NHKスペシャル

憲法と日本人 ~1949-64 知られざる攻防~

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憲法施行から71年。“現在”と同じように憲法改正をめぐる国民的議論が交わされた時代が、これまでに“1度”だけあった。GHQが憲法制定についての公式報告書を刊行した1949年から、政府の「憲法調査会」が憲法改正を棚上げする報告書を提出した1964年までの15年間である。今回、NHKはこの間に交わされた憲法論議に関する様々な一次資料を大量に発掘した。そこから見えてきたものは何か――。
発掘した様々な一次資料や当事者たちの貴重な証言から、この15年間の憲法論議に「現在の論点」が凝縮されていることが明らかになってきた。現在と同じく、現行憲法が「押しつけ」か否かという議論を経て「9条」「自衛隊」をどう取り扱うかに収斂されていくのである。番組では、知られざる15年の攻防を多角的に検証し、憲法をめぐる日本人の模索を見つめていく。

放送を終えて

終戦から間もない1949年から、東京オリンピックが開催された1964年までの15年間。GHQの公表した報告書をきっかけに憲法論議が熱を帯び始め、戦後唯一の内閣憲法調査会が設置されるなど、今以上に白熱した国民的な憲法論議が行われた時代です。この15年間に現在の憲法論議を考える上でのエッセンスが凝縮されているのではないかという問題意識から、私たちは番組制作に当たりました。 新たな歴史的事実を発掘するため、今回700点以上に及ぶ資料と向き合いました。膨大な資料からこれまで知られていない事実が明らかになり、改憲派・護憲派双方に通底する主張の源流が浮かび上がってくる過程は、取材を行っている私たちにとっても、未知の領域に踏み込んでいく興奮を覚えるものでした。過去の歴史的事実から現在の状況を逆照射し、また現在の状況から歴史的事実を新たな視点で捉え直していく往復運動の大切さを、改めて実感しました。今後も歴史的な状況を踏まえつつ、現在起きている事象を捉え直していけるような番組制作を続けていきたいと思います。

ディレクター 安井浩一郎