NHKスペシャル

シリーズ 深海の巨大生物 謎の海底サメ王国

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未知なるフロンティア「深海」。そこに潜む巨大生物を通して、地球の海の生態系を描く2回シリーズ。
第2回は、深海ザメ。富士山の麓に広がる駿河湾・相模湾には、岸から一気に落ち込む世界有数の深い峡谷が沈んでいる。この深海大峡谷は、これまで深海ザメが数多く発見され、世界的にも珍しい「深海ザメ王国」となっている。番組では、4年の歳月をかけ、深海ザメ王国に分け入り、貴重な深海ザメの撮影に挑んだ。
伝説の大海ヘビのモデル・ラブカ、アゴが飛び出し顔がひょう変する悪魔のサメ・ミツクリザメ。なかでも極め付きは、わずか37年前に発見されたメガマウスザメだ。体長なんと5メートル、大きな口をもつユニークな姿だが、こんな巨大生物がこれまで見つかっていなかったことから、シーラカンス以来の大発見と騒がれた。これまで世界で50例ほどしか見つかっていないメガマウスが富士山のふもとにあるこの「王国」で、近年相次いで発見が続いている。
メガマウスは何を求めてやってくるのか?深海数百メートルに住む特産のサクラエビを狙って日本沿岸に接近するのではないかと推測。地元の漁師や研究者の協力を得て、情報を蓄積。ついに世界初の貴重な姿を水中で捉えることに成功した。
メガマウスをはじめ、知られざる深海ザメたちの生態の数々に迫り、未知なる深海の世界を紹介する。

【音楽】久石譲 【演奏】NHK交響楽団/東京ニューシティ管弦楽団

<国際共同制作 NHK/NHKエンタープライズ/ディスカバリー・チャンネル(米)/ZDF(独)/ARTE(仏)>

放送を終えて

4年もの長期間をかけ、やっと番組を世に出すことができました。難易度が高く、手間ひまのかかる深海生物の撮影。海底に深海撮影用カメラを繰り返し落とし続ける中で現れたのは、見たこともない不思議な生き物たちでした。深海ザメはもちろん、ダンゴムシのおばけのような生き物、退化して目の無いウナギの群れ、マッチ棒のような体の先から触手を出して泳ぐ生き物・・・。「深海には、まだ手付かずの世界が残っている」ことを実感しました。この「不思議な世界に分け入るワクワク感」、見たこともないものをお茶の間に届けるというテレビの原点、これを伝えられないかと強く思い制作しました。放送当日、電話での対応と並行して、ツイッターの反応を見ていたところ、そこには放送に即応しながら思いを書き込んでいく人たちの、うれしい声があがっていました。「NHKの深海の巨大サメ番組見てたらわくわくがとまらない」「サメ怖い(>_<)でも見てしまうー!!」「放送時間までワクワクしながら待ったTV番組は久しぶり♪」。映像の威力がもたらしてくれた反響は、今も続いています。視聴者の皆さんに思いが届き、テレビの良さを実感できたことが、4年間の苦労を吹き飛ばしてくれました。

ディレクター 結城仁夫