の可能性を感じる!魅力的な選手がいっぱい

アルペンスキーには、ステファニー・ジャレンというアメリカのすごい選手がいます。

彼女は左脚と左腕がなく、右脚に1本のスキー、右腕に1本のアウトリガーを付けて立ったまま滑走します。

とてつもないことをしているというのが、ひと目でわかりますよね。

2014年のソチオリンピックでは銅メダルを獲得しました。彼女を見ると、人間って本当にすごいなというのを思い知らされます。

“人間はこんなことまでできるのか!”という可能性を感じさせてくれるところが、パラリンピックの魅力です。

【堀切功(ほりきりいさお)】

1965年、埼玉県生まれ。大学卒業後、スキー雑誌の編集職に就く。副編集長まで務めた後、2001年よりフリーランスに。単行本や雑誌記事の企画執筆、撮影などを手がけつつ、1998年長野パラリンピック以前より追いかけてきた障害者アルペンスキーの取材・撮影も継続して行なう。 現在はスポーツ、ユニバーサル・デザイン、ペットとの暮らしなどをメインテーマに活動する。

                   
※NHKサイトを離れます

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