NHKスペシャル

火星大冒険 生命はいるのか?

8月6日、NASAの探査機“キュリオシティ”が、2億5千万キロ彼方の火星に降り立ちました。キュリオシティは重さがおよそ1トンもある史上最大の火星探査車。赤い惑星の大地を駆け巡る大冒険をつづけ、すでに10000枚をこえる写真を地球に送り届けています。着陸地は太古の湖のあとで、巨大な扇状地や大河の跡、テーブル状の台地など、壮大な風景が広がります。
ミッションの目玉は、火星での「生命の探査」 探査機キュリオシティには、生命の部品である有機物を見つけ出す装置が積み込まれています。はたして火星生命の存在を示す“物証”は発見できるのでしょうか?
長年、私たちの心を掴んできた「生命期待の星・火星」。その火星生命への夢、宇宙へのロマンを知的に楽しくお伝えします。司会は堂本光一さんです。

放送を終えて

「着地は成功!よかった~~!」

キュリオシティの火星着陸を見守った、NASA科学者の歓声ではありません。番組の目玉、キュリオシティの実物大模型が、本物さながらワイヤーでつるされ、無事スタジオの地面に降り立った瞬間の、制作スタッフの思いです。CGなどバーチャルな演出に頼らざるを得ない宇宙番組で、いかにリアルな感覚を視聴者に持ってもらえるかが、今回の番組の挑戦でした。宇宙船を模した巨大なメインセット、キュリオシティが実際に撮影した広大な火星の風景に囲まれたサブセット、過去に水が流れた火星の地面を再現した模型など、アナログな工夫が随所にちりばめられています。いかがでしたでしょうか?
一方、番組のもう一つの目玉、キュリオシティが挙げる成果については、最後まで気をもみました。キュリオシティの最終目的は、生命に由来する有機物(=生物がいたことを示す物証)の発見です。実はスタジオ収録日から放送日まで1週間ありました。世紀の大発見に対する「期待」と、もしそうなったら番組をどう組み替えるかという「不安」は、放送直前まで続きました。
残念ながら、放送までに大発見の報告はありませんでしたが、キュリオシティの探査はまだ始まったばかり。少なくとも、あと2年続きます。私たち地球生命は、本当に宇宙で孤独な存在なのでしょうか・・・? 史上初めて地球外生命が発見され、第二弾を大々的に放送できる日を、今から心待ちにしています。

ディレクター 鈴木心篤