NHKスペシャル

揺らぐアメリカはどこへ 混迷の大統領選挙

超大国・アメリカの大統領選挙がかつてない異常事態となっている。政治経験がまったくない共和党候補トランプ氏が、民主党のクリントン候補に肉薄。どちらが大統領に選ばれるのか、最後まで予断を許さない状況だ。「アメリカ第一主義」を掲げ、反移民、反TPP、日本など同盟国へ更なる負担を求めるトランプ氏。過激な発言は不法移民に職を奪われたと感じる白人労働者層に支持を広げている。かつて製造業でアメリカ経済をけん引した中西部。錆びた地帯「ラストベルト」と呼ばれるオハイオ州では、今回新たに100万人もの共和党支持者が掘り起こされた。トランプ氏の支持拡大の背景には、職を失い、アルコールやドラッグに溺れるなど、死亡率が増加する白人労働者層の厳しい現実が見えてきた。白人社会の不法移民に対する不安と憎悪もこれまでになく高まっている。一方、女性初の大統領を目指すクリントン氏。職を得ることが出来ず多額の学費ローンに苦しむ若者たち「ミレニアル世代」の支持を固め切れていない。中でも黒人の若者たちは、失業・貧困などオバマ政権の8年で何も変わらなかったと嘆く。富裕層と貧困層、白人と移民・黒人などの間で分断が広がるアメリカ。今何が起きているのか?その深層に迫る。