NHKスペシャル

日本国債

年々膨れ上がる日本の“国の借金”、日本国債の発行残高が、ついに700兆円を超える。その額は、対GDP比でみると先進国では最も大きい。
莫大な国の借金は、ヨーロッパでは信用不安の原因となり、混乱が続いている。その額の大きさから“薄氷の上にある”とも例えられる日本国債は「安全な資産」として資金が集まって連日高値を記録し、長期金利は10年ぶりの低水準で盤石にみえる。
これに対し、人々の預金を元手に国債を大量に保有する金融機関では、国債価格の下落に警戒を強めている。デフレ対策のため、事実上、国債を買い支えている形になっている中央銀行「日銀」は、購入による副作用を意識しながらも、かつてない額の買い入れを行っている。そして海外のヘッジファンドの中には、人口が減少し低成長が続く日本は、やがて苦境に陥ると予測し「次なるターゲットは日本国債」と公言しはばからないところまで出てきている。
欧州の信用不安。アメリカの景気の先行き不安。こうした状況から、豊富な個人金融資産と対外資産を持つ日本の国債は、今のところ“安全”と見なされて買われている。しかし、ひとたびその安定が崩れれば、財政が悪化し、暮らしに直結する公共サービスが滞り、企業経営、個人の家計にも大きな影響が出るとの懸念もある。
日本国債に今何が起きているのか。番組では、安泰に見える現状の背景で進む大きな変化を、ドキュメンタリーとドラマで多角的に描く。