NHKスペシャル

1000人にきく ハケンの本音

桂文文珍

「終身雇用制度の崩壊」「成果主義の導入」「長時間労働と過労死やうつ」「格差社会とワーキングプア」。バブル崩壊後、日本人の仕事は大きく変り続けている。なかでも関心を集めているのが、労働者の3分の1を占める「非正規雇用」。とりわけ派遣労働(ハケン)には、正社員との格差や雇用の流動化で、これからの社会がどこに向かっていくのかを探るヒントがある。
 番組では、社会の中心となっていく30代の派遣社員1000人とスタジオをネットで結び、スタジオの映像・音声を参加者のPC端末にリアルタイムで送りながら、その本音を探る。
                
●ハケンの仕事 理想と現実
 ハケンで働くことの不満で多いのが、責任ある仕事を任せてもらえないという声だった。「一緒に働く仲間として正社員の人たちに認めてもられない。まるでモノ扱い」「負け組みの象徴」・・。しかし、不満を抱く一方で、ハケンの人々は正社員になること対しても疑問の目を向ける。「管理職になるより専門性を活かした仕事を続けたい」「過労死するまで会社一辺倒の暮らしはイヤだ」。

●ハケンという生き方に未来はあるか?
 今、ハケンのままでは将来に希望を持てないと言う。「ローンが組めないなど社会的に信用されない」「結婚や出産に二の足を踏んでしまう」…。番組ではハケンという生き方に人生を託す人々にどういう社会であれば自分らしい生活を送れると思うか聞く。専門性を活かしたハケン労働とそれを有効に活かす社会。こうした未来は可能か、日本の社会が向かう一つの方向性を探る。

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