NHKスペシャル

シリーズ日本新生 "観光革命"がニッポンを変える

富士山の世界文化遺産登録に加え、円安の追い風を受けて俄然盛り上がる、外国人観光客への期待。しかし、豊かな四季折々の自然、治安の良さ、おもてなしの心など、潜在力は高いと言われながら、結果が出せていない。国は2016年に外国人観光客1800万人誘致の目標を掲げているが、去年の実績は837万人。8000万人のフランスに遠く及ばず世界30位前後。一方、ライバル・韓国は「韓流文化」の輸出と連動する戦略で去年1000万人の大台を達成した。
さらに日本を取り巻く環境は厳しさを増している。海外に出かける世界の観光客は現在10億人、それが2020年には15億人に急増、5人に1人が海外旅行をする時代を迎える。この巨大市場を狙って、世界の国々が熾烈な争奪戦に乗り出しているのだ。観光を制するものが世界経済を制するとも言われる時代、日本は大きく出遅れているのが現状だ。
こうした事態を打破するには、「景勝地を効率よく回って夜はホテルで宴会」といった団体旅行全盛期に生まれた観光スタイルからの完全脱却や、「地元発案」による地域の魅力の再発見、隣接する地域との協力関係の構築など「観光革命」と呼べる抜本的な発想の転換が求められている。観光革命を実現するには、何が必要なのか?海外の先進地の事例や国内の新たな取り組みを紹介し、議論を深めていく。