NHKスペシャル

女たちの太平洋戦争 ~従軍看護婦 激戦地の記録~

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戦時中、アジア・太平洋の戦場に派遣された日本赤十字社の「従軍看護婦」。彼女たちの派遣先での日々を記録した業務報告書200冊が日赤本社に残されていることが明らかになった。報告書には、次々と担ぎ込まれる重傷者の看護に忙殺される日常や、作戦の展開や戦況の変化にともない頻繁に移動を命じられた様子など、現地に着いてから敗戦にいたるまでの詳細が記されている。南方の激戦地の中で特に多くの看護婦が派遣されていたビルマ戦線とフィリピン戦線を、この報告書と、20人を超える元従軍看護婦の証言を通してたどる。
終戦までに召集された看護婦はおよそ3万人。その多くが国のためになりたいと自ら望んで従軍看護婦となった。幼い子どもを残して戦地に向かった女性も少なくない。しかし派遣先では、急速に悪化する戦況の中、傷病兵に十分な治療をすることは困難だった。もともと日本軍の補給体制に不備があった上に輸送路を遮断され、医薬品が欠乏。伝染病患者も負傷者も、ただ励まし見守ることしか出来ない日々が続いた。日本軍の劣勢がさらに深刻になると、完治していない者まで前線に戻され、動けない患者は置き去りにすることが命じられるようになる。そして終戦間際、連合軍に追いつめられる中で、看護婦たちを次々に惨劇が襲う。ゲリラの襲撃、飢えや病で次々と倒れる仲間たち。
戦場でおびただしい死に向き合い続けた女性たち。彼女たちの目を通した太平洋戦争の実像を描く。