NHKスペシャル

秘境ブータン 幻のチョウを追う

ヒマラヤ山脈を頂く秘境・ブータン王国。その最奥地の渓谷に、世界中の研究家や愛好家が追い求める幻の蝶が生息する。その名は「ブータンシボリアゲハ」。3つの尾を持ち、翅に大きな赤い紋。羽を広げると人間の手の平のサイズにも及ぶという大アゲハだ。現在その姿を確認できるのは、およそ80年前に英国人探検家によって発見され持ち帰られた、大英自然史博物館のわずか5匹の標本のみ。それ以降追加の記録は一切なく、生態がほとんど解明されていないことから、世界最後の“秘蝶”とされてきた。
この大アゲハを追い求め、3年前、志半ばで亡くなった日本人がいる。日本蝶類学会初代会長・五十嵐邁さん(享年83)。アジアを中心に蝶を追い求め、700種以上に及ぶ生態を解明し世界でもその功績が高く評価されている。その遺志を継いだ日本の6人の専門家が調査団を組んで、この夏、現地に入り、五十嵐さんの果たせなかった夢の実現に向かった。
番組では、ブータン政府の特別許可を得て、日本の調査隊に密着同行。幻の大アゲハの世界最初の映像撮影に挑んだ。