NHKスペシャル

秘島探検 東京ロストワールド
第2集 孀婦(そうふ)岩

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東京に人を全く寄せ付けない秘境「ロストワールド」がある。そこは、周囲から隔絶された環境で、まるでタイムカプセルのように貴重な命が守られている。第2集の舞台は、東京都心から南へ650㎞の伊豆諸島最南端。大海原にそびえる巨大な岩の柱だ。高さ100mの断崖絶壁、東京都・孀婦岩(ソウフガン)。まるで海面から空に向けて包丁を付き立てたような形をしている。いったいどうやってこんな不思議な岩が生まれたのか?そして、どんな生きものがすんでいるのか?これまで詳しい調査が一度もされたことがない「空白地帯」のため、知見はほとんどない。番組は2年間かけ、科学者やエンジニアらと共に初の科学調査に挑んだ。垂直の崖をロープ一つで登ると、正体の知れない生きものが岩の隙間から次々と現れる。周囲の海からは、まか不思議な深海魚が次々とあがる。科学者は幻の古代魚、シーラカンスさえ見つかるかも知れない環境だと興奮する。空前絶後のスケールで数々の深海探査機を投入。そしてついに見つけた、巨大魚の正体とは?

放送を終えて

番組をご覧いただいた皆さまに、
「わくわくどきどき」感を少しでもお伝えすることができたでしょうか?
これまで一度も詳しい調査がされたことのない「科学調査の空白地帯」。
そんな秘境を、世界有数の研究者とエンジニアたちと協力し、
最新の機器で調査・撮影するのですから、現場は興奮せずにはいられません。
いったいどんな生きものがひそんでいて、いったいどうしたらこんな地形ができるのか。
調べれば調べるほど、謎が増えていきます。

でも、撮影は、10年かかったダイオウイカの撮影をも凌ぐ大変さでした。
海がなぐことはほとんどなく、複雑な海底地形に、刻々と変わる潮流。
深海へ投入する機材は次々と壊れたり、行方不明になったり…。
担当ディレクターの私は、100mの絶壁をよじ登ることもできなければ、
凶暴な巨大ザメが群泳する荒海にも当然もぐれません。
何が撮影できるか、まるっきりわからない暗中模索の日々。
手弁当で協力してくれた研究者や調査機関の皆さまのおかげで、
得られた貴重な映像を最大限に生かし、なんとか一本の番組となりました。
『テレビの原点』ともいうべき冒険物語。
お茶の間やネット上で「わくわくどきどき」、
家族や仲間との団らんの肴(さかな)にして頂けたとしたら幸いです。

番組ディレクター 小山 靖弘