NHKスペシャル

金メダルへの道 水の王者は俺だ
~萩野公介と瀬戸大也~

5日に開幕するリオ五輪で金メダルが期待されるアスリートに迫る「金メダルへの道」。
第1回は競泳の400m個人メドレーで日本初の金メダル、さらに「ワンツーフィニッシュ」も夢ではないとされる、萩野公介選手(21)と瀬戸大也選手(22)。その過酷さから勝者は「キングオブスイマー」と称される400m個人メドレー。これまでの覇者は“水の怪物”フェルプスなど圧倒的なフィジカルを持つ選手だ。しかし萩野と瀬戸の2人は、これまでの競泳の常識を覆す「水に逆らわない泳ぎ」で戦う。その秘密を水中モーションキャプチャで解明。さらに萩野の驚異的なスタミナを支える驚きの「乳酸値」や、瀬戸の勝負強さを支える「脳」の秘密も分析。同学年のライバル2人。性格もこれまでの競技人生も正反対の2人が刺激し合って目指す金メダルへの道。最新の科学による分析と、密着ドキュメントで立体的に描く。

放送を終えて

「タイム」という明確な基準がある競泳の世界。優れたスイマーとは、「最速」の選手。2年前に取材を始めた頃、当然のようにそう思っていました。ところが、今回の主人公、ライバルの2人を追いかけると、そう簡単ではないことが分かりました。「最速」=「最強」とは限らない!
萩野選手は世界最速のタイムを持つ、超ダントツ圧倒的金メダル最有力候補です。しかし、これまでここ一番で勝てず、世界一になるチャンスを4回逃しています。いつも通り泳げば勝てるのに、なぜかそれができない。オリンピックに向けて自問自答を繰り返してきました。
一方の瀬戸選手は、国内の大会など普段は萩野選手にほとんど勝てません。2人が一緒に練習をすると、瀬戸選手は大差をつけられてしまい、「本当にライバルなのか?」と思うような光景を目にします。しかし、萩野選手が逃した4回の世界一をすべて勝ち取ってきました。リオデジャネイロでも何かやりそうな予感が漂います。
「最速」の萩野選手と、「最強」の瀬戸選手。対照的な2人が、オリンピックの舞台で対決するのは初めて。それぞれが、ライバルにあって自分にないものを模索しながら迎えるオリンピック。今回、ひとつの答えが出ます。それでも、それはあくまで現時点での話。まだ20代前半の2人の物語は、4年後の東京オリンピック、さらにその先へと続きます。

ディレクター 相原友佑