NHKスペシャル

足元の小宇宙 ~生命を見つめる 植物写真家~

私たちの周りのなにげない自然の中には、数えきれないほどの小さな命がひしめいている。
余分な水分を排出し、宝石をまとったように輝く草の葉。湿度の変化によって、小さな人形のように踊り出すツクシの胞子。機械のような精密さで遠くに種を飛ばす草花。そして、美しく幻想的に舞うキノコの胞子。その尊い植物の営みを撮り続けるのが、植物写真家の埴沙萠(はにしゃぼう)さん、82歳。群馬県にある自宅周辺の山里で、はいつくばって、寝転がって、私たちでは到底気づかない極小の命を次々と発見していく。埴さんのレンズを通すと、一見地味な植物の風景が、躍動感あふれる驚きの世界へと変わる。埴さんは、「動かない植物が動く瞬間」をとらえたいと、75歳になってから、写真だけではなく映像の撮影も行っている。長年、挑戦し続けてきたのが、植物の葉から無数の水滴があふれ出る映像だ。昨年、満足できる映像が撮影できず、82歳の今年も挑戦を続けている。春夏秋冬、1年を通して見つめる、ため息の出るような美しい植物たちの姿や、思わず笑ってしまうユニークな仕草。4月29日に放送し、大きな反響を呼んだ特集番組に、最新の映像を加えて、珠玉の映像で小さな命の尊さに迫る。