NHKスペシャル

カラーでよみがえる東京 ~不死鳥都市の100年~

2020年のオリンピック・パラリンピックを招致するTOKYO。世界の巨大都市の中で、東京だけが経験してきた歴史がある。100年の間に震災と戦争によって2度焼け野原となり、そこから不死鳥のようによみがえった不屈の歩みだ。それはどのように成し遂げられたのか?

NHKは、東京を撮影した白黒フィルムを世界中から収集、フランスのプロダクションと協力して現実にできるだけ近い色彩の復元に挑んだ。色を取り戻した映像からは、2度の破壊のすさまじさ、そこから立ち上がった庶民の喜怒哀楽など、歴史のリアルな手触りが生き生きと伝わってくる。

初公開のフルカラー映像で描く東京の100年。激動の歩みを追体験する映像のタイムトラベルへようこそ。

放送を終えて

番組は、観た人が何を感じるかが全て。白黒映像をカラー化した本邦初の試みが、心に響くものである事を念じて、制作に力を注ぎました。ありがたいことに、放送後の反響の多くは好意的なものでした。
しかし、遡ること5年前、今回のようなカラー化番組が、初めてフランスで制作され、放映された際には、一筋縄ではいきませんでした。第2次世界大戦の記録映像をカラー化したその企画は、「カラー化など言語道断」と歴史学者たちからの厳しい批判に晒されました。以来、激論が交わされ、手法の改善が重ねられます。そして今では、白黒映像のカラー化は、フランスを始めヨーロッパで市民権を得て、歴史番組の新たなトレンドとなり、年間5~6本がプライムタイムで放送されるに至っています。つまり、パリで作業の大半を行った今回の番組「カラーでよみがえる東京」は、彼の地での試行錯誤の経験と洗練の延長線上にある一本だったといえると思います。
ある視聴者からの感想。「埋もれていた白黒映像が命をもらって輝くことに、感動を新たにした。先進技術によって、まだまだテレビの世界は発展できることを示していると思った。」
後世に伝え残すべき映像がたくさん埋もれています。カラー化を試みるべき白黒映像は膨大にあります。そして、次なる挑戦は、日本国内の技術とスタッフの総力を結集して、初の国産カラー化番組を実現させることです。

ディレクター 岩田真治