NHKスペシャル

シリーズ日本新生 "雇用の劣化"を食い止めろ!

「一昨年、大学を卒業した人の52%が就職できない、または離職」、「大手電機メーカーが相次いで1万人規模のリストラを発表」、「30代後半のフリーターが132万人と推計される」・・・ 今、日本の雇用が揺れている。給料が思うように上がらない非正規雇用は増加の一途。正社員も安定と引き替えに過重な労働を強いられるなど、働き盛りの世代に閉塞感が広がり、社会全体の活力低下が懸念されている。
国は「日本の再生には、経済成長とともに、分厚い中間層の復活が欠かせない」として、若者の教育支援や就労促進、女性が働きやすい環境整備を図ろうとしているが、まだ雇用を改善するにはいたっていない。このままで日本は大丈夫なのだろうか?
有識者が提示する大胆な改革プランをもとに、様々な立場の市民が徹底討論。働き方を変えることで日本を持続可能な社会に変えていくための道筋を探る。

放送を終えて

「働き方」という身近で深いテーマ。スタジオでは、フリーターとして働く人たちや経営者、若者から団塊の世代までさまざまな方がホンネで語ってくださいました。
そこから見えてきたのは“雇用の劣化”ともいえる実態です。長時間労働の正社員、40代フリーターの増加など厳しい状況をどうすれば打破していけるのか・・・ 問題の根深さをあらためて突きつけられました。
そんな議論の中で新たな一歩につながるお話を聞かせてくださったのが、今回有識者ゲストの半数を占めた女性の皆さんの存在でした。経済同友会の副代表幹事、世界的な中小企業の経営者、大企業を辞めフリーランスという新たな働き方を模索する女性。年齢も職種も違う立場からの多様な意見が心に響きました。
私にとって特に印象的だったのが、世界的な中小企業の経営者である秋山咲恵さんの言葉、「困難に直面しているという“切実さ”が解決方法を生み出す原動力になるはずだ」というメッセージでした。
番組を通して、「誰もが働きやすい社会」を実現していくには相当なハードルがあることを痛感しましたが、その一方で、この“切実さ”をどうにかポジティブにとらえて少しでも現状を変えていけたらと強く思いました。

ディレクター 生田聖子