NHKスペシャル

亜由未が教えてくれたこと ~障害者の妹を撮る~

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19人の命が奪われた相模原市の障害者殺傷事件を起こした植松被告が語った言葉「障害者は不幸を作ることしかできない」。僕・NHK青森のディレクター坂川裕野(26)は、この言葉が心に突き刺さっていた。3歳年下の妹、亜由未(23)は、事件の犠牲者と同じ重度の障害者。20年以上亜由未と暮らしてきて、僕は不幸だと感じたことはなかった。しかし、小さい頃から介助や世話は親任せ。そんな自分が、障害者の家族は幸せだと胸を張って言えるのか。両親に相談し、介助をしながら亜由未を1か月にわたり撮影することにした。ところが、亜由未は、両親やヘルパーさんには幸せそうに笑顔を見せるのに、僕には不機嫌な顔で警戒心を解いてくれない。介助の大変さばかり感じ焦る毎日が続いた。そんなある日、両親から「結果的に笑顔だったのと、笑顔を求めるのは違う。障害者は幸せじゃないと生きる価値がないと言っている植松被告と同じ考えになってしまう」と戒められた。番組は、ほとんど言葉を発することができない妹を理解しようともがく兄のディレクターの姿を通じて、障害者を育てる家族の本音、大変なのと不幸は違うということ、そして共に生きる幸せとは何かを伝える。