NHKスペシャル

宇宙の渚 第2集 天空の女神 オーロラ

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地球と宇宙の境目「宇宙の渚」。国際宇宙ステーション(ISS)から撮影された「宇宙の渚」のスペクタクルをたっぷり見せながら、背後にある物語を紹介する。第2集の主役はオーロラ。
古川聡宇宙飛行士は、ISS滞在中に32回、オーロラと遭遇、撮影に成功した。ここではオーロラは天上ではなく眼下に現れる。幻想的な絶景だが実は「きれいなバラには棘がある」。
オーロラは、太陽からの危険な粒子が地球の大気に激しく打ち寄せたときに放たれる光。美しければ美しいほど、粒子が激しく降り注いでいることの証しに他ならない。今年から来年にかけて、オーロラ活動が高まり、電力網や人工衛星が壊滅的な被害を受けることが危惧されている。過去には、大オーロラの夜に大停電や列車事故も起きている。
一方、激しい活動の終わる再来年以降、100年近く、ほとんどオーロラが現れないと予測する研究者もいる。17~18世紀にもそんな時代があり、寒冷化と飢饉が全地球規模で起こった。オーロラ活動の低下によって、銀河宇宙線が地球に多く降り注いだことが原因とされている。
私たちは常に宇宙の荒波に晒されて生きていることを、オーロラは教えている。
番組プレゼンター:JAXA古川聡宇宙飛行士

放送を終えて

「北極や南極で見られるきれいな光」。
今回の取材を始める前に、オーロラに対して持っていたイメージはそんな漠然としたもの。オーロラの輝きに「地球」と「太陽」の間の激しい攻防が秘められているなど、思いもしませんでした。

攻防は、今この瞬間も繰り広げられています。
「一度として同じオーロラは現れない」と話してくれたオーロラ研究者の言葉が、今は実感を伴って感じられます。攻防が絶え間なく続いているがゆえに、オーロラはその日その日、瞬間瞬間で姿を変えるのです。
地球と宇宙はたしかにつながっていることを、オーロラは私たちに示してくれています。

「一生に一度は絶対に見ておきたい」と、数千キロメートル離れた日本から極地に足を運ぶ人たち。
「毎日眺めても飽きることがない」と話す地元の人。
人をひきつけてやまないオーロラの輝きの裏に壮大なドラマが隠されていたことを知ると、その輝きが一層神々しく思えてくるから不思議です。

研究者たちは、目に見えるオーロラという現象を通して、「目に見えない宇宙の渚の実像」に迫ろうとしています。近い将来、私たちが思いもよらないような新しい事実が明らかになるかもしれません。一体どんなことがわかるのか、期待せずにはいられません。

ディレクター 石井太郎