NHKスペシャル

メイド・イン・ジャパン 逆襲のシナリオ 第2回 復活への新戦略

「高い技術力だけでは世界で勝てない」「スピードのある組織でないと勝てない」・・・こうした課題の多くは、業種を超えて「製造業全体」に共通するものである。シリーズ2回目は「電機」から業種を広げ、従来にない取り組みをしている現場に密着しながら、逆襲のシナリオを考える。いま、家電や電動バイクなどの分野で、続々とベンチャー企業が生まれている。巨大な工場を自社で持たなくても、生産は専門の会社に任せ、アイデアで勝負できる時代が来ているからだ。若手経営者たちは国境や企業の壁にとらわれず、斬新な発想で競争に挑んでいる。一方、空調メーカーのダイキン工業は、一番のライバルである中国企業に自社の技術を開示するという「タブー」ともいえる提携戦略を導入。従来にない方法で中国市場を獲得しようとする一方、国内の工場や研究開発部門の役割も大きく変えようとしている。さらに、独自の「技術戦略」で世界をリードする素材メーカーの東レも取材。識者の提言を交えながら、20年後、30年後の日本も見据えた逆襲のシナリオを提示する。

放送を終えて

“日本のものづくり”は、どうすれば復活することができるのか。その逆襲のシナリオ、復活のための戦略を探るという壮大なテーマのこの番組。「これが正しい“逆襲のシナリオ”」という確たるものは、この世の中で誰にもわからないだけに、番組としてどのようなシナリオを提示できるのか、視聴者の方々に納得していただけるものを出せるのか、ということに、スタッフ全員で頭を悩ませる日々が続きました。日本の中で起き始めている、若い世代のアイデア豊富なプロジェクトリーダーや、活気あるベンチャー企業の動きを紹介しました。ひとつひとつは小さな芽に見えるかもしれませんが、5年後、10年後にはやがて大きな流れとして、日本の製造業を支える中心的な存在になる可能性もあります。新世代の人たちの姿を見て、放送後、「がんばれニッポン!と応援したくなった」「なんだか元気が出た」という感想も多くいただきました。この番組が、少しでも“日本のものづくり”の復活を考えるヒント、きっかけになれば幸いです。

ディレクター 本田とも子