NHKスペシャル

列島誕生 ジオ・ジャパン 第2集
奇跡の島は山国となった

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私たちの暮らす日本。地球上の陸地の1%にも満たない狭い国土の中に“宝物のような絶景”が満ちあふれている。さらに不思議なことに、大海原のただ中の島国なのに、なぜか三千m級の山々がそびえている。
日本列島は、どうやって生まれ、どんなドラマをへて、今の姿となったのか?
最新科学は、数千万年に及ぶ“列島誕生の大地の物語”を解き明かしつつある。そして地球史上まれな“奇跡的な四大事件”があったからこそ、列島がここに存在していることを突き止めた。『ジオ・ジャパン』では、日本各所の絶景や、はるかな時空を超えたタイムトリップCG、そして列島誕生と深く結びついた“和食”を読み解くスタジオから、日本の“大地のドラマ”を描く。
第2集は『恵みの山がついに生まれた(仮)』。生まれたばかりの日本列島は、大陸的な平原がひろがる「平べったい」島々だった。いったい何が起きて、いまの険しい山々が誕生したのか?そこには、地球全体を揺るがす大事件が隠されていた・・・。出演は、劇団ひとり、指原莉乃(HKT48)、巽好幸(神戸大学教授)、和久田麻由子アナウンサー。

放送を終えて

 日本列島の成り立ちを描くジオドキュメンタリー番組の企画を暖めはじめてから約3年。全国各地に点在する地質学者たちの汗と涙のフィールドワークの成果をわずか49分の番組にまとめなければならないという大いなるプレッシャーを受けながらの制作、なんとか放送にまでこぎつけることができた。列島誕生のドラマを秘めた石や地層の年代は数千万年単位だ。はるか昔の出来事だけに、一つの地層の成り立ちだけでも学説は多数ある。その中で、地質学会や研究者を訪ね歩き、科学的事実を丹念に取材し、番組の物語に乗せていく作業はとても骨の折れる作業だった。さらには取材結果に基づき、太古の日本列島を最新のCG・VFXを駆使して、一つずつ表現していくことに1年以上もの時間がかかった。しかし、苦労の甲斐あって、皆様には知られざる太古の日本列島にタイムトリップしていただけたのではないだろうか。
 この番組は、日本各地の絶景から列島誕生のドラマを紐解くことを売りにしている。他番組にはない「絶景感」は番組の肝だ。2年の歳月をかけ、重厚な4K機材を担いで日本各地の山岳地帯や活火山を巡った。雨や雪に襲われることもしばしばで、絶景が輝く一瞬を捉えるのに膨大な時間を費やした。
 激動の大地・日本列島は時に私たちに災害という試練をもたらすが、一方で大地が動くことで私たちは大いなる恵みを享受し、私たち日本人はこの列島で生きてきた。そしてこれからもこの大地の上で生きていく。番組を通して、時間の捉え方を少し変えてもらえることができたなら幸いだ。自然を見る目線がきっと変わるはずだと信じている。

ディレクター 香川史郎