NHKスペシャル

なでしこジャパン 涙と笑顔の初メダル

日本の女子サッカー史上初めてとなる悲願のメダルを獲得したなでしこジャパン。だが、その道のりは決して平坦なものでなかった。
去年のW杯で優勝したことで世界のライバルから徹底して戦術が研究され予選リーグから厳しい戦いを強いられるようになった。そうしたなか、佐々木監督はある戦略を立てていた。
その采配が功を奏し、決勝トーナメントでは世界の強豪を次々に撃破。そして迎えた決勝戦、アメリカに対し本来の持ち味である攻撃的なサッカーで攻め続け、敗れはしたもののその実力を世界に見せつけた。
監督や選手らのインタビューを軸に、活躍の舞台裏を描く。

放送を終えて

なでしこのロンドンオリンピックの挑戦は、銀メダルという結果で終わりました。メダルへの軌跡を追った今回の番組で最も印象的だったのは、表彰式での選手たちの晴れやかな表情でした。今回のメンバーの多くは、前回の北京大会でメダルに届かなかった悔しさをはらしたいと、大会に臨んでいました。目標の金メダルには届きませんでしたが、それでも日本のサッカー史上初めての銀メダルを獲得したことは、後世に語り継がれる偉業と言っても差し支えないでしょう。
ワールドカップで世界一に輝いたことで、なでしこジャパンには国民の大きな期待が寄せられ、監督、選手たちにかかった重圧は、並大抵のものではありませんでした。さらに、メダルを獲得できなければ、女子サッカーへの関心が急速に低下してしまうかもしれないという強い危機感も抱いていたなでしこたち。それでも彼女たちは常に笑顔を絶やさず、チーム一丸となってオリンピックを戦い抜き、結果を残しました。選手たちだけでなく、監督、コーチ、そしてスタッフ、「なでしこジャパン」の全員が結束したからこそ、なしえたことだと思います。今回、その歴史的な瞬間に立ち会えたことは、取材者としても、個人としても、非常に感慨深いものがあり、光栄なことだと感じています。
ロンドンオリンピックで、なでしこの挑戦は一区切りを迎えました。それでも、女子サッカーを日本に根づかせるという大きなチャレンジはまだ始まったばかりです。私たち取材する側も、女子サッカーを一過性のブームで終わらせることがないよう、今後もなでしこを追っていきたいと思います。

報道局スポーツセンター 記者 清水 太