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2018年2月19日(月)

伝説のアイスダンス「ボレロ」を知っていますか?

男女が音楽に合わせてステップやアクロバティックな技を競うアイスダンス

そのアイスダンス史上初めての出来事が起きたのは、今から34年前、1984年のサラエボオリンピックです。あるペアが、当時は芸術点と呼ばれていた項目で満点を獲得し、金メダルに輝いたのです。

イギリスのジェーン・トービルクリストファー・ディーンのペアです。

伝説のペア トービルとディーン

イギリスで市の保険員として働いていたトービルと、ノッティンガム警察に務めていたディーン。1975年にペアを組み、翌年には国際大会で2位、続いて英国選手権で4位。その後も数々のメダルを獲得しました。

そして、1984年のサラエボオリンピックで芸術点満点のプログラムを披露し伝説となるのです。

トービル(左)とディーン(右)

さて、その伝説のプログラム『ボレロ』を動画でご覧頂きたいのですが、以下の文章を先に読んで頂くと、より深ーく楽しめますよ。

伝説1:”減点”演技を連発!

アイスダンスでは、いくつか減点対象になる項目があります。しかし、トービル&ディーンペアは、あえてその減点項目(当時)を演技に取り入れたのです!

”女性を肩に乗せてはならない”

乗せてます!

明らかに乗せてますね!

”互いに両手を離してはならない”

離してます!

明らかに離してますね!

こうした減点対象の項目があってもなお、芸術的には評価すべき”と審査員全員が認めざるを得なかった2人の演技。フィギュアスケートの歴史に名を残しました。

伝説2:曲はボレロのみ。以上。

当時のアイスダンスでは、テンポの違う複数の曲を使い、ドラマティックに仕上げるのが常識。しかし、2人が使用したのは、モーリス・ラベル作曲の『ボレロ』1曲のみ。

反復するリズムとメロディーが特徴です。淡々とした曲調をドラマティックに演出したのは、かなり冒険的な試みだったと言えます。

伝説3:ルールの裏をかいた!

オープニングの演技 ルール上は制限時間外

アイスダンスのフリーでの競技時間は4分±10。しかし、2人のトータル時間はなんと4分28秒!

スケーターが滑走を始める前”にオープニングで18秒間滑らず、氷上に膝をついたまま”左右に揺れる妖艶な演技をして、ルール上は制限内に収めながらも、実際には全体の演技時間を延ばしたのです。

伝説3:そして型破りのエンディング

『ボレロ』で2人が表現したのは、かなわぬ恋に苦しみながら旅を続け、最後には火口に身を投げてしまう男女の物語。愛しているけど一緒になれない…愛が始まり、深くなり、そして死という形で究極のフィナーレを迎える。

まるでロミオとジュリエットのような悲しい恋物語です。

ディーンに抱かれたトービルはとろけたような表情になり、膝に乗せられて宙を踊ると切なげな表情に変わり、男女の愛を優雅に、悲しく、美しく表現。

アイスダンスでは普通、演技の最後は立ったまま、両手を高く上げて広げたポーズなどで終了します。

しかし、身を投げて息絶えた男女を表現するため、トービル&ディーンペアは氷上にもつれながら倒れこむというシーンで演技を締めくくりました。

”デス・オン・アイス”(氷上の死)で終わる

このエンディングは、のちに「デス・オン・アイス」(氷上の死)と呼ばれ、フィギュアスケートでたびたび見られる演出になりました。

最後の最後まで観客を引きつけ、強烈なインパクトを残した演技。これには審査員も度肝を抜かれ、満点をつけずにはいられなかったんですね。

トービルとディーンは恋人同士だった?

2人の演技や普段の親密さからトービル&ディーンペアは恋人同士だという噂がありました。

「僕らは演技している間だけ恋に落ちる」(クリストファー・ディーン)

と、2人はその噂を否定し続けていました。

滑りながらのキスシーン

『ボレロ』では、こんなキスシーンまで。噂の真偽は定かではありませんが、お互いを信頼し合っていたからこそ、心中して一つになる愛を表現できたのではないでしょうか。

また、この大会が行われたのは1984年の2月14日。男女の悲しい恋物語を、カップルの「愛の誓いの日」とされるバレンタインデーに行ったことも、伝説の一つと言えるのかもしれません。

「私たちの代表的な作品になるなんて全く思っていませんでした。
でも今はこの作品が私たちにとってなくてはならないものになったのです。」(クリストファー・ディーン)

当時の常識ではありえなかった『ボレロ』。しかし、今ではフィギュアスケートを象徴する曲になりました。

記憶に刻まれた名演技

一度はプロに転向した2人ですが、1994年リレハンメルオリンピックで現役に復帰。新しいプログラムの『ルンバ』を演じて、銅メダルを獲得しました。

そして、この大会のエキシビションでは、あの『ボレロ』を演じました。サラエボオリンピックを彷彿とさせる「6.0」と書かれた多くのボードが客席に掲げられました

それでは最後に、 トービル&ディーンペア の感動の名演技「ボレロ」をノーカット、実況なしでご覧ください。

ジェーン・トービル&クリストファー・ディーン 「ボレロ」

                   
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