NHKスペシャル

木嶋被告 100日裁判

裁判員制度は3年が経過し、制度の検証が始まろうとしている。「人を裁く」という重い現実と向き合わなければならない裁判員たち。今年1月からその究極とも言える裁判が進んでいる。100日にわたる長期審理となった木嶋佳苗被告の裁判だ。男性3人が連続して不審死したこの事件で、検察は被告による連続殺人だと主張。一方、被告側は無罪を主張して真っ向から対立している。決め手となる直接的な証拠はなく、あるのは間接的な状況証拠のみ。専門家ですら判断の難しい事件で、市民から無作為で選ばれた裁判員たちが決断を迫られた。いったい裁判員たちは何に悩み、どんな議論を重ねたのだろうか。実際の評議は「守秘義務」というベールに包まれ、裁判の後も一切明らかにされない。NHKでは、これまで様々な事件で裁判員をつとめた経験者たちに木嶋被告の裁判の傍聴を依頼。裁判記録も読み込んでもらった。そして、裁判映画「それでもボクはやってない」の周防正行監督が経験者たちと議論し、裁判について考えていった。そこからは「人が人を裁くことの重み」や、裁判が大きく変わる可能性も浮かび上がってきた。木嶋被告の裁判を通じて、制度の課題と可能性を見つめる。