NHKスペシャル

シリーズ MEGA CRISIS 巨大危機
~脅威と闘う者たち~
第2集 地震予測に挑む
~次はいつ どこで起きるのか~

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第2集は、巨大地震に立ち向かう科学者たちの挑戦の物語。熊本地震で「想定外」とされた2度の震度7だが、そのリスクは予測できたと考える研究者たちがいる。地殻変動や地震の発生パターンを読み解く最新科学によって、従来より高い精度で地震の危険度が予測できるようになりつつあるのだ。その手法で「次の危険地域」をあぶり出し、今度こそ事前に警告を発しようという奮闘が始まっている。一方、南海トラフ巨大地震が懸念される西日本では、海底に設置された最新観測網が異変を捉え始めている。巨大地震へのカウントダウンなのか?海底下に潜む“地震の巣”の間近で、いち早く「兆候」を捉えようとする新たな挑戦に密着する。

放送を終えて

 今回の番組の出発点は、熊本地震です。突如発生した大地震は多くの人々の命や暮らしを奪いました。しかし、専門家に取材をしていくと、実は科学的にはその発生が事前にある程度予測できていたということが分かってきたのです。もしもその情報が事前に地元の人たちに正しく伝わっていれば・・・。同じ悲しみを繰り返さないためにも、いま科学で分かっていることを少しでも多くの人に伝える必要があるのではないかと考え、取材を進めてきました。  取材の中で意識したのは、地震のリスクが高い場所を具体的に示すような研究です。その結果辿り着いたのが、遠田先生の地震の連鎖の仕組みや、尾形先生の統計学による確率予測、そして巨大地震との関連が指摘されているスロースリップです。いずれも非常に難解な最先端の研究で、番組としてどう伝えればいいのか頭を悩ませ続けました。  今回の番組では、具体的な場所を示して地震のリスクを提示することに挑戦していますが、いずれもまだ予測の精度としては曖昧さを伴っていることは事実です。それでも今回の試みが少しでも減災に繋がることを願っています。取材にご協力いただきました研究者の皆様、どうもありがとうございました。

ディレクター 金森 誠