NHKスペシャル

南米の驚異 道具を使うサル

2004年12月、世界を驚かせるニュースが発表された。ブラジル北東部に広がる乾燥地帯で、石を道具として使うサルが発見されたと言うのだ。石を道具として使うのは人間とチンパンジーだけと考えられていたサルの常識を覆す「世紀の大発見」である。

その主人公は、頭が良いことで知られているフサオマキザル。南米で最も広い範囲に分布する体重3キロほどの小さなサルで多くはアマゾンなどの熱帯雨林で暮らし、果物を主食にしている。道具を使う行動が発見された乾燥した森は、木がまばらで熱帯雨林ほど果物が実らない。そこでサル達が目をつけたのが地面に生えるヤシの実だ。しかし、このヤシの実は、堅い殻に覆われていて、そのままでは食べることが出来ない。

フサオマキザルは持ち前の知恵を働かせ、石を道具として使いヤシの実を割る行動を進化させたのだ。石の重さは1キロ程。2本足で立ち上がり、自分の体重の3分の1もある石を使って実を割る姿は、まるで私たち人間の祖先が行っていた活動を、現代に再現させている様にも見える。

番組では、厳しい環境を生き抜く為にサルが進化させた驚くべき技をハイスピードカメラを使った最新の撮影手法で余すところ無く紹介する。