NHKスペシャル

アルツハイマー病をくい止めろ!

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認知症800万人時代。深刻なのがアルツハイマー病だ。認知症に占める割合がおよそ7割と最も高く、近年発症者が急増している。未だに完治させる方法は無い。団塊の世代が、今後この病を発症する時代へと突入する。世界では今、アルツハイマー病の進行を食い止め予防する「予防的治療」に注目が集まっている。きっかけは、病が発症するまでに25年もの年月がかかることが、大規模な追跡調査から明らかになったことだ。症状が出始めるはるか前から薬を投与して予防。既に症状が出始めている場合でも、進行を食い止める新薬の開発が最終段階を迎えている。さらに運動不足や睡眠不足の解消が意外な効果を発揮することも分かってきた。“宿命の病”から、“予防できる病”へ…。世界各地でアルツハイマー病に立ち向かう最先端の治療現場に迫る。

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放送を終えて

急増を続ける認知症。中でも、その7割と占める「アルツハイマー病」へ挑む最新の研究成果に迫ったのが今回の番組です。
番組で紹介した、25年前から発症に向けて進行していく詳細、記憶を担う脳の海馬の萎縮を防ぐ特別な運動、睡眠とアルツハイマー病の関係。こうした研究成果には驚いた人が多いのではないかと思います。取材を通じて私自身が驚いたのは、この3年の間に研究成果が出てきた点です。私は2010年にNHKスペシャル「認知症を治せ!」を制作しましたが、その時点では、今回紹介した研究は始まったばかりで、紹介できる程の証拠が揃っていませんでした。ところが2012年、2013年と新たな研究成果が発表となり、証拠が揃ってきたのです。わずか3年です。アルツハイマー病の克服に向けて、確実に一歩一歩研究が進んでいます。残念ながら患者や家族が切望している「進行を止める薬」は、まだ登場していませんが、確実に「標的」に近づいていると感じています。これからの3年で、どんな新たな成果がでてくるのか。期待しながら今後も取材を続けていきます。

ディレクター 青柳由則